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官僚の医師「確保」策 

厚生労働省の医師「不足」対策は、文字通り医師不足を認めたかのように読める。例によって、うやむやに方針転換しているように見える。

しかし、その対策をみると、厚生労働省の本音は、不足ではない、偏在だという従来の主張は生きている。むしろ、現在進行中の地域医療は、崩壊させるというのが、当局の意思であるようだ。参議院議員選挙を前にして、政権与党のために、医師「確保」のポーズをとっているように思える。

まず、派遣されるべき医師が、地域医療を担うには、戦力として不十分であることが、明白だ。退職した医師が、地域医療の二次医療の中核的な病院の激務に耐えられるのか。当然、当直勤務を行うことが要請されるが、日勤・夜勤・日勤という常態として行われる労働を担えるのか。はなはだ疑問だ。全国規模の病院グループからの派遣を要請するとあるが、日赤の責任者は、協力することは難しいと述べたとこの報道でも記されている。国立病院機構に属する病院でも、昨年秋から今年春にかけて半年間、同じような医師派遣を試みたが、頓挫している。余力のある病院など皆無なのだ。派遣医師の見通しは、机上の空論である。

派遣を受ける医療機関の条件も壮絶だ。このような「倒れかけの」病院で仕事をしたいという医師はいるのだろうか。受け入れ先の病院が、酷い状況にあると、仕事を満足に出来ぬ可能性が高いのではないか。

受け入れ病院の条件に、行政当局の意図が見える。半年以上前から欠員のある病院は、医師派遣を受ける資格がないという条件だ。既に、崩壊へ向かったことが明らかな病院は、一切助ける積りはないということだ。医師確保策といっても、行政当局の本音はここにあるのではないか。さらに、この医師確保策が上記の通り無意味なものであるとすれば、地域医療は、全体として崩壊するに任せるということが、行政当局の意向であるといえるだろう。

現に地域医療で仕事をする医師の労働環境を改善し、地域医療を魅力あるものにすること。医療資源を潤沢に地域医療に付与すること。これが、行政当局の行うべきことではないのか。こうした根本的な対策を、全く取らず、対策を取るポーズだけだ。

地域医療に人的・医療資源を投入することは最早出来ぬ。地方は、人の生活する場では、最早ないのだ。大都市だけが、生き延びればよいのだ。こうした本音を、厚生労働省は何故語らないのだ。

以下、引用~~~

国が不足地域に医師派遣‐退職者などでドクタープール 地域医療支援中央会議
薬事日報 平成19年6月14日

 厚生労働省の地域医療支援中央会議は、医師確保対策の一つして、医師不足の地域に対し国レベルで緊急に医師を派遣するシステムを決めた。派遣を受ける医療機関は、二次医療圏内の中核的な病院で、医師不足のため休診した診療科があるなどが要件となる。派遣元として全国規模の病院グループや、退職医師などを公募して「ドクタープール」を作り、同会議が調整に当たる。

 会合では厚労省が提示した、緊急臨時的医師派遣システムについて検討した。このシステムは、都道府県の医療対策協議会が病院からの要請を受けて派遣の是非を検討、都道府県から派遣要請を中央会議に行う。これを受け中央会議、または中央会議構成団体代表からなる幹事会が、派遣の可否や緊急度(優先順位)の検討を行う。

 また派遣される医師は、全国規模の病院グループの勤務医や後期研修医、公募による退職医師などで構成されるドクタープールから検討されることになる。

 派遣を受ける医療機関の要件は原則として、[1]二次医療圏内で中核的な病院[2]過去6カ月内に医師数減少で休診を余儀なくされた、あるいは余儀なくされる診療科があること[3]相当の努力(大学等への派遣依頼、求人)をしても確保不可能[4]派遣終了後に医師確保のアクションプランを作成--の4点を挙げた。地域医療の要件として、二次医療圏内に該当する医療を代替する医療機関がないことも求めている。

 出席した病院関係者は賛意は示したものの、財政面や医師の厳しい勤務状況から派遣に対しては困難を指摘する声も多く挙がった。小山田惠全国自治体病院協議会長は、「病院経営が破綻しないよう、国による財政支援も盛り込んでほしい」と強く訴えた。既にグループ内で派遣を行っている日本赤十字社の山田史事業局長は、「10病院以上が不足地域に派遣しているが、グループ内が精一杯。協力したいが保証はできない」と実情を明かした。

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