経済成長神話 

労働生産性にはいくつかの定義があるが、労働者一人が生み出す付加価値という定義がある。それによると、付加価値は、ある製品を製造するに際して、様々なコストのインとアウトの差、すなわちその製造によって生み出された価値ということになる。

その付加価値は、賃金・利潤・利子等に分配される。

1990年代からの趨勢は、増大しない付加価値のなかで企業利潤に回すために、賃金が抑制されてきたということだ。

別なマクロ経済的な、労働生産性の理解は、クルーグマン「マクロ経済学」によると、労働生産性は、実質GDP、物的資本、人的資本さらに技術水準の関数になる、という。

集計的生産関数 Y/L=f(K/L、H/L、T)
            Y 生産される実質GDP
            L 雇用者数
            Y/L 労働者一人当たり実質GDP
            K/L 労働者一人当たり物的資本
            H/L 労働者一人当たり人的資本
            T    生産技術の水準

となる。人的資本がある程度のレベルに達した先進国では、生産技術の水準が労働生産性を規定する。クルーグマンは、生産技術の向上に対して楽観的な見方だが、水野和夫等の歴史的検討では、その因子は徐々に小さくなってきている、という。物的資本に関する収穫逓減、すなわち生産に関わる設備投資を行っても、その額の増え方と、生産性の向上とは直線的な比例関係にはならないことが知られている。

労働生産性を向上させ、それによって経済成長を目指すという戦略自体が成立し難くなっている。

さらに、労働生産性向上があったとしても、これまで企業内部留保にもっぱら回されてきた。それは供給サイドで解決する問題ではない。

経済成長だけを追い求めるパラダイムは、転換を迫られているのではないだろうか。

安倍首相が言う、生産性向上により賃金上昇という話は、実現しない。

生産性向上による経済成長は、すでに神話化しているのではないだろうか。

安倍首相には、まずこれまでの自身の経済・財政政策をきちんと見直し、総括をしてもらいたい。

以下、引用~~~

首相「生産性革命こそがデフレ脱却への確かな道筋」 未来投資会議
2017/9/8 11:56

 政府は8日午前、首相官邸で未来投資会議(議長・安倍晋三首相)を開き、少子高齢化が進む中での成長戦略の課題などについて議論した。安倍首相は会議で、企業の生産性向上によって「4年連続の賃上げをさらに持続的かつ力強いものとしていく」と話し「生産性革命こそがデフレ脱却への確かな道筋となると確信している」との考えを示した。

 また、安倍首相は生産性革命の実現に向けては「当然画期的な政策が求められる」と主張。企業が持つ高水準の内部留保が設備や人材への投資に振り向けられるよう「税制、予算、規制改革などあらゆる政策を総動員していく」と述べ、茂木敏充経済財政・再生相をはじめとする関係閣僚らに施策の具体化を求めた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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