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反グローバリズムと右傾化 

昨日、とあるところで旧知の方に偶然お会いした。彼女は、ご主人とともに、以前私が勤めていた職場で、仕事をなさっていた方だ。その後、その職場を出て、自分で事業を始め、それを大幅に拡張なさっておられた。頑張っておられるなと思っていた。

ところが、彼女は、最近、仕事を半分以下に「畳んだ」という。理由は、人材難かと訊くと、その通りだとのこと。自分のお子さんがおらず、若い人に後を継いでもらおうかとも思ったが、どうもはかばかしい返事を得られないらしい。それで、仕事の規模を縮小したというわけだ。「終活よ」といって笑っておられた。

たまたま手に持っていた、私の本に目をやり、「面白そうな本ですね」と仰る。その本とは、ブレイディみかこ・松尾匡・北田暁大の鼎談を書籍化したもの。「そろそろ左派は〈経済〉を語ろう レフト3.0の政治経済学」というタイトル。その後、ビックリ仰天な言葉が彼女から飛び出す・・・私が、政治に関心があると思ったのか・・・youtubeで「桜ちゃんねる」というサイトの番組が見られるから、ぜひ見てみてほしいというのである。

「桜ちゃんねる」をじっくり見たことはないが、ネトウヨのメッカのサイトで、その内容はトンデモなものが多いことは知っていた。「あぁ、そうですね・・・」と言葉を濁して、その場から私は立ち去った。彼女は、反面教師、または批判の対象として、そのサイトを紹介してくれたのではない様子であることが分かった。あのサイトでの言論を信じ込んでいる様子だった。

上記の「そろそろ左派は・・・」という本は、グローバリズムによって痛めつけられ、緊縮財政を強要されている人々に対して、反緊縮財政の声を挙げようという趣旨の本である。左翼運動の戦後の歴史を三つのフェーズにまとめている。戦争直後、マルキシズムの影響を受け、階級闘争を訴える左翼(バージョン1.0)が現れた。その後、バージョン1.0の左翼の権威主義、マイノリティを無視する運動に叛旗を翻した新左翼運動(バージョン1.5)、さらに、マイノリティを重視しつつも、グローバリズムと折衷し、グローバリズムを積極的に取り入れた英国のブレア政権に代表される左翼(バージョン2.0)が出てきた。それにより、グローバリズムにより経済的に困窮する取り残された労働者「階級」が出現し、反緊縮財政の政党を支持している(バージョン3.0)というわけだ。

反グローバリズムは、ナショナリズムの形をとりやすく、緊縮財政を進めるドイツを中心とするEuで、様々なナショナリズム政権が生まれている理由になっている。そうした政権は、全体主義に陥りやすい。今こそ、階級闘争を新たな形で取り入れた、反緊縮財政政策を左翼が打ち出すべきだ、という趣旨だ。

左翼運動の分析、Euでの右傾化についての考察等示唆に富む内容になっている。だが、財政出動を行い財政拡大路線を敷いて、その財源をどうするか(短期的な意味ではなく、長期的な見地から)という問題について、記述がない。天文学的な額の負債を抱えた我が国で、さらなる財政出動がどのような結果をもたらすのか、どう対処するのかについて何も検討しないとすれば、政策としては片手落ちだ。反緊縮財政政策を打ち出す意味はある程度理解できるのだが・・・。

安倍政権がこれほどやりたい放題を続けていても、ある程度の支持が集まる理由はどうしてなのかと考え続けてきた。日本人の国民性、戦前の国家神道体制に国民に染み渡った「権威」への従順さ、はたまた、もっと根源的に政治と宗教が密接に結びついている関係性(今の自公政権は一種のカルトである)等が関係しているのだろう。だが、失われた20年を生きてきた若い世代が現政権を支持していることを考えると、やはりグローバリズムにより自分の生存が脅かされているという国民、とくに若い世代の不安感が、我が国の右傾化に強く関係しているのかと改めて思った。

そして、その不安感は、社会的に一応成功を収めたように見える、最初に述べた知人のような方にも蔓延し始めている、ということか。「アベノミクス」という壮大なケインジアンの政策と、ネオリベラルの規制緩和の混合、そこにCronysmの味付けをしてあるわけだが、それが国民の不安感を消し去るとはとても思えない。むしろその不安を現実化する方向に働く。それを、人々に理解してもらうこと、さらにハードランディングを避けつつ、現在のねずみ講状態の経済・財政から抜け出す方向を示すことが、今の政治的なリベラル勢力には必要なのではないだろうか。

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