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「夕焼け小焼け」 

陽が落ち始めるころ、草むしりを始める。刃にぎざぎざのついた草刈り鎌でさくさくと根っこから雑草を刈り取るのだ。田舎で土地が広く、春から夏にかけてかなりの仕事量になる。最近は、根を詰めてやると、腰に来るようになってしまった。それでも、放置しておくとすぐにぼうぼうになってしまうので、せっせと精を出す。

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道路を挟んで西側に中学校があり、放課後のブラスバンドの練習が聞こえてくる。太鼓に合わせて、スケールの練習。ついで、様々な曲の練習になる。不協和音を用いたなかなか難しそうな曲もある。我が家の娘も、このブラスバンドでホルンを吹いていた。熱のこもった練習が続く。

やがて、陽がさらに西に傾くと、ブラスバンドも運動部も練習を終える。東口で生徒たちの談笑の声が、ひとしきり聞こえる。やがて、その喧噪も聞こえなくなり、静寂が戻る。すると、6時を知らせる防災無線の放送が、童謡の「夕焼け小焼け」を流す。子供たちに帰宅を急がせるための音楽だ。

少し味気ないその放送を聴きながら、姉から聞いたエピソードを思い出した。もう60数年前、父は、青春時代を犠牲にさせられた戦争を生き延びて帰ってきた。やがて、母とここで家庭を持った。教育を受けていない父は、母の実家で「桶作り」の仕事をしていた。日中、父の仕事場に遊びに行っていた姉は、夕方になると父の背負う籠に乗って、自宅に戻って来るのを常としていた。その際に、この「夕焼け小焼け」を二人で歌いながら帰ってきた、ということだった。不遇な子供時代を過ごした父は、私たち子供たちに精一杯愛情を注いでくれたのだ。その情景が目の前にひろがるような思いだった。

限りない懐かしさをもって、その思い出を思い起こした。両親が逝って長い時間が過ぎた。私が逝くときまで、次の世代に残すべきことは何なのか、何ができるのか・・・。

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