権力を振りかざす快感を楽しんでいるとしか思えない 

文化功労者選考は、時の政権への近さ等関係なく行われるべきだし、文科省以外の天下りを隠蔽したとなると、加計学園獣医学部新設に慎重だった文科省だけを政府が「叩く」ために、あの天下り事件を表ざたにしたと言われても仕方あるまい。

こうなると、安倍政権は権力を振りかざす快感を楽しんでいるとしか思えぬ振る舞いだ。凄まじい官邸支配だ。

政治主導、官邸主導は、官僚主義の弊害を打破するために企図されたわけだが、安倍政権の政治は権力の乱用でしかない。安倍首相の個性もあるのかもしれないが、手中にした権力を弄ぶようにしか見えない。品位、政治家としての矜持がない。

権力の乱用の対象は、国民である。米国へ隷属せざるを得ないストレスを、現政権は、権力の乱用を通して、国民へ痛みを与えることで解消しようとしているという、内田樹氏の見方がまずます現実性を帯びてくる。

国民は、経済の停滞に対処してもらいたいと安倍政権を支持してきたはずだ。ところが、安倍政権が国会で通した法律の多くが、安保・治安関係の法律だ。

最近、あの日経新聞ですら、「アベノミクス」への批判的な記事を載せた。曰く、「アベノミクス」が実現した(ようにみえる)のは、高株価と雇用率の上昇だけで、成長戦略はまったく機能していない(それはそうだ、森友・加計のようにお友達に利権を与えるトップダウンでやっていたら、機能するはずがないではないか)。さらに、(日経の主張である)社会保障の改革(という名の切り捨て)が実現できる環境にあるのに行わない、とメタメタにこき下ろしている。

高株価は、円安誘導と世界的なバブル傾向に乗っただけであるし、雇用率の上昇は非正規雇用の増加が主であるに過ぎない。最近は、「アベノミクス」という言葉自体が聞かれなくなった。金融緩和によるインフレ誘導、それによる経済活性化は、元来失敗することが見えていた政策だった。トリクルダウン等起きようがない。「アベノミクス」の結果は、一部の資産バブルと、輸出企業内部留保の際限ない増加だ。内需は冷えたままだ。安倍政権は、経済財政政策は二の次(というか、対処能力に欠ける)。安保・治安の面で国の形を変え、憲法改正の国民投票に持って行くつもりなのだ。そこで、安倍政権の権力掌握は完全なものになる、と読んでいるのだろう。

国民を監視し、マスメディアに批判を許さぬ、戦争をする国を、安倍首相は作る。

以下、引用~~~

前川氏が新証言 安倍官邸が安保法制反対の学者を”締出し” 天下り問題の”隠ぺい”〈週刊朝日〉
6/12(月) 16:00配信 AERA dot.

 安倍政権は「怪文書だ」「確認できない」と言い続けた文部科学省の「内部文書」について6月9日、ついに再調査すると発表した。岩盤を動かした前川喜平・前文科事務次官に対し、3時間に及ぶインタビュー。週刊朝日6月23日号では、苛烈な「官邸支配」を示す新証言の数々を特集している。

*  *  *
 前川氏は昨年夏、政府が毎年顕彰する文化功労者を選抜する文化審議会の文化功労者選考分科会の委員の候補をリストにし、官邸の杉田和博官房副長官のところに持っていった。杉田官房副長官は警察庁出身で、官邸の危機管理担当。加計学園問題の渦中にあった前川氏に対し、「出会い系バー通い」について昨秋、注意・警告してきた人物だ。

 前川氏はこう証言する。

「杉田氏のところにリストを持っていくと、『ちょっと待て』と言われて、1週間くらい後に、『この人物とこの人物は代えろ』と。一人は、『安保法に反対する学者の会』に入っていた。もう一人は、雑誌の対談か何かで、政府に批判的なことを口にしていたんです」

 15年に成立した安保法制をめぐるスタンスが、翌年の委員の人選に影響したのだ。安倍政権に批判的な言論がどんどん封殺されていくという現実が垣間見える。前川氏はこう危惧する。

「かつては政府に批判的な言動をしているかどうかまではチェックしていませんでしたよ。文化功労者選考分科会の委員は学者さんや芸術家、文化人などを、その実績や専門性に着目して任命するものですから。杉田氏がどういう基準で判断しているかはわかりませんが、おそらく菅(義偉)官房長官には報告を上げていると思います。杉田氏の指示には、私の立場では逆らうことはできませんでした」

 杉田官房副長官との間では、昨年12月にも驚くべきやり取りがあったという。

 当時、文科省は水面下では天下り問題の渦中にあり、内閣府の再就職等監視委員会による厳しい調査を受けていた。監視委は文科省職員のメールを片っ端から提出させていたが、その中に外務省と内閣府OBが問題に関わっていたことを示すメールがあった。前川氏は監視委にメールを提出する意向をそれぞれの役所に伝えていたが、御用納めの12月28日の夜、杉田官房副長官から急に呼び出しを受けたという。

「他省庁のOBに関わるメールを含め、私は監視委がすべて出せと言うので出さざるを得ないと思っていたのですが、杉田氏は、私が監視委に出す前にこのメールの存在について杉田氏への報告がなかったことに怒っており、その場で『とにかく外務省と内閣府に関わるメールは出すな』と言われました。つまり、再就職等規制違反問題は文科省内だけに限定して、他省庁に及ぶ証拠は出すなということです。そこからズルズルと他の役所にも被害が及んだら困る、というわけです」

 文科省に端を発した天下り問題は中途半端な幕切れとなったが、杉田官房副長官のこうした指示はいわば、「隠ぺい工作」としか解釈しようがないのではないか。

 杉田官房副長官に前川氏の証言について取材を申し込んだが、官邸・官房副長官室は「個別の取材には対応していない」と、質問の書面すら送らせてくれなかった。(本誌・小泉耕平、亀井洋志)

※週刊朝日 2017年6月23日号より抜粋

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