地位協定の改定 

以前から何度か取り上げてきたが、日米安保条約の実務規定が日米地位協定であり、さらにそれを運用するのが日米合同委員会である。日米地位協定は、わが国が米国により実質的に占領された状況を維持するシステムになっている。

自主憲法を制定することを党是とする自民党の歴代政権、さらに戦後レジームの転換をうたった安倍政権でも、その状況は固定化されこそすれ、改訂しようという動きは、まったく出てこない。戦後72年たったのに、だ。

政官財が、このシステムによって、利益、利権を得ているからに他ならない。内田樹氏が、この隷属状況を、このように述べている。

北朝鮮が、グアム近海に向けてミサイルを発射すると言っただけで、それはわが国の存立危機事態に相当しうるので、ミサイルを攻撃する、または敵基地を先制攻撃する、という。これは、すなわち米国の盾になって、我が国を戦場にする、ということだ。安倍首相・小野防衛相は、一体どこを見ているのか。

米朝関係は、我が国政権の戦争に向けて前のめりになるのを差し置いて、一応落ち着く傾向を見せている。米朝間緊張を煽った当事者の一人、トランプ大統領にとっては、足元から政権が瓦解し始めている。トランプ大統領と一心同体だと述べた安倍首相も、やがて政権の座から追われることになる。次の政権では、日米地位協定の改定をぜひ行うべきだ。

以下、引用~~~

 8月17日付朝日新聞デジタル 米軍基地運用、他国では? 自国で管理権、騒音規制も

米軍機オスプレイの墜落や江崎鉄磨・沖縄北方相の発言で、日米地位協定に目が向けられている。日本では基地の管理権は米軍に委ねられ、運用について日本政府は制限できる立場にない。同じ大戦の敗戦国であるイタリアやドイツは、管理権を自国で持っていたり、軍用機の騒音規制が可能だったりする。国内の関係自治体は長年にわたり、協定の改定を求めている。

北大西洋条約機構(NATO)は、同盟国の駐留軍の法的地位について、共通のNATO軍地位協定で定める。

国内に六つの主要米軍基地を抱えるイタリアは、基地の運用・管理に関する米国との二国間合意(1954年締結、95年改定)を結んでいる。

国内の米軍基地の管理権はイタリアにあり、軍用機の発着数や時刻はイタリア軍司令官が責任を持つ。飛行訓練には国内法が適用され、重要な軍事行動にはイタリア政府の承認が必要とされる。イタリア軍元統合参謀総長のビンチェンゾ・カンポリーニ氏は「米軍とイタリア軍は明白な相互関係にある。イタリア当局の管理が及ばない状況はない」と話す。

1998年に低空飛行訓練中の米軍機がロープウェーのケーブルを切断し、スキー客ら20人が死亡した事故後もイタリア当局は直ちに米軍と協議し、米軍機の低空飛行を厳しく制限した。

イタリアの米軍に対する発言力の強さの背景には、第2次大戦で連合軍に敗れた一方で、ナチス・ドイツ軍に占領された北部のレジスタンス勢力が連合軍の協力を得て蜂起し、自力解放を果たした歴史があるという。その後、安全保障上互恵的な関係が続いた。

ドイツでは、NATO軍地位協定を補う形で、ドイツ国内の駐留6カ国との補足協定(ボン補足協定)で基地使用が定められている。冷戦時代、米軍の危険な超低空飛行訓練などが問題化。90年の東西ドイツ統一直後から、改定への取り組みが進んだ。

2年の交渉を経て、基地外での訓練はドイツ当局の承認が必要となり、危険物を輸送する場合も含め駐留軍の陸海水路の移動のすべてにドイツの交通法規が適用されるように改定された。駐留軍機は騒音を規制する国内法にも縛られる。

ドイツ外務省法制局長として改定交渉を率いたトノ・アイテル元国連大使は「冷戦終結後も我々は米軍を必要としており、交渉では妥協も必要だったが、統一を達成した今こそ完全な主権を得るべきだとの考えには(米国からも)大きな異論はなかった」と振り返る。(ローマ=山尾有紀恵、ドイツ西部ケルン=喜田尚)

■日米地位協定、本体は一度も改定されず

「米軍基地をめぐる諸問題を解決するためには、日米地位協定の見直しは避けて通れない」。沖縄県の翁長雄志知事は14日、小野寺五典防衛相との会談で、協定改定などを求める要望書を手渡した。

地位協定は、日本国内での米軍の権限などを定めた協定で、1960年に結ばれた。米国が米軍の施設内で運営や管理に必要なすべての措置をとることができると規定し、軍人や軍属が公務中に起こした事件で米側に優先的な裁判権を認めている。環境調査のための自治体の立ち入りを認める補足協定や軍属の範囲を明確にする補足協定が策定されたが、本体は一度も改定されていない。

今月の豪州でのオスプレイ墜落事故後、小野寺氏が米側に飛行自粛を求めたが、米軍は翌日に沖縄で飛行させた。日本政府はその後、飛行再開を容認し、北海道での自衛隊との共同訓練にも18日からオスプレイが参加する。各地で起こされている米軍機の騒音をめぐる訴訟では、騒音が違法と認定されながら「国に権限がない」などとして飛行差し止めは認められていない。

米軍基地を抱える15都道府県でつくる渉外知事会は、沖縄県で米兵による少女暴行事件が起きた1995年から、国に改定を求め続けている。今年も2日、「米軍基地に起因する環境問題、事件・事故を抜本的に解決するには地位協定の改定は避けて通れない」などとする要望書を外務省や防衛省に提出した。市街地や夜間、休日などの飛行制限や最低安全高度を定める国内法令の適用▽日本に第一次裁判権がある場合、日本の容疑者引き渡し要請に応ずる▽基地外での事故現場での統制は日本当局の主導で実施する、など15項目の改定要求ポイントを挙げた。

協定の本質的な見直しがなされないことについて、元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「多くの国民に『地位協定は沖縄など基地を抱える地域の問題』という意識が染みついている」と指摘。「日本政府内で『外交とは米国との間に波風を立てないこと』という傾向が強まるなか、米側が嫌がる地位協定の改定はもってのほかという状態になっている。国民の薄い当事者意識は政府にとって都合がよく、本来主張できることさえしていない。まずは国民が、同じ同盟国であっても米軍基地の受け入れ方は国ごとで違っているということを知るべきではないか」と話す。(其山史晃、木村司)

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