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医療事故を減らすことに役立つのか? 

医療事故、それに結びつきうるが大事に至らなかった事例(ヒヤリハット事例と言われている)を、日本医療機能評価機構が全国の医療機関から集計して、発表した。それを、下記の通り、毎日新聞が報道している。

同機構の報告は毎年同じような形式だが、無意味な数値の羅列が続く。各医療行為の母集団の数が分からなければ、統計的な数値を出しても意味がない。例えば、午前中に医療事故が多いというのは、もともと午前中に医療行為を行うことが多いからではないのか。

また、医療は、労働集約的な事業だ。医療スタッフの労働条件について、個々に検討考察することが、医療事故を減らすためには必須だ。

同機構は、医療事故に関わった医師や看護婦の、事故前1週間の労働時間を調べている。例えば、平成19年1から3月までの、医師の平均労働時間は、49.7時間であり、昨年1から12月までの値53.2時間よりも減少しているらしい。大体、一週間に一回以上の当直という名の夜間労働を行っていることを考え、医師不足が顕在化していることを考えると、この数値は、にわかに信じがたい。

この数値には、非常勤医師の労働時間が加味されていると、同機構は「逃げている」が、非常勤医師は、他の医療機関でフルタイムの仕事をしているはず。その労働時間を加えるべきである。こうした、労働時間が大して長くないというデータを出すことは、厚生労働省の意向を受けてのことではないかと疑われても仕方あるまい。医療機関の機能を評価するためには、医療スタッフの労働条件の評価を正確に行うことが必要なのだ。でなければ、同機構が真に第三者なのかどうか、大きな疑問符が付く。

さらに、労働条件を問題にするならば、医療事故を起こす2,3日前の勤務状態も検討しなければ意味がない。事故前、2,3日前の労働条件が、事故に直結する可能性が高いからだ。

同機構の報告の後半には、具体的な事例の記述が、ジャンル別に行われている。その結論と予防対策として、「観察をしっかりする、ダブルチェックする、経験不足のスタッフが担当したので教育をしっかりする」といった医療スタッフに直接関わる事項が並ぶ。どのようなスタッフが、どのような労働条件で、起こしたのか、個別の医療システムに問題がなかったのかを検討すべきなのではないか。「観察・チェックをしっかりする、教育をしっかりする」といったありきたりのスローガンを並べても、医療事故は減らない。

同機構の報告責任者、野本元九州大学教授が述べている通り、医療事故の多寡を問題にすべきではない。しかし、同機構のこの報告が、医療事故・ヒヤリハット事例を減らすことを目的に過去9年間活動してきたとするなら、医療事故・ヒヤリハット事例が「増えている」ことに対して、同機構の責任も生じる。少なくとも、あまり意味のあるとも思えぬ報告を毎年繰り返し出すことはそろそろ再考の時期に来ているのではないか。

毎日新聞は、この報告の内容をただそのまま報告するのではなく、批判的に検討できないのか。医療のことはおろか、統計の初歩も分からぬようでは、医療報道を行う資格に欠ける。

以下、引用~~~

医療事故1296件中死亡152件 患者移動中が最多
07/07/19
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:634700


医療事故:1296件中死亡152件 患者移動中が最多----06年

 日本医療機能評価機構が18日公表した06年の医療事故情報年報によると、大学病院など報告義務がある273カ所の医療機関から寄せられた医療行為に起因する事故は、1296件(前年比182件増)で、死亡事例は152件(同9件増)。発生場面では、患者移動中(102件)▽開腹手術(42件)▽内視鏡治療(26件)▽静脈注射(19件)などが多かった。

 また「ヒヤリ・ハット」の事例は、1276カ所の医療機関から19万5609件の報告があり、うち患者の生命に影響する間違いに事前に気付いたケースが3155件あった。【清水健二】

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