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福島県立大野病院事件第六回公判 

上記が、20日に開かれた。今回は、検察側鑑定人の新潟大学産婦人科田中教授に対する証人尋問が行なわれた。関連する新聞マスコミ記事及びネット上での情報が、ブログ「ある産婦人科医のひとりごと」でブログ主の産婦人科臨床医の方の優れたコメントとともにアップされている。ここ。

田中教授の専門が、婦人科腫瘍であり、産科の極めて臨床的な事例を鑑定する専門家としての的確性が、問題にされた。恐らく、田中教授自身が、問題がここまで拡大するとは想像していなかっただろう。医療・医学は、細かく専門分化している。臨床的な問題を、刑事事件として扱う、即ち極めて厳格な判断を必要とする場合、臨床の不確定な事象を扱うことに熟知する、その領域の専門家が鑑定すべきだ。教科書と、論文だけに頼った鑑定では、臨床現場の困難さを正しく評価できないだろう。田中教授は、このケースの鑑定人として相応しくなかったのではないか。

臨床現場で何らかの治療を行なう場合、様々な可能性を想定して行なう。様々な可能性を検討し、もっとも可能性が高く、重要かつ緊急を要する手順をまず取るのが原則だ。その場合、他の数多い可能性すべてを否定しつくすことは、時間と医療費が許さぬことが多い。特定の治療手技を行い、結果として、予期せぬ悪い経過を取った場合、他の可能性があったといって、当初の決断に対して刑事上の責任を追及するとすれば、医療は成立し難くなる。「予見可能性・回避可能性」を、徹底して追及すれば、いかなる医療行為も行なえなくなる。医療事故すべてに無条件に免責を要求することはできないが、少なくとも、この大野病院事件では、刑事責任を追及することは、産科医療・急性期医療の成立根拠を突き崩すことになる。

恐らく、医療を少しでも知れば、そのようなことはすぐに理解できることだ。検察が、それを知りつつ公判維持するとすると、これは法曹システムの欠陥ということになる。それが改められるまでに、医療崩壊は進み、多くの犠牲者が出ることになるのだろうか。立法・司法両者に投げかけられた深刻な問題だ。

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