受動喫煙による疾病罹患と医療費 

IARCの発がん物質リストにおいて、受動喫煙は発がん性ありと断定されるグループ1に入っている。受動喫煙は、発がんだけでなく、さまざまな病気を発症させる。こちらを参照。とくに、気道疾患である、気管支喘息やCOPDの大きなリスクファクターだ。外来で仕事をしてきた時には、喫煙者の親御さんには、お子さんのためにぜひ禁煙してもらいたいとお願いしてきた。

厚労省が重い腰を上げ、受動喫煙防止法案を作ることにしたようだが、自民党内部から異論が出ているらしい。どうも国会の大臣室は、大臣の判断で喫煙可とされるかもしれない、とのことだ。タバコは趣味の問題なのだから、それに口を挟むなといった、喫煙者の主張が聞こえてくるようだ。大臣には、どんどんタバコを吸って、癌になるか、慢性閉そく性肺疾患になるかしてもらって結構だが、受動喫煙を防ぐことは、政治家として国民のために行うべきだろう。

受動喫煙による医療費を推計した記事。

以下、引用~~~

肺がん・脳卒中など…受動喫煙の医療費、年3200億円超
17/05/13記事:読売新聞

 喫煙しない人がたばこの煙を吸い込む受動喫煙で病気になり、余計にかかる医療費は年3000億円を超すという推計を厚生労働省研究班がまとめた。
 対策強化を盛り込んだ健康増進法改正案の今国会への提出を厚労省が目指すなか、受動喫煙による健康被害の大きさが浮き彫りとなった。
 研究班は、国の検討会が昨年発表した「たばこ白書」で受動喫煙との因果関係を「確実」とした肺がん、虚血性心疾患、脳卒中について分析。職場や家庭で長期にわたり間接的に煙を吸った40歳以上の人で、2014年度に余計にかかった医療費を算出した。
 その結果、医療費は肺がんが約340億円、虚血性心疾患が約960億円、脳卒中が約1900億円で、計約3200億円に上るとした。患者数はそれぞれ約1万1000人、約10万1000人、約13万人だった。
 研究班は患者が治療で仕事を休むことによる経済損失も推計。三つの病気の合計で損失は約820億円に達するとした。
 分担研究者の五十嵐中・東京大学特任准教授(薬剤経済学)は「職場や家庭で煙を吸った非喫煙者に、膨大な医療費がかかっていることが分かった。対策を急ぐべきだ」と話している。

~~~

受動喫煙で、COPDによる死亡率が上昇することを示した最近のわが国の疫学研究。

以下、引用~~~

Int J Public Health. 2017 May;62(4):489-494. doi: 10.1007/s00038-016-0938-1. Epub 2017 Feb 17.
Passive smoking and chronic obstructive pulmonary disease mortality: findings from the Japan collaborative cohort study.
Ukawa S1, Tamakoshi A2, Yatsuya H3, Yamagishi K4, Ando M5, Iso H6; JACC Study Group.
Author information
Abstract
OBJECTIVES:
To elucidate the association between passive smoking at home and chronic obstructive pulmonary disease (COPD) mortality via a large-scale nationwide cohort study in Japan.
METHODS:
Never smokers (n = 34,604) aged 40-79 years at baseline (1988-1990; 4884 men, 29,720 women) were included in the analysis. Passive smoking at home was measured based on self-reported frequency of weekly exposure to passive smoking at home. An inverse probability of treatment-weighted competing risk model was used to calculate the hazard ratio (HR) and 95% confidence interval (CI) for COPD mortality.
RESULTS:
During a median follow-up of 16.4 years, 33 participants (10 men, 23 women) died of COPD. The HR for participants exposed to passive smoking at home ≤4 days per week or those who had almost daily exposure to passive smoking at home had a significantly increased risk of COPD mortality (HR 2.40, 95% CI 1.39-4.15, HR 2.88, 95% CI 1.68-4.93, respectively).
CONCLUSIONS:
The present findings suggest that avoiding passive smoking at home may be beneficial for preventing death due to COPD among never smokers.

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