伊藤弦楽器工房再訪 

いつも用いている弓のラックアンドピニオンが「バカ」になってしまった。後で下記の伊藤さんに尋ねると、無理に回した際に金属が削れて、その削りかすがさらにネジを痛める、という悪循環が生じるらしい。この10数年酷使してきた弓なので、それもあるのだろう。何はともあれ、チェロの主治医である桐生の伊藤バイオリン伊藤さんに見て頂くことにした。二日前、50号線を西に走り、彼の工房を訪ねた。我が家の庭で収穫したばかりのイチゴ、それに途中の道の駅で仕入れた野菜をお土産に・・・。

人通りの少ない桐生の街並み、メインの通りから南に入った通り沿いに彼の工房がある。いつも通り、彼の工房に入ると、時間が止まったかのような錯覚に陥る。楽器に向かい合う静かな空間だ。

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昨秋、弦楽器フェアに出品したという楽器が架けられていた。これまでの、カントゥーシャスタイルではなく、ストラディバリウスモデルでオールドフィニッシュの楽器。たまたま、彼が以前に作ったというカントゥーシャスタイルのモデルが調整に来ていたので、両者を並べて下さった。オールドフィニッシュの楽器は二作目だそうだ。

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向かって左がストラドモデル、右がカントゥーシャモデル。カントゥーシャモデルは、彫が深く、優美な外観。ストラドモデルは、ある種の惹きつけられる雰囲気を醸し出している。楽器を見た瞬間に魅入られるような作品を作ってみたい、そのためには、カントゥーシャモデルに拘らずに、いろいろとチャレンジしてみたいとのことだった。彼もまだ40歳前、これからも自分のスタイルを探求する道を歩んでゆくのだろう。

昨年は仕事の依頼が多かったのだが、今年はかなり落ちついた由。楽器製作に時間を費やすこともできるのだろうが、でも仕事を変えることも考えたこともある、と正直に言ってくださった。お二人の幼いお子さんもおり、生活は厳しいのではないだろうか・・・本棚を見ると、トックヴィルの平等と不平等に関する本が、楽器・音楽の書物に並べてあった。このご時世、音楽に本当に没頭しようという方が少なくなった、と述べておられた。佐々木朗氏の工房で、弟子としてトレーニングをなさっているころ、もうすぐ20年前ということになるか、そのころから存じ上げているので、しっかり実力をつけ、研鑽を積み続けておられることを良く知っているので、彼はきっと楽器製作者として大成されることを確信している。桐生市近辺で弦楽器を嗜まれる方には、彼の工房はお勧めである。

私の予備の楽器をこの数年全く触れることがなくなってしまったので、彼にメンテして頂いた上、その楽器を活用してくださる方にお譲りする仲介を取ってくださるようにお願いした。帰宅後、その楽器を見ると、20年弱前に入手し、その後大いに楽しませて頂いた楽器なので、別れがたくもあるが、このまま死蔵するのは勿体ない・・・。

予備の弓のサムグリップが、指先があたるために一部欠けてしまったので、話をしている間に修理して頂いた。皮を上手にパッチして、きれいに仕上がった。費用が800円とのこと・・・。

彼とは年に一度か二度お目にかかるだけだが、どのように仕事を進めておられるのかお聞きし、またこちらの疑問にも丁寧に答えて下さる。得難い知己である。

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