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奈良死産事件 続報 

この事件に関する、毎日新聞の報道振りは、とりわけ熱心だ。大淀事件で意図的な捏造報道を行ない、それが医師達により指摘されて失った報道機関としての信頼を取り戻そうとしているかのようだ。もっとも、それが尽く逆方向に向かう報道になってしまっているのだが・・・。

ここで引用する同新聞の記事は、医療現場の産科救急の現状を、この事件に絡めて調べた記事で、内容はそれなりに評価できる・・・ところが、結論は、最期に登場する「お産ジャーナリスト」に語らせている「医師・医療機関批判」である。これだけの実情を知って、何故このような結論が出るのか、大体、日本語の記事として辻褄が合うのか・・・不思議な新聞社だ。

想像するに、最期の「お産ジャーナリスト」の発言は、取材記者ではなく、デスクなり、本社の意向で付けられたものなのだろう。これが、毎日新聞の本音だと言える。

以下、引用とコメント~~~

4病院、医師足りず 9施設調査、分娩続ける産科に負担 奈良・妊婦搬送中流産
07/08/30
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
ID:672206


奈良・妊婦搬送中流産:4病院、医師足りず 9施設調査、分娩続ける産科に負担

 奈良県橿原市の妊婦(38)が大阪府高槻市の病院へ搬送中に救急車内で流産した問題で、受け入れを不可能とした9施設のうち、4病院が当時、わずかな人数の産科医で分娩(ぶんべん)などに追われる状況だったことが29日、毎日新聞の調べで分かった。全国的に問題とされている産科医療の体制不備には、分娩の取り扱いをやめたり制限する産科が相次ぎ、分娩を続ける病院に負担が集中しているという実態が背景にあることが改めて浮き彫りになった。(31面に関連記事)

残りの5病院では、十分な数の産科医がいたのだろうか。後で記すように、奈良県立医大でさえ、当直医が一人で対応し、手が足らなくなったので、深夜にもう一人の産科医を呼び出して、当夜の救急・術後のケアに当たっていたのだ。他の施設で、有り余る人数の産科医が、夜間当直についていたことは想像できない。

もう一つ、当直医は、本来入院患者の急変などに対処するために医療機関にいるものであって、救急外来を訪れる患者さんへの対応はしなくても良いことになっている。でなければ、労働基準法に違反する。マスコミ記者諸氏は、当直医がこうした違法な状態に置かれて仕事をさせられていることをよくよく理解して頂きたい。

分娩を続ける産科に負担を集中させた責任を感じないのかと、毎日新聞にはどうしても尋ねたい・・・最期にもう一度述べる。


 受け入れの要請は、午前3-4時の間で、4病院が、医師が足りず、受け入れの余裕がなかった。最初に要請を受けた奈良県立医科大付属病院は、2人の当直医が陣痛の患者の診察に当たっており、受付の職員を通じて、受け入れ不可能と回答。同病院には、3時半と4時ごろにも要請の電話があったが、大量出血の患者の搬送が予定されているなどの理由で受け入れられなかった。

奈良県立医大の当夜の状況は、帝王切開の術後の患者のフォローに当直医が追われ、呼び出されたもう一人が、かかり付けの患者の分娩、さらに記事にもある、大量出血を起こして送られてきた患者への対応に追われていた、というのが実情のようだ。「2人の当直医が陣痛の患者の診察に当たっており」というのは、不正確であり、もし意図してこのように記したのなら、記者に悪意があると言われても仕方がないだろう。

 このほかは、「当直1人と、呼び出した医師1人の計2人で、4件のリスクの高い分娩に対応していた」(大阪市の千船病院)▽「当直が1人で、入院患者の分娩が始まっていた」(大阪府寝屋川市の藤本病院)などの理由だった。これらの病院では、分娩の取扱数が近年急増している。9施設のうち7施設が受け入れ不可能と回答していたが、残る2施設は「(搬送した橿原消防署から)連絡はなかった」とし、消防署の説明と食い違った。

 一方、今回は消防隊が一般の救急を原則的に受け付けない高次救急病院に要請したという不備もあった。大阪府和泉市の府立母子保健総合医療センターは「事務レベルで断った。通院患者や病院からの転送だったら受け入れていた」と話した。

毎日新聞も、当初在胎3ヶ月の児の妊婦と報道していたが、その後、在胎5,6,7ヶ月と変わった。この在胎期間も、医療機関の対応に大きく影響する。いつの間にか、流産から死産への報道内容を変えるのではなく、各医療機関にどのように依頼されていたのか、患者情報が伝わっていたのかということを、自らの誤報の訂正と合わせて行うべきではないだろうか。高次救急施設に、一次救急のレベルである在胎3ヶ月の流産の症例が運び込まれていたら、高次救急施設はパンクする。この記事のようなマスコミの発言が、医療システムに混乱を来たし、そうでなくてもぎりぎり一杯のところで踏ん張っている夜間救急をぶち壊すことになる・・・それを、マスコミは気づいていない、ないし気づいていても、知らん振りだ・・・。

 ◇出産ジャーナリストの河合蘭さんの話

ネットで調べるとすぐ分かるが、この河合さんという「出産ジャーナリスト」は、もともと写真家で、お産について個人的な関心から雑誌を発行している方のようだ。専門的な教育は受けていない。また、臨床の現場を全く知らない方だ。そのような方に、こうした深刻な産科救急の問題についてコメントを求める毎日新聞社の見識が疑われる。

 産科医不足が背景にあるのは間違いないが、増える見込みがない今、システムの工夫で対応すべきだ。搬送を断った病院が、どうすれば受けられるのか、国は徹底的に調査し、前向きな対策を講じてほしい。産婦の入院に対応していたとか、一般の救急だからという病院の言い分はおかしい。

産科医不足が背景にあるのは間違いないが、増える見込みがない、と良く言いきれたものだ。まずこの問題をこそ、徹底的に議論し、解決の方向を見出すべきだ。法曹人・官僚・政治家の恐らく一部は、産科医減少の理由は分かっているはず。しかし、マスコミが、こうして産科医・産科医療機関をバッシングするために、国民的な議論にならない。

「産婦の入院に対応していたとか、一般の救急だからという病院の言い分はおかしい」、これこそが毎日新聞の結論なのだろう。では、この患者さん以外の産婦人科の患者さんを放っておいて、この患者さんに対応し、それ以外の患者さんに不幸なことが起きたら、どうする積りなのか。滅茶苦茶な意味不明の結論だ。

毎日新聞よ、患者さんが妊娠6、7ヶ月、産科検診を受けていなかったこと等、患者側の問題は捨象するのか。

毎日新聞の「大スクープ」によって大淀事件を引き起こし、奈良県南部の産科医療を崩壊させた責任は、感じないのか。

コメント

このような文章が・・・

http://www.naramed-u.ac.jp/~gyne/2007.08.28.html

現場の悲鳴と、メディアが適当に書き殴った文章の、レベルの差がよくわかるというものです。責任を取らない、卑しいメディアに対しては、然るべき態度を取ることも必要でしょう。これで見ないチャンネルがずいぶん多くなりました・・・

重要な情報をありがとうございます。

この奈良医大の当直の記録を読んで、思わず胸が熱くなりました。メチャクチャな激務ではないですか・・・。

毎日新聞他のマスコミが、現場の声を無視した、いい加減な報道をする意図は何なのでしょうか。毎日新聞の報道には、特に明確な意図を感じます。彼等は、一体、どのような意図の下に、こうした報道をするのでしょうか・・・。

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  • [2008/01/07 01:06]
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