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アマチュア無線免許制度の、日米比較 

とあるサイトで、米国ではvanity callの申請料が無料になったことを知った。2年ほど前のことだ。ARRLのサイトでも確認した。あちらはアマチュア無線資格の受験料は15ドル以下とある。日本円で1600円以下である。そして、免許は包括制度である。即ち、免許資格の許可される範囲であれば、どのような設備でも用いることができる。移動局、固定局の区別も当然ない。新スプリアス規制による新たな規制はなし。再免許は10年ごと(5年間換算だと、800円以下)。免許のペーパーレス化が始まっている。紙の免許が欲しければ、ネット経由でダウンロードするらしい。米国では、手続きの簡素化、コスト削減、そして免許制度権限のアマチュア無線ボランティアへの移譲が徹底して行われている。

一方わが国はどうか。規制の拡大による官僚制度が跋扈し、利権を得ようとする人々が、アマチュア無線を食い物にしている。

免許が、従事者免許と、局免許に分かれている。それはそれで良いとして、多くの方が従事者免許を取る際に利用する養成制度は、11200円から21000円かかる。その収入はJARDおよび同業他社が吸い上げる(今回改めて調べて分かったことだが、株式会社がこの養成事業に参入している)。従事者免許申請手数料1750円。移動局と固定局の区別がある。さらに、技適以外の機種の送信設備ごとに、紙面上の「保証」を受ける必要がある(こんなべら棒な免許制度は、外国にはない)。JARDの料金では、1台が4000円、2から5台が6000円、6台以上が8000円。本当に保証するなら、台数が増えると単価が下がるというのは理解不能。この無意味な紙面上の保証の料金も、JARD・TSSの懐に入る。これは、やくざのみかじめ料と相同である。

4級を養成課程で取得し、技適機種1機で開局するには、事務手数料だけで17250円かかる。技適外の1機の場合は、保証料が上乗せされ21250円である。米国では800円、我が国では17250から21250円。べら棒な差である。他の国でも、我が国ほどの高額な手数料をとるところはないのではないだろうか。これは、我々の負担の問題だけではない。行政コスト、事務手続きの煩雑さ等、目に見えにくいコストをもたらす。

さらに、新スプリアス規制では、規制の本来の主眼である、スプリアスによる障害の有無にかかわらず、古い機械は、新たに保証認定を受けろということになっている。この保証認定を行っているのは、再び、JARDである。JARLメンバーであると、新スプリアス規制保証の料金が割引になる、というのを見て笑ってしまった。免許のような公的な資格に、特定団体に利益を誘導するバーゲンセールが行われているのだ。以前記した通り、米国のみならず、少なくともドイツ・シンガポールでは、このような規制はない。他の国々のハムからも、この規制について聞いたことがない。わが国固有の規制なのではないか。

もちろん、vanity call programのような便利な制度はなし。再免許は5年ごとである。こちらでは、(再)免許申請はネット経由でできるが、紙の免許の送付のために別途SASEを総通に送る必要がある。

JARDには、元JARL理事達が天上がっている。おそらく、当局からの天下りも受け入れているのだろう。彼らは、有給の役員をしている。3,4年前に、JARDの経理状況をネットで調べたら、余裕資金が7千万円あり、投資をしているとあった。新スプリアス規制でまた、数千万円以上の利潤を何もすることなく上げているはずである。元JARL理事達は、アマチュア無線の後輩たちを食い物にしている。JARDは、公的な組織ではなく、利潤追求団体である。養成課程を生業とする業者にも、恐らく天下り、天上がりが巣くっているに違いない。

これから見えてくることは、日本のアマチュア無線には未来がないということだ。少なくとも、若い人々には、これだけの投資と手間をかけて、アマチュア無線を始めようという奇特な人はいないだろう。一方、米国では、アマチュア無線人口の増加が見られている。

JARDや関係組織の、この凄まじい官僚制と、利潤追求の姿勢に、我が国のアマチュア無線家から批判の声があまり聞こえてこない。JARLは、むしろこうした制度の存続、展開に手を貸している。国の電波行政の根幹である免許制度に、JARL、JARDのような行政以外の組織が食い込んでいることをいみじくも示しているのは極めて異常なことだが、何の批判も上がらない。

おそらくオカシイと思っているアマチュア無線家は多いのだろうが、何も言わない。そうした批判の声の受け皿となり、アマチュア無線家の権利のために当局と交渉すべきJARLが、むしろアマチュア無線家から利益を吸い上げる組織に堕している。JARLには、その執行部に批判的な理事を排除する仕組みができている。また、末端会員の声が、その運営に反映されにくい組織になっている。これでは、我が国のアマチュア無線に未来はない、ということになるのではないか。

これと同じ構図の、官民に加えて政治が関与する利権体質は、国のあちこちにある。医療機能評価機構による医療機関評価等も、その典型だ。それに対して、国民の大多数は否と言わない。小松秀樹氏の指摘する「通俗道徳」が国民にしみ込んでいるためだろうか。これでは、国の未来が本当に危ぶまれる。

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