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医療事故原因究明組織の枠組み 

医療の結果が悪ければ、すべて民事、さらには刑事の責任を医師が問われることが、現在進行中の医療崩壊の原因の一つになっている。

死因調査組織を立ち上げ、死因が原疾患によるものかどうか不明の例を検討する。報告を怠ると、ペナルティを課すという。さらに、調査結果は、行政処分・民事・刑事訴訟に利用する、ということらしい。

「明らかな」過失・故意による医療事故といった例外はあるが、不明な死因を検討するのは医学的な見地からのみ行なわれなければならない。全力を出したが結果が悪かった医療に関して、行政処分・民事訴訟はては刑事訴訟にまで持ち込まれることが予測される場で、検討されることを望むほど医師は強固な存在ではない。「原則免責」がなければ、真実は明らかにできないだろう。

死因が原疾患と関係あるかどうか、厳密に言えば不明なケースは、残念ながら少なくない。人が死ぬときには、様々な現象が起きる。様々な感染症、全身性の出血、多臓器の機能不全等々。原疾患と関係ないケースをすべて報告したら、この新しい組織は、飽和して機能しなくなるに違いない。

さらに、こうした組織ができると、医療訴訟を起こしやすくなるだろう。和解金目当てに、訴訟を起こすケースも増えるに違いない。明らかにそうしたケースには、医師から反訴する権利が保証されなければならない。

一言で言えば、こんな組織は、ちゃんと機能しないだけでなく、無理に導入したら、医療崩壊をさらに推し進めるだけだろう。全力を尽くした先に、医療訴訟が待ち受けていることを知りながら、医療を行う医師はいない。急性期医療・産科医療は、存在しえなくなる。

付けたしだが、この検討会の座長は、刑法の専門家らしい。それも、結果責任を重視する立場の方のようだ。こうした検討会の委員の人選、さらに目指す組織の枠組みをみると、官僚が、医師を支配しようとする強固な(しかし、とんでもなく誤った)意志を感じる。大学医局から医師の人事権を奪い、地方自治体による医師の配置権を確立しようとしていることと合わせて、医師を支配するシステムを着々と作り上げている積りなのだろう・・・果たして、上手く行くのだろうか・・・。




以下、引用~~~

新組織への報告義務付け 患者死亡時、医療機関に 違反にはペナルティーも 厚労省検討会が合意 (1)
07/08/13
記事:共同通信社
提供:共同通信社
ID:654484




 医療事故の原因について中立的立場で究明する新たな組織創設を目指している厚生労働省の検討会(座長・前田雅英(まえだ・まさひで)首都大学東京大学院教授)が10日開かれ、患者の死亡事例を対象に新組織への届け出を医療機関側に義務付けることで委員の意見が一致した。

 報告を義務付けるのは、疾患が原因で死亡したのかどうかが不明の場合など、何らかの疑問があるケースに限定する。

 カルテを改ざんしたり、警察への届け出を見送ったりするなど、医療機関の「隠ぺい体質」が問題化していることから、事故が疑われるすべての事例を調査できるようにすることが必要と判断した。届け出を怠った場合には何らかのペナルティーを設ける方針で、近く検討会で出された主な意見を「中間報告」としてとりまとめ、公表する。

 現行の医師法では、死因がはっきりしない「異状死」は24時間以内に警察に届け出ることになっているが、検討会では「届け出先は原則として新組織にすべきだ」との意見が大勢を占めた。

 ただ明らかに過失が疑われるケースに限り、これまで通り警察に届け出るべきだとの指摘もあり、この点については各委員の主張が対立。「明らかな過失」の判断基準や、調査の過程で遺族の声をどのように反映させるかなど細部も決まっていない。検討会は年内に最終報告書をまとめる方針だが、結論が出るまでにはなお曲折がありそうだ。

 新組織は国土交通省航空・鉄道事故調査委員会になぞらえ「医療事故調」と呼ばれている。検討会の委員は医師や弁護士、医療事故被害者の遺族ら14人で、4月から計7回の会合を開いた。

 これまでの意見を集約すると、新組織は行政機関の中に置き、医療の専門家らで構成。遺体の解剖や関係者からの聞き取り、カルテの調査などを基に死亡事例が「事故」かどうかを検証する。調査に法的な強制力を与えるべきだとの意見も根強い。

 検討会ではこのほか、医療機関だけでなく遺族からの届け出も認めることや、調査報告書を行政処分、刑事・民事訴訟に活用することで大筋合意した。

▽医療事故調

 医療事故調 疾病との因果関係がはっきりしない患者の死亡について、公平な立場で原因究明を行うための組織。厚生労働省の素案では(1)臨床医や解剖医などの医療関係者や法律家らで構成し、行政機関内に設置(2)解剖、尿や血液検査、関係者からの聞き取りなどを通じ調査(3)報告書を作成し公表―などを想定。有識者による検討会の議論を経て今年中に法制化の準備に着手、2010年発足を目指している。刑事、民事訴訟に委ねざるを得ない医療紛争の有効な解決手段として、患者・遺族と医療側の双方から期待が寄せられている。

コメント

某医療系BBSで医療訴訟にかかわっておられる医師が、この組織について、下記のような発言をしていた。的をついた発言だ。

「憲法で保障されている自己負罪拒否特権(犯罪の捜査段階 において「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」)」があるから、もしこの組織が、強制力を持つものになるならば、医療事故に刑事免責を導入することが必要だ。そうでなければ、憲法違反になる。

民事訴訟についても、この組織による調査結果が利用されるとすると、医療側にとって不利益になりうるので、免責が必要だ。

という論旨だ。民事に関しては、議論もあるだろうが、刑事免責が保証されなければ、医学的な真実の追究は無理だろう。

それにしても、この組織も、官僚の天下り先確保のために考えられているのではないかと思うようになった。

医療が崩壊する等とは、彼等は想定をしていないのだろう。絞れるだけ絞り、締め付けられるだけ締め付けようという魂胆なのだろう。崩壊してから、初めて動き出すのだろう。官僚の無責任さ、鈍感さが、いつになったら国民やマスコミの知るところになるのだろうか。

【Medical Research Information Center (MRIC) メルマガ 臨時 vol 34

第7回 診療行為に関連した死亡に係る死因究明等の在り方検討会傍聴記
~ 本当の議論はこれからなのに ~】

によると、マスコミに流された、届出義務化、ペナルティの方向性は、決まったものではない、とのこと。

マスコミが虚報を流したか、厚生労働省の言うなりの報道をしたのではないか、ということだ。

あきれてモノが言えない。

マスコミは、この検討会をちゃんと傍聴して記事にしたのだろうか。それと、官僚は、マスコミを利用して世論を形成する手法をもし行なっているなら、即刻中止せよ。

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