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開業医は不当に高収入? 

先日、公務員給与のベースアップをするために、民間企業従業員と、公務員の給与を比較したデータについてエントリーした。この民間企業とは、「大企業」のことであり、それ以外の企業に比べて、高給であることは明らか。公務員のベースアップの妥当性を根拠付けるための、見え透いた情報操作である。

今日、開業医と勤務医の給与が、厚生労働省から公表された。結論から言って、これも来春開業医の診療報酬を減らすための、見え透いた情報操作である。

以下、引用とコメント~~~

厚生労働省は26日、病院や診療所の経営状況を調べた医療経済実態調査の速報値(2007年6月時点)を中央社会保険医療協議会に報告した。病院長らに加え、今回初めて医 療法人などの形態の開業医が給料などの形で受け取る月収を調べた。

今回の診療報酬引き下げのターゲットは、開業医である。そのために、今回初めて医療法人開業医の月収を調べるという。ここで医療法人の開業医であることがポイントだ。



給料に賞与分を加えた平均月収は、05年6月時点の調査と比べて民間(医療法人)病院の院長が3・5%増の259万円と最も高く、個人開設を除くベッド数20未満の民間診 療所の院長である開業医の230万円(ベッドあり)、207万円(ベッドなし)が続く。民間診療所院長全体では211万円で、勤務医の中では最も高い民間病院医師の134 万円の1・6倍だった。

個人開設を除く開業医とは、要するに医療法人化した診療所の開業医ということだ。医療法人化しているということは、それだけ規模が大きい、即ち収入も多い群なのである。勤務医給与と比較するために、わざわざ高給の開業医群の収入を当てる、というのは、あからさまな情報操作以外の何者でもない、

開業医全般の収入であったとしても、勤務医の収入と直接比較することは、適切ではないことは、以下の点から明らかである。

○開業医はほとんど例外なく、勤務医を10年以上経験している。開業するまでのトレーニング経験の長さ、年齢構成から、両群を直接比較できない。

○開業には、莫大な投資を必要とする。個人で経営し、経営上のリスクを負う。勤務医とは立場が異なる。もし比較するのであれば、対象は、企業を立ち上げるために、長期間の専門的なトレーニング・大きな先行投資を必要とする個人企業の技術系経営者とするべきである。少なくとも、勤務医・開業医両者の借金額も同時に比べなければ意味が無い。

○開業すると、退職金は原則としてない。また、長期休暇を取るのが難しいなど厚生面で極めて劣悪な条件で仕事をすることになる。




実態調査は通常、2年ごとにある診療報酬改定の前年に実施し改定の基礎資料とされる。厚労省は08年度改定で、開業医に休日・夜間診療を促す一方、医師不足が厳しい病院勤 務医の待遇を改善する方針を示している。

2007/10/26 11:00 【共同通信

あたかも勤務医の待遇・労働条件を改善するかのような言い分であるが、本音は、開業医を勤務医と表面上同じ待遇・労働条件に貶めるという意図である。開業のリスクはさらに大きくなり、メリットは極めて小さくなる。官僚は、医療費を削減しつつ、勤務医から開業医へのシフトを抑え込むことを目的としているのだ。

実際のところは、恐らく、開業医の高年層は、在宅医療を担えず、早々に退職せざるを得なくなるだろう。すると、地域医療の負担は、勤務医にさらに重くなることが予想される。勤務医は、開業への道も閉ざされ、さらに悪化した労働環境・待遇下で仕事を続けさせられることになる。

それまでに、医療のかなりの部分は、崩壊することだろうが・・・。

付け足しだが、こんな見え透いた情報操作を何の批判精神も持たずに報道するマスコミは、実にレベルが低い。または、官僚などとグルになっているのだろう。国民も馬鹿にされたものだ。

官僚の次官クラスの生涯賃金は、10億円近くになると言う。医師の収入を問題にするのであれば、天下り官僚の収入を何故問題にしないのだろうか。公務員のベースアップ問題を何故問題にしないのだ。医療事故を起こしても隠蔽し、大きな収入を得ているというステレオタイプな医師像は、官僚が医師を支配し、さらに国民を支配するのに都合の良いものなのだ。

こうした官僚の意図的な情報操作を目にするたびに、とても気分が悪くなる。

コメント

事故調といい、この件といい…

事故調の件も、この件も、とにかく医療現場の疲弊感、無力感を強めるだけです。

もしかして官僚への誤解があるのではないか、と思ってきました。
また医療者の説明不足ではないかとも、考えてきました。
しかし最近ハッキリわかりました。
「これは確信犯だ」ということです。

医療者の言い分はわかった上で、医療崩壊が進行することも織り込み済みで、確信犯として政策を進めている、ということです。

その目的は、平均寿命短縮による年金制度の堅持ではないかと思えます。
もちろん官僚や政財界などの一部特権を持った者たちはこれまでの医療を受けられる体制を残しますが、多くの国民は寿命を縮めることになるのでしょう。

そう考えれば、議論したという表面だけをつくろいながら、医療への圧迫を強める現状がよく理解できます。

Yosyanさんのブログで、raw dataに基いた分析を彼がされていますね。収支差(借金返済や、医療機器更新費用を含む)が、100万円以下の診療所が、43%にも上るそうです。赤字の診療所は、13%だったかな。これで、収入を勤務医に合わせられたら、開業医の半数近くは、仕事を続けられなくなる可能性がありますね。この報道のように、ためにする意図的な情報操作を決して許してはならないと思います。

官僚の目論みは、開業医を淘汰させ、一部は勤務医に戻すことなのでしょう。そんな風に、強制的に仕事を変えざるを得なくさせられて、医師の士気は地に落ちますね。さらに、医師を目指す若い優秀な人間がいなくなることでしょう。英国で実際に起きたことを、後をなぞるように、官僚達は制度設計しているように思えます。

しかし、少なくとも、厚生労働省の官僚達にしても、責任が負わされぬようにという視点で、政策決定をしているように思えるようになりました。その背後には、財務官僚と経済界の人間がいる。また、官僚のコントロールは政治家が行なうべきだが、彼等も経済界の方を向いているということですね。

最近、スティグリッツの反グローバリズムの著作を読み始めました。市場原理主義の席巻する米国にあって、良識的な経済政策を主張する彼のような経済学者がいることに、驚き、またほっとさせられます。

結局、選挙行動を介して、こうした体制に変化をもたらさなければならないと思うのですが、そのためにも、スティグリッツの主張のような見方を理解し、理論武装し、現実をよく見つめなければならないと思っています。

>平均寿命短縮による年金制度の堅持

厚生労働省の官僚に知能が残ってるならおそらくこれが目的でしょう。私は去年ぐらいからこの目線で医療政策を見てましたので、現在にいたるまでの政策決定になんの矛盾も感じませんでした。中間目標として平均寿命65歳以下、最終的には50歳以下というところですか。ここまで行くととても先進国を名乗れる状態ではありませんが。しかし国民の大多数が状況の深刻さに気づくまではこの暴走は止まらないと思われます。


>官僚や政財界などの一部特権を持った者たちはこれまでの医療を受けられる

自分たちの政策により「医師の士気は地に落ち」、「医師を目指す若い優秀な人間がいなくなる」のに自らは安泰だと思ってるんでしょうか……思ってるんでしょうね。

http://ameblo.jp/med/entry-10053339600.html
これの伏線だったわけですね。
公務員様は昇給、医者は減給。
だれのための「國」なのか一目瞭然ですね。
ほんっとーに美しい國ですこと。

akkiさん

あからさまな情報操作ですね。公務員給与を、大企業従業員の給与と比較する・・・公務員給与が低いという結論を導き出すため。一方、医療法人の年配の開業医の収入を、若い方の多い勤務医の収入と比較する・・・開業医の収入が高いという結論を導き出すため(本来、比較対象に互いになりませんね)。

こうした幼稚な情報操作を、マスコミは垂れ流しする。何も批判しない。

医師は、威張って高い給料を取っているというステレオタイプな誤った見方を、マスコミが植え付け、それを受け入れる国民。

財務省は、医療を崩壊させ、混合診療を導入、米国の保険屋に市場を明け渡すつもりなのでしょう。社会基盤の一つを、崩壊させるという重大性を認識していないのか、無視しているのか・・・。そうなるまでに、そしてそうなってから、どれほどの痛みを国民が味合わさせられることになるのでしょうか。

疑問から確信へ…

情報操作のひどさを今回ほど実感したことはありません。
日本におけるメディアリテラシー教育の不備を感じます。

医療崩壊を惹起し、団塊の世代を平均寿命に達する前に始末したい官僚からすれば実に合理的な施策の数々です。目的に向かってぶれることがありませんね。

年金制度維持のために団塊の世代の平均寿命短縮…という私の陰謀めいた推論がどうも最近、実は本当なんじゃないか、と疑問から確信に変わっていくようです。

最近、あるブログの「医療堕落論」という文章を読みました。私は今、そんな気持ちになっています。
http://ameblo.jp/med/entry-10050058240.html

開業医でも個人開設の場合は101万円だった。と報道してる新聞が一社だけあります。
なぜここの部分を削除しているのでしょうか?
大半の開業医は医療法人の先生なんですか?
医療法人の開業医さんと個人の開業医さんどちらが多いのですか?
医療法人と個人なにが違うの?

通行人さん

医療法人は、医療機関としての規模が大きく、収入が多いことが多いようです。手元に、個人と医療法人の数がありませんが、法人格のなかでは、医療法人は多いと思います。

今回のこの官僚の発言には、根拠がありません。診療所の収入調査を私のところでも依頼されましたが、質問項目は詳細を極め、とても個人では対応しきれるものではなく、返答を断りました。弱小な医療機関のデータはもともと含まれていないはずです。客観的なデータとして信頼の置けぬものであり、さらにそこから都合の良い数値だけを拾い出してきたものだと思います。

公務員給与をベースアップする根拠として、公務員給与を大企業の従業員給与と比較し、公務員給与が低いと結論付けるようなことを平気でする連中です。少なくとも、私は官僚の公表するこれらのデータを信頼しておりません。

さらに、勤務医の過重労働を減らすため、開業医の収入を減らすという発言は、一見もっともらしいのですが、良く考えると問題のすり替えそのものです。

官僚の目論みは、さらに医療費を削減すること、最終的に医療を崩壊せしめ、米国流の混合診療を導入することにつきます。それが、米国政府からの指示であるからです。残念なことに、マスコミもそれを知ってか知らずか、全く問題にしようとしません。一旦崩壊した医療は、一般国民には手の届かないものに変質していることでしょう。そうなるまで、国民には知らされないということが歯がゆくて成りません。

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