在宅医療推進は果たして可能か 

下記の記事の機能別入院病床の予測数を厚労省のデータから示す(単位 万 病床)

         2014年7月現在  2025年

高度急性期   19.1        13.0

急性期      58.1        40.1

回復期      11.0        37.5

慢性期      35.2        24.2~28.5 

急性期、慢性期ともに減らし、回復期だけは増やす、という方向が見て取れる。トータル10万病床前後の減で、とくに高度急性期・急性期病床が24万病床の減で、現在の3割減少となる。地域によって増減に差がでるのだろうが、この減少は大きい。

一方、予測死亡者数(単位 万人)は

2010年      119.7
  15        131.1
  25        153.7
  40        166.9(予測数の最大)

患者の希望として55%が在宅での医療介護を希望している、とあるから、厚労省の計画通り、在宅医療を推し進めると、およそこの半数が、在宅で最後を迎えることになる。死亡の原因としてはガンが多く、また認知症も増えてゆく。おそらく数百万人の単位で、在宅医療になることだろう。

問題は、地域包括ケアで在宅医療を進めるとなっているが、在宅ケアの担い手、すなわち家族が、存在するのか、それに耐えられるかということだ。いくら多職種のチームで支えるといっても、在宅で患者のケアを担うのは、家族になる。高齢核家族化の状況で、それが可能かという深刻な問いを抱かざるを得ない。また、今後生産年齢人口が減少し続けるが、在宅医療は働き盛りの国民が担うことになり、生産年齢人口減少を加速させることになる。恐らく、数百万人規模で、在宅医療を担うことになるのではないだろうか。

在宅医療の進展にともない、急性期医療の需要が高まる。それを、医療サイドが供給し続けられるのだろうか。おそらく、在宅診療所にかなりの部分を任せる積りなのだろうが、現在医師の高齢化が進んでいる診療所に、24時間体制の在宅医療の救急対応も担わせるのだろうか。

この先見えてくるのは、在宅医療で苦労する患者・家族の姿であり、また生産年齢人口の減少から加速度的に国力が低下し続ける状況だ。医療現場も、急性期医療は、恐らく数日待ちとなる。救急でかかろうにも、すぐには診てもらえない、という状況が現実になる。

現在も、政府は、医療費を中心に、自然増を毎年2000億円以上減らし続けている。この入院病床削減・在宅医療増の政策も、医療介護費の削減の一環だ。一機200億円以上といわれるオスプレーを17機導入し、さらに効果に疑問のあるミサイル防衛のために数千億円を費やす。そちらをこそ削減すべきではないのか。
 
以下、引用~~~

長期入院減らし、在宅加速へ=25年の地域医療構想-厚労省
17/05/10記事:時事通信

 厚生労働省は10日、各都道府県が2025年の医療提供体制を示した「地域医療構想」の分析結果を公表した。構想は複数の市町村で構成する全国341の区域ごとに推進。その約8割に当たる270区域で、長期療養向けの入院ベッドが15年度より減る見通しだ。入院の必要性が低い高齢の患者を在宅医療に移す流れを加速させるという。
 
 構想は、団塊の世代が全て75歳以上になる25年を前に、効率的な提供体制を整えるのが目的。在宅医療を推進して医療費の膨張を抑える狙いもある。
 
 15年度より長期療養向けベッドが減る見通しの区域は、訪問診療や介護サービスの充実など、退院した高齢患者の受け皿整備を急ぐ計画を立てている。救急医療や先進医療を担う「高度急性期」と「急性期」のベッド数も、離島の1区域を除く340区域で減少する方向だ。
 
 一方、リハビリ患者らが入る「回復期病床」は、高齢者のニーズが高まるため、336区域で増加。増加分は、急性期のベッドなどの機能転換により賄うとしている。 【時事通信社】

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