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「働き方改革」の中身 

旧日経連の「新時代の日本的経営」(1995年)によると、雇用形態を次の三つの類型にすべきであると指摘されている。グローバリズムのなかで生き残るため、というスローガンのもと、労働者、被雇用者の雇用形態が、長期雇用から有期雇用へ、そして正規雇用から非正規雇用へ変化させるという方針が示されたわけだ。

(1)「雇用柔軟型グループ」、すなわち単純作業を行うパート・契約社員・派遣社員

(2)「長期雇用を前提としない高度専門能力活用型グループ」、専門性の高い派遣社員

(3)長期雇用に立つ「長期蓄積能力活用型グループ」、すなわち管理職・総合職・技能部門の正社員

その後、この類型分類は、経団連に受け継がれ、自民党、自公政権によって着実に労働行政政策に反映されることになった。

即ち、小泉政権時代に派遣労働が大幅に解禁になり、(1)、(2)の類型の雇用が大幅に増えた。それによって、竹中平蔵等の人材派遣業が法外な利益を上げ、さらに企業の内部留保の莫大な積み上げが行われた。

それだけでは、経営者たちは飽き足らず、(3)を(1)(2)と同じ雇用形態にし、その上で、残業時間を認めぬ雇用形態に転換しようとしている。

国会で審議されるという「働き方改革」とは、残業時間をゼロにする法案を制定する動きに他ならない。

年収1075万円以上の専門職は、どれほど残業しても残業代はゼロとなる。ただ、経団連は年収の縛りを400万円にすることを主張しているので、一旦この高度プロフェッショナル制度、専門職の残業代ゼロ法案が実現すると、年収の縛りは限りなく、引き下げられることになる。

裁量労働制の拡大も行われる。対象が企画業務型労働に限定されているが、曖昧で抽象的な枠組みであり、様々な業種、業務内容が、裁量労働制の対象にされる。これには、収入額による枠はない。いかに低賃金であっても、残業代が支払われないことになる。

両者ともに、労働者の健康に配慮する条件が定められる。だが、それは緩いものでしかなく、過労死を引き起こす可能性が高い。

これら残業代ゼロに加えて、下記記事にあるように、非正規雇用の正規雇用化のために作られた「無期転換ルール」が、非正規雇用の雇止めを促進している。そうでなくても条件が劣悪で不安定な非正規雇用が、さらに不安定な立場に置かれる。

正規雇用であっても、非正規雇用であっても、このように経営者・雇用者にとって都合の良いように労働者が酷使される。その制度化を目指すのが、「働き方改革」の内実だ。

恐らく、安倍政権は美辞麗句を並べて、この労働者酷使法案を国会で通すように主張するはずだ。その詭弁をよくよく見ておこうではないか。この「改革」は、国民を疲弊させ、困窮させる。それによって、内需がさらに低迷し、企業内における技術・技能の伝承が行われにくくなる。少し長期的視野に立てば、この労働法規改変がいかに間違っているか、容易に分かるはずだが、政権と財界は長期的視野等我関せずである。

以下、引用~~~

有期雇用、雇い止め急増 4月から「無期転換ルール」

2018年1月19日 東京新聞朝刊

 有期雇用で働く人が、無期雇用への転換を求めることができる「無期転換ルール」が四月から本格的に始まるのを前に、企業から契約を打ち切られる「雇い止め」が多発している。労働組合などに突然職を失った人たちからの相談が相次いでおり、問題は深刻化している。 (木谷孝洋)

 「年末に突然、『次は更新しない』と言われた」

 「十二年間働いたのに、能力不足を理由に雇い止めになった」

 有期契約や派遣で働く人たちが加入する全国ユニオン(本部・東京)には昨年九~十二月、雇い止めに関する相談が三十二件寄せられ、前年同期の三倍に達した。連合にも昨年十二月、前年同期より十件近く多い百一件の相談があった。厚生労働省の調査でも増加しており、担当者は「四月に向け、さらに増える可能性がある」と話す。

 背景にある無期転換ルールは、有期雇用の労働者が通算五年を超えて契約を結ぶと、雇い主に無期雇用への転換を申し込める制度。企業側は拒否できない。雇用の安定化を目的に、二〇一二年に成立した改正労働契約法に盛り込まれた。

 パートや契約社員など有期雇用で働く人は約千五百万人に上り、うち約四百万人が五年を超える。これらの人たちの多くが、一三年四月の法施行から五年となる今年四月から無期雇用を申し込めるようになる。

 企業の多くは「パートナー社員」など新たな職種を設けて無期への転換を進めているが、駆け込み的に有期雇用者との契約を打ち切る企業もある。全国ユニオンの関口達矢事務局長は「無期の負担を嫌った企業が契約更新を拒否するケースが目立つ」と指摘する。

 「抜け道」もある。六カ月以上の契約空白期間(クーリング期間)を置けば通算の契約期間に数えない規定だ。自動車メーカー十社のうち七社は、これを利用して通算で五年を超えるのを防いでいたことが、厚労省の調査で分かっている。

 労働契約法は、雇い止めは「社会通念上相当であると認められないとき」は無効と定めているが、個別の案件は司法の判断に委ねられる。無期転換ルールは違反しても罰則がなく、行政は制度の周知や啓発しかできないのが実態だ。

◆使い捨て発想 脱却の時
<解説> 「無期転換ルール」は、有期契約で働く人の雇用の安定に生かすのが本来の目的だ。趣旨に反して、企業が駆け込み的に雇い止めをすることは許されない。

 無期転換は働く人だけでなく、企業にとってもメリットはある。有効求人倍率は一・五六倍と四十三年ぶりの高水準となり、労働市場は人手不足といわれる。雇用を有期から無期にすれば、企業は人材確保の見通しが立てやすくなり、社員の能力向上にもつながる。無期契約を負担ととらえるのではなく、人事や業務のあり方を考え直す契機にすべきだ。

 パートやアルバイトなどの有期労働者は、雇用の調整弁の役割を果たしてきた。だが、契約更新を繰り返し、事実上、無期雇用と同じように働く人も少なくない。経営者は、短期間で使い捨てるような発想から脱却する時期に来ている。クーリング期間規定の廃止や、違反した場合の罰則の新設も検討する必要があるだろう。 (木谷孝洋)

<無期転換ルール> 有期雇用の労働者が通算5年を超えて契約を結ぶと、企業に無期雇用への転換を申し込める制度。1年契約は6年目に、2年や3年契約の場合は5年を超えることが確定した時点で申し込みの権利が発生する。企業は拒否できない。改正労働契約法には「無期と有期の待遇に不合理な格差を設けてはならない」とも明記した。


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