緩和ケア病床について 

がんは、老化現象と密接に関係する。したがって、高齢化が進むに従い、がんによる死亡は増え続ける。

がんによる死亡者数は、2014年の時点で368103名。がんも種別、悪性度、早期発見によって助かる可能性が高いが、これだけの患者が「がんの末期」を経て亡くなることも事実だ。

末期がんの時期に、数週間から数か月からにわたり、激しい痛みなどがんに固有の問題に患者は悩まされる。患者が、そうした悩み、苦しみに煩わされずに、人生の最後の時間を有意義に過ごせるようにすべきだ。それを可能にする施設が、緩和ケア病床だ。

ところが、緩和ケア病床の現状があまりに貧弱だ。2016年時点で累計施設数378、累計病床数7695に過ぎない。単純計算で、がんによる死亡者のうち緩和ケア病床を利用できるのは、約48名の内の1名だけに過ぎないことになる。

緩和ケア病床、施設数の推移が、こちらに掲載されている。この3、4年、新たに届けられた緩和ケア病床数、施設数が、横ばいか、微増に留まっている。緩和ケアは、人手がかかり、施設としても高度なものが要求される。医療スタッフへの負担も大きいと聞く。

経済的な面に着目すると、医療費削減政策を反映してか、長期間入院の患者に対する診療報酬は、むしろ下げられている。長期間入院の必要性のある場合もあるのだから、長期間入院で診療報酬を下げ続けるのは止めるべきだ。緩和ケア病床の回転率を高めようというのは、悪魔的な発想だ。また、以前にも指摘したことがあるが、施設要件として、地域のがん医療機関病院であるか、日本医療機能評価機構の評価を受けている、またはそれに準じていることが要求されている。日本医療機能評価機構は以前から記している通り、天下り組織であり、その機能評価は医療機関の正しい評価を下すものではなく、同機構が無視できぬ額の対価を医療機関に要求することが大きな問題だ。緩和ケア病床の診療報酬上の認可要件として、同機構の評価があるのは、緩和ケア医療機関への経済的な負担になっているはずだ。その意義も乏しく、即刻その認可要件を取りやめるべきだろう。

がんの緩和ケアは、医療費がかかる。だが、これだけのがんによる死亡があるのだから、緩和ケアの必要性は高い。上記の日本医療機能評価機構の評価等、医療機関にとって負担になることを減らして、緩和ケア病床を何としても増やす必要がある。在宅で緩和ケアを実施するということも聞くが、患者家族にとっては、負担が大きすぎるのではないだろうか。やはり専門の施設で緩和ケアを受けることの方が、患者にはメリットが大きいように思える。緩和ケアの充実は待ったなしだ。

がん末期の方の要望が公になることは少ない。これから老いを迎える我々自身が、がんにかかり根治が期待できない時に、どのような生活を期待するか、よく考えておくべきではないだろうか。四人に一人弱の方ががんで亡くなる時代なのだから。

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/5007-b2b462e0