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パタゴニア国立公園 

New York Times に、米国の篤志家が、チリに広大な土地を寄贈し、チリ政府自身の土地と合わせて、広大な国立公園が誕生したという記事が載っていた。こちら。

Tompkins夫妻がその贈り主。ご主人は、1961年、18歳の時にロッククライマー・冒険家としてチリのパタゴニア地方を訪れた。その自然に魅了され、30年後から、パタゴニアの土地を少しづつ買収し始めた。Tompkins氏は、North Face and Esprit clothing社というアパレルメーカーで巨額の富を築き、土地の買収に34500万ドルを費やした。買収した土地は、100万エーカー。そこに、チリのBachelet政権は、900万エーカーを加え、パタゴニア国立公園機構を創立した、ということのようだ。その広さは、ヨセミテ・イェローストーン公園を合わせた土地の3倍に相当するという。2015年、Tompkins氏は、72歳のときに、カヤックで事故に遭い、亡くなられた。奥さまが実際の寄贈手続きを行ったらしい。

この土地を購入し続けている間、チリの国土を分断するので安全保障上問題だとか、ユダヤ人入植地をつくるのではないかとか、様々な批判が続いたらしい。そうした批判を受けながらも買収を続け、この公園の実現にこぎ着けた。Bachelete氏は、この公園は、チリ国民のためだけでなく、地球レベルの財産になると述べている。

この話に接して、その壮大な規模に驚嘆し、Tompkins夫妻の善意に感動する。

その感動を一旦おいて考えると、やはり個人がこれだけの資産を持てることはやはり格差の問題を反映しているのではないか、という思いがもたげてくる。3億4500万ドルというと350億円超である。ご夫妻の善意の大きさに心底こころ動かされる一方で、それだけの資産が個人に集中することにいささか釈然としないものを感じるのだ。この格差社会では富める者と貧しい者の差が拡大をし続け、世界の富がごく少数の人間に集中するようになっている。多くの資産家は、残念ながら、Tompkins夫妻のように善意の人々ではない。彼らは、さらに利益を得ようと、政治と結びついて、社会の制度を自らに有利なように変えようとする・・・今進行中の「働き方改革」なぞ、その典型だ。この格差拡大社会は不安定化し、永続しない。

だが、それでも、Tompkins夫妻は、我々に大きな贈り物をしてくださったと思う。NYTimesの記事にある画像を見ると、訪れてみたくなる。ドロドロした欲望と利権の渦巻く社会のニュースばかりが流れてくるなかで、この記事はまさに一幅の清涼剤だ。

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