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喘息について 

今秋は、喘息の患者さんがとりわけ多い。寒暖の差が激しいこと等が原因なのだろうか。既に記した通り、休日も喘息の患者さんへの対応でかなりの時間がつぶれ、今朝も、重たい発作を起こした幼児を治療するために、早めに仕事場にやってきた。

大学にいた頃から、喘息を中心に診療してきたのだが、喘息に苦しむ方のために常日頃感じていることを箇条書きで記してみたい。ここに記したことは、ちょっとしたヒントのようなものなので、当然のことながら、喘息のすべてをカバーする記述ではないことを予めお断りしておく。

●正確な喘息の診断が大切であり、さらに喘息が慢性疾患であることをしっかり理解する必要がある。

喘息発作の典型的な症状は、呼気が苦しくなり、胸部でヒューヒューという音のする状態だ。しかし、それ以外に、乾いた咳が長く続く、胸が痛む、所謂風邪を引いた後咳が長く続くといった多彩な症状がある。重症になると、呼気・吸気ともに苦しくなる。吸気だけが苦しいのは、上気道(喉や鼻)の閉塞か、精神的な問題であり、喘息ではないと言える。咳イコール風邪と片付けずに、症状の詳細を記録することが大切だろう。

何時、どのような状況で、どのような症状が現れるのか、同様の症状を繰り返しているか、体温・食欲はどうか、といった情報が大切だ。運動することにより、咳・ぜーぜーといった症状が現れるかどうかも、大切なポイントだ。大体において、患者さん本人やご家族は、喘息の症状を過重に評価するよりは、見逃している場合が多い。正確な情報を主治医に伝え、正確な診断と、適切な重症度の判定をしてもらうことが大切だ。

喘息は、気管支の慢性の炎症であり、その背後には遺伝的な因子がある。発作は、その慢性炎症が悪化し、場合により、気管支平滑筋の収縮を来たしている状態であり、それが治まっても、基本的な喘息の病態は続くと考えなければならない。小児の喘息は、自然治癒傾向が大きいと言われて来たが、必ずしもそうではないことが知られるようになってきた。軽い場合もあって、発作時のみ対応すればよいこともあるが、治療に長期間必要とすることの多い慢性疾患であることを認識しなければならない。

●主治医をどのように選ぶか、見出すか。

慢性疾患であるから、これは他の急性疾患以上に重要だ。良い医師を見つけるのに、患者さん同士の情報、ネットからの情報なども有用だろうが、やはり実際掛かってみて、自分で確かめることも大切。喘息の場合の望ましい医師は・・・
○型どおりの問診だけでなく、上記に記したようなこと、それに家族のアレルギー・喘息暦を詳細に尋ねてくれること。
○診断・治療方針・発作時の対応について説明を十分してくれること。
○救急時の対応を、ある程度まで自らしてくれること。
○普段の生活時の服薬状況・症状を記録する「喘息日誌」の記入を勧めてくれること。場合により、ピークフローメーターという簡易な呼吸機能測定器を用いて、呼吸機能を自分で記録することを勧めてくれること。
○喘息と並存することの多い疾患(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等)も、専門外であってもある程度きちんと診てくれること。
といったことだろうか。長い期間の付き合いになるので、何事も率直に話し合える関係が望ましい。

●喘息と並存することの多い疾患の内、アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎は、結構見逃されていることが多い。発作時には、これらの疾患も像悪していることが多く、発作の悪化・遷延化をもたらすことが多いので、注意が必要だ。普段から、くしゃみが出やすい、鼻が詰まりやすい、鼻水が出やすいという場合には要注意だ。いびきを盛大にかく、朝起きた時に、口のなかがカラカラといった場合も、これらの並存疾患についてチェックをしてもらった方が良い。毎回、診察時に、聴診と同程度に、鼻腔を鼻鏡を用いて診てもらうことが大切。

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