北朝鮮問題 

「攻撃は最大の防御だ」というのは、現実の国際関係においては空論に過ぎない。先制攻撃をある国が考えると、それに敵対する国も先制攻撃を考慮する。または、攻撃を受けた段階で、それを凌駕する反撃を始める。それは、全面戦争を引き起こす。

小野寺防衛大臣が、「敵基地攻撃能力」の獲得を検討すると表明した。自衛隊に対地ミサイルの配備も始まる。下記の記事で安倍首相が述べたことは、多少ぼかした表現だが、敵基地攻撃を準備することを意味している。これは専守防衛路線からの大きな逸脱だ。

北朝鮮に先制攻撃をしかければ、反撃される。とくに、移動式ミサイル・潜水艦からのミサイルでの攻撃がわが国の主要都市、米軍基地、原発に対して行われることになる。犠牲者は数百万のオーダーになる。プエブロ事件の際に、ニクソン大統領は、北朝鮮への攻撃を考えたが、それによる同盟国への損害の大きさを考え取りやめた。クリントン大統領の時代にも、北朝鮮攻撃のオプションを検討したが、少なくとも80万人に上る犠牲者が出る可能性があったため取りやめた。

だが、トランプ大統領は違う。彼の行動は予測不可能なのだ。低空飛行を続ける政権の支持を浮揚させるために、北朝鮮への軍事行動をとる可能性は否定できない。ティラーソン国務長官のように、外交的に解決しようとする米国政府高官もおり、彼らが米国の外交・軍事を担っている。だが、やはり大統領であるトランプの予測不能な行動により、破滅的な戦争になる可能性は否定できない。トランプ大統領に連動しようとし、敵基地攻撃能力すなわち侵略に通じる軍備を準備する、安倍政権も結果責任を何も考えずに行動する可能性がある。

vox.comに掲載されたこの論考に、北朝鮮金正恩の国際関係での行動様式が述べられている。北朝鮮は、1953年の朝鮮戦争休戦から、このかたずっと、自国の存続だけを目指して行動してきた。金正恩の政治行動は、非情であり、理性を欠くように見える。が、通底しているのは、自国の体制を維持しようとする論理的な意思だ。過去40年間、米韓、そして最近はそこに日本が加わって、北朝鮮の体制転覆を狙う軍事訓練を北朝鮮近傍で繰り返してきた。その結果が、北朝鮮の軍拡であり、核軍備、ミサイル開発だ。軍事的圧力、ましてや軍事行動では、解決を得られない、ないし破滅的な損害を被る。北朝鮮からの外交的信号を読み取り、緊張緩和に向けて交渉を始める以外にない。

以下、引用~~~

2017年08月06日 12時58分 時事通信
安倍首相、敵基地攻撃「現実踏まえ検討」=公明代表は慎重姿勢

 安倍晋三首相は6日午前、広島市で記者会見し、弾道ミサイル発射などの前に敵基地を破壊する「敵基地攻撃能力」の保有について、「現時点で具体的な検討を行う予定はない」としながらも、「わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しくなる中、国民の生命と財産を守るため何をすべきか、常に現実をしっかりと踏まえながらさまざまな検討を行っていくべきだ」と述べ、将来的な検討に含みを残した。

 敵基地攻撃能力の保有をめぐっては、小野寺五典防衛相が弾道ミサイル対処能力強化に関連して検討の意向を示している。首相は会見で「専守防衛の考え方はいささかも変更はなく、これからもそうだ」と強調した。

 公明党の山口那津男代表は6日、広島市で記者会見し、敵基地攻撃能力の保有について「冷静に考える必要がある。わが国は国際社会と連携して北朝鮮の非核化を目指そうという運動の中心にいる」と慎重な姿勢を示した。

 一方、首相は先の内閣改造に際して小野寺氏に検討を指示した防衛大綱の見直しについて、「南西地域の防衛強化や弾道ミサイル防衛の強化に加え、宇宙、サイバーといった新たな分野も検討課題になる」と指摘した。 

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