米韓合同軍事演習がもたらすもの 

下記の論説は、辺真一氏が、米国が北朝鮮の要求に応じない理由を説明している。

一方、米韓合同軍事演習は、北朝鮮金政権にしたら、目の前で自らの命脈を経とうとする軍事行動と映ることだろう。同軍事演習が、北朝鮮を核軍備に走らせ、瀬戸際外交に向かわせている面も否定できない。

金政権は、独裁の全体主義政権であり、肯定する積りはないが、しかし核兵器まで開発し、東アジアの緊張の源になっていることは事実。そこから、状況を改善する努力をする以外にない。もし、北朝鮮への先制攻撃を行うと、北朝鮮と米韓、さらには米軍基地のあるわが国との間で全面戦争になる。すると、百万人規模の犠牲者が出ることになる。

1974年来続く、米韓軍事演習が、東アジアの緊張を作り出した、ないし悪化させてきたことは事実だろう。それを一旦棚上げにして、北朝鮮を交渉のテーブルに引き出す以外に、問題解決の方法はない。

この東アジアの緊張で、利益を得ている、軍産複合体の影が常に見える。不必要に緊張を煽ることに加担すべきではない。

Yahooニュースより引用~~~

米国が米韓合同軍事演習を中止しない理由
辺真一 | ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
8/20(日) 20:42

 トランプ政権は北朝鮮が中止を求めていた米韓合同軍事演習を21日から実施する。

 中止すれば、グアムへのミサイル発射を自制するとの金正恩政権の要求を聞き入れなかった。合同軍事演習に踏み切っても、戦略爆撃機「B-1B」さえ、演習に投入しなければ、北朝鮮のミサイル発射はないと読んでいるのかもしれない。

 北朝鮮は2015年1月10日、米韓が「今年の合同軍事演習を臨時中止した場合、北朝鮮も核実験を臨時中止する用意がある」と米国に提案したことがあった。韓国に対しても当時、朴槿恵政権が求めていた南北対話の再開、引いては南北高位級会談(首脳会談)にも応じる用意があることを表明していた。まさに、米韓合同軍事演習を脅威に感じていることの表れでもある。

 結局、米国は「防御目的の軍事訓練と核実験の可能性を不当に関連付けるのは適切ではない」として、また韓国も「核実験は国連安全保障理事会決議で禁止されたもので、米韓演習と連動するものではない」と北朝鮮の提案を拒否した。韓国国防部に至っては「泥棒が一時泥棒をしないので玄関の扉を開けてもらいたいと言っているのと等しい」と全く相手にしなかった。

 米韓両国が核実験の中止を交換条件として提示されても合同演習を止めない理由は主に四つある。

 一つは、かつて一度中止したのにその後、裏切られた苦い経験があるからだ。

 今から25年前の1992年に北朝鮮との間で「バーター取引」をしたことがあった。米韓両国は1992年に恒例の米韓合同軍事演習(当時はチームスピリット)を実施することで合意していたが、1992年1月7日、北朝鮮がIAEA(国際原子力機構)との核査察協定に調印することを条件に14年間続いていた合同軍事演習の中止に踏み切った。

中止が発表されると同時に北朝鮮外務省はIEAEの査察受け入れを表明し、1月30日に査察協定に正式調印した。翌2月には南北初の総理会談で「和解・不可侵と交流協力合意書」と「非核化共同宣言」が発表された。

 しかし、北朝鮮が申告した内容とIAEAの査察結果に重大な差があることが判明し、IAEAは北朝鮮に対して特別査察の受け入れを迫り、北朝鮮がこれを拒否したことで1993年にチームスピリットが復活することとなった。

 チームスピリットのハイライトである野外機動訓練が3月9日に開始されや通常は「戦闘動員体制」に留めていた北朝鮮が1983年以来10年ぶりに「準戦時体制」を宣布。そして3月12日に北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言した。

 米韓合同軍事演習を中止しても、北朝鮮が核開発を止めなかった過去の経緯からして、北朝鮮との取引に応じるのは北朝鮮の時間稼ぎに利用されかねないとの危惧が米韓両国にはある。

 二つ目の理由は、合同軍事演習が北朝鮮の戦争遂行能力を削ぐことにあるからだ。

 米韓合同軍事演習は北朝鮮を降伏させるための「5015作戦」に従って実施されているが、この作戦は2002年にブッシュ政権下で作成された「5030作戦」も取り入れている。

 当時、ラムズウェルド国防長官を頭にペンタゴンが作成した「5030作戦」はずばり、北朝鮮を干し挙げるための作戦計画である。軍事衝突発生前に北朝鮮政権を転覆させる多様な低感度の作戦で、統帥権者である大統領の承認なしで遂行できる作戦である。

 例えば、「R-135」偵察機を北朝鮮の領海に近づけ、北朝鮮戦闘機のスクランブル発進を誘導させることで燃料を消費させるとか、戦略爆撃機「B-1B」や原子力空母、原子力潜水艦など戦略兵器を投入し、北朝鮮を緊張状態に置き、北朝鮮の戦争備蓄を消費させ、経済活動を麻痺させるという戦法が取り入れられている。制裁を掛けて、北朝鮮の金融システムを封鎖する作戦も含まれている。

 三つ目の理由は、北朝鮮が核とミサイル開発を止めないことにある。

 米韓合同軍事演習は米国が敗退したベトナム戦争直後の1976年に兄弟国・北ベトナムの勝利で勢いづく北朝鮮の脅威から韓国を守るためスタートした。当時の演習コードネイムは「チームスピリット」と命名されていた。

 北朝鮮の脅威が存在する限り、軍事境界線(38度線)が引かれている限り、米韓は米韓総合防衛条約に従い、同盟国の韓国の安全を保障するため合同軍事演習を続けることにしているが、北朝鮮の核開発疑惑が浮上した1990年からは北朝鮮の核脅威に対処するうえでも欠かせない訓練となっている。

 現在の演習が朝鮮半島有事の際に北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)を破壊、無能力化することに主眼が置かれていることでもわかるように北朝鮮が核を放棄しない限りは、合同演習は継続されることになる。

「1994年は戦争一歩手前だった」―元韓国大統領秘書室長の証言)

 最後に、朝鮮半島(韓国)は米軍にとって格好の演習場となっていることだ。

 朝鮮半島は「アジアの火薬庫」と称されて久しい。駐韓米軍と韓国軍は東西248kmに及ぶ軍事境界線(DMZ)を挟んで120万の兵力を有する敵(北朝鮮軍)と対峙している。世界でも稀に見る緊張状態が続く地域では本番さながらの演習が可能だ。

 まして、韓国は親米国家である。また、保守、革新問わず、歴代大統領は親米である。米軍撤退の声も、基地反対の声も起きない。米軍にとって演習の立地条件としてはこれほど好条件に恵まれているのは他にない。

 国際的紛争の解決に向け在韓米軍を他の地域に投入する、あるいは紛争地域に派遣するうえでも韓国での演習は米軍にとって不可欠なのである。

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