ある後期研修医の自殺 

後期研修医が自殺した。明らかな過労死だ。労災認定は当然のことだろう。だが、それで彼女が戻ってくるわけではない。これで終わりにして良いわけがない。

医師になって4年目。それも、記事によれば、看護助手をしながら医学部を目指し、入学なさったのは27歳だったようだ。医師になり、医療に従事することを念願しておられたのだろう。医師としてこれからという時期の出来事であり、この若い医師の死に言葉を失う。

カルテを長時間見ていたのは、自分の勉強のためと言ってはばからない「病院側」の人間は、一体医療の現実を知っているのだろうか。前期研修医が待遇面で改善されたために、後期研修医の労働条件が厳しくなっているとも聞く。後期研修医がどれほどの労働条件下にあるのか、この病院側の人間が現場に入り見るべきではないか。

もう一つ、この病院も日本医療機能評価機構の評価認定を受けている。以前から繰り返し記してきたが、同機構は、医療機関の設備等については微に入り細に渡ってチェックするが、医療従事者の労働条件については殆ど見ようとしない。労働基準法違反が横行しているのを放置している。それで、医療機関から認定料等と称して、数百万円の料金をかすめ取っている。もちろん、同機構は、天下り組織である。こうした天下りは、やりたい放題だ。

この病院のサイトには;

2006年2月20日 日本医療機能評価機構・付加機能(救急医療機能)認定 (Ver.1.0)

とあった。同機構は、評価認定する際に、一体何を見ていたのだろうか。労働集約産業である医療なのだから、従事者の労働条件・環境をこそまず観察し、評価すべきだったのではないか。意味のない医療機関評価を行っている、日本医療機能評価機構は提訴されるべきだ。医療従事者の労働条件が劣悪な医療機関が、良い医療を提供できるわけがない。こうした医療機関評価で甘い汁を吸っている連中は、罰せられるべきだ。

その他、彼女の死の理由には、様々な要因があることだろうし、それら各々が彼女にとってどれほどの重みをもっていたか、傍からみても分からない。関係者は、ぜひこうした悲劇が起きた理由、原因を突き詰めてもらいたい。同じような若い医師の悲劇を再び招かぬために。

木元文さんのご冥福を祈りたい。

以下、引用~~~

<新潟市民病院>「過労が原因」女性研修医自殺、労災認定へ
毎日新聞 6/1(木) 7:01配信

 ◇新潟労基署が方針 遺族「残業最多で月251時間」

 2016年1月、新潟市民病院(新潟市中央区)の女性研修医(当時37歳)が自殺したのは過労が原因だったとして、新潟労働基準監督署は31日、労災認定する方針を決めた。遺族に対しても、方針を通知している。【柳沢亮】

 亡くなった研修医は木元文(あや)さん。看護助手をしながら医師を目指して勉強を続け、2007年、新潟大医学部に合格。卒業後の13年から研修医となったが、15年4月に後期研修医として同病院に移ると、救急患者対応の呼び出し勤務が激増。16年1月24日夜、行き先を告げず一人で自宅を出たまま行方不明になり、翌朝、家族が自宅近くの公園で遺体を発見した。

 新潟県警によると、死因は低体温症で、遺体のそばには睡眠薬と飲み終えた酒が落ちていた。自殺前、家族に「人に会いたくない」と漏らしていたといい、県警は自殺と判断している。

 木元さんの夫は16年8月、「長時間労働による過労と精神疾患が自殺の原因」などとして同監督署に労災を申請した。木元さんの電子カルテの操作記録から月平均時間外労働(残業)時間は厚生労働省が「過労死ライン」と位置付ける80時間の2倍を超える約187時間、最も多い月では251時間に達していたと主張した。

 一方、病院側は木元さんが自己申告していた残業時間は月平均約48時間だったと反論。「電子カルテの操作記録の多くは医師としての学習が目的で、労働時間に当たらない」と説明していた。

 木元さんの夫は毎日新聞の取材に「労災認定され安心したが、亡くなった人は戻らない。過労死は病院による殺人に等しい」と話した。「全国過労死を考える家族の会」東京代表で、自らも医師の夫を過労死で亡くした中原のり子さんは「勤務医の過労死は全国的な問題。聖職者意識や犠牲的精神など個人の力で解決できるものではなく、社会的な支援をすべきだ」と話している。

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