新作かオールドか 

古い楽器、そのなかのごく一部の市場価値の高いオールドと呼ばれる楽器と、新作楽器との比較はよく論じられ、また実際ブラインドで比較もされる。下記の記事は、ストラディバリウスのバイオリンを、新作と弾き比べたら、新作楽器の方を聴衆は好んだというもの。ストラディバリウスが負けた、というところにニュース性があるのだろう。

こうした比較は、様々な条件で違ってくる。また、あくまで聴衆の側からの比較だ。そして、気に入るかどうかは相対的、主観的なものだ。あぁ、こうした結果になったのかと受け止める程度だ。

古い楽器と新作楽器の比較について、納得できる説明は、楽器製作者の佐々木朗氏のこちらの文章だろう。健康な状態とリーズナブルな値段を新作に求めるか、質感と演奏しやすさをオールドの楽器に求めるかの違いだ。新作に目立つ、強調された高音域は、弾くうえで結構気になることもある。また、発音のし易さもオールドの楽器のメリットだ。だが、佐々木氏が別なところで記しておられるが、楽器の基本性能は制作された時点で決まるもののようで、弾きこむことで大幅に良くなるということはなさそう。

私も、一頃、良い楽器を求めて、楽器屋巡りを繰り返したことがあった。現在使用中のイタリア製の新作を手に入れて、9年くらいになるか。当初気に入っていた、中音域の中抜けのする(ように感じていた)音質も、う~んどうなんだろうと思えるようになってきたし、作りの点でもドイツ製にみられる「彫の深さ」にちょっと欠けるし、段々古女房みたいになってきた。だが、2011年の震災で、楽器の上にテレビや本が落ちてきたのに、奇跡的に大きな破損を受けずに助かったこともあり、これからも、古い楽器に目をくらませられることなく、この楽器一本で行くつもりだ。楽器に、演奏者の腕が頼りないと言われることのないように。普段楽器のメンテでお世話になっている、桐生市の伊藤丈晃氏には、製作精度が高い楽器だと言っていただいた。これを、次の世代に受け渡すことができるようにと念願している。それまでの期間、しばらくは相手をしていただこう・・・。

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以下、引用~~~

ストラディバリウス負けた!聴衆は現代製に軍配


2017年05月09日 07時39分 読売新聞
ストラディバリウス負けた!聴衆は現代製に軍配

 【ワシントン=三井誠】数億円の値段がつくバイオリンの名器「ストラディバリウス」と、現代のバイオリンの演奏を聴衆に聞かせると、聴衆は現代のバイオリンの方を好むとする実験結果を、仏パリ大などの研究チームがまとめた。

 論文が近く、米科学アカデミー紀要に掲載される。

 このチームは5年前、ストラディバリウスと現代の楽器を弾いた演奏家でも、音の評価に大きな差がなかったとする研究を同紀要で発表している。チームは今回の研究で「バイオリンの作製技術が上がったのか、あるいは一般に信じられているほどの音色の違いがなかったのかもしれない」とコメントしている。

 実験は、パリ郊外と米ニューヨークのコンサートホールで、音楽の批評家や作曲家などを含む聴衆計137人の前で行った。ストラディバリウス3丁と現代のバイオリン3丁を、演奏者にはどちらのバイオリンかわからないようにしてソロで弾いてもらい、どちらの音色がよく響くかなどを、聴衆が評価した。

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