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医療事故調査委員会 

関連死届け出、「医療事故調」に一元化 厚労省試案
07/11/04
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

クローズアップ2007:関連死届け出、「医療事故調」に一元化----厚労省試案

 ◇医師を「身内」が追及

医師を「追及」するのではなくて、真相を究明するのだ。それに、医師集団は、医学という科学に基づいて、分かること、分からぬことをはっきりさせる行動・判断原理を持つ。「身内」が追及というと、同業者だから、甘くするというニュアンスがあるが、そんなことは決してない。医師への悪意のこもったタイトル。

 診療行為中に起きた予期せぬ死亡事故の原因究明をする「医療事故調査委員会」の試案が10月、厚生労働省から公表された。注目されるのが、死亡事故の届け出を医療機関に義務付け、届け出先を国(厚労相)にした点。これは医療事故の真相解明の主体が、警察・司法から行政へ移ることを意味する。10年度をめどに発足する医療事故調は、医師の責任追及や事故再発防止の形をどう変えるのか。関係者の思惑は交錯している。【清水健二、遠山和彦、大場あい】

 ◇被害者--隠ぺい体質を懸念

 「ご遺族から、警察に届けずに病院で原因究明してほしいとの要請があった」。東京都立広尾病院で99年2月、点滴の誤注入で妻(当時58歳)を亡くした永井裕之さん(66)は、病院側が記者会見でついた「ウソ」が忘れられない。病院は医療ミスに気付きながら、都と示し合わせて警察へ通報しなかった。その責任を遺族側に押しつけるような発言に、怒りで体が震えたという。

 この事故では院長ら5人が起訴され、うち3人が警察への通報義務を怠ったとして医師法21条違反に問われた(1人は無罪確定)。「病院を信用していたら、すべてうやむやにされた」との思いが永井さんにはある。

広尾病院事件は、確かに隠蔽体質があったとされても仕方のない事件だった。点滴の誤注入がどうして起きたのかという問題と、それを隠蔽した病院幹部・都の行政の責任の問題は、別個の問題だ。

この文脈で、広尾病院事件だけに言及するのは、片手落ちだ。医療側にとって、認めがたい訴訟が、民事でも刑事でも数多くある。


一方だけに肩入れした報道は、問題を複雑にする。

 試案によると、診療関連死に医療ミスの可能性がある場合、警察へは医療機関が直接通報するのではなく、医療事故調が事件性の有無を判断して届け出る。医療事故は事実上、医師法21条の適用外になり、警察は「通報義務違反」という捜査の切り口を失う。遺族は告訴状や被害届が出せるが「事故調が通報しない限り、警察は立件できない」というのが、関係者の一致した見方だ。

警察の立件そのものが、医学的に非常識なケースが多くなってきたから、この医療事故調査委員会(以降、事故調と省略)の必要性が叫ばれることになってきたのではないか。少なくとも、細分化され発達した医療を、たとえ1,2人の鑑定医の意見を入れたとしても、警察が立件することには無理がある。まれな故意による医療事故を立件する場合でも、事故調が調査することが必須。

 死因究明の第三者機関設置は、被害者の願いでもあった。それだけに、立件の可否も事故調に委ねる制度を、複雑な思いで受け止める。永井さんは「主に医療関係者で作る事故調が、どこまで医師を追及できるのか。理念は賛成だが、医療機関の隠ぺい体質が改まるまでは警察が介入するしかないのでは」と話す。

遺族を「被害者」と断定する、この短絡振りはどうか。遺族は、ご家族を失った悲しみにあることは同情すべきことだが、それと死因の究明とは別個に行われなければならない。この区別が、マスコミ、特に毎日新聞はとりわけ苦手らしい・・・というか、医師が加害者、遺族が被害者という固定観念に囚われている。もう少し、状況をありのままに見てほしいものだ・・・無理か。

 警察へ通報する「基準」も問題になる。日本内科学会が05年9月から始めたモデル事業では、約50件の検討例のうち、事件性が疑われ司法解剖に回されたのは1例だけだった。厚労省は「過去の事故報告を分析して基準を定める」としているが、消極的とみなされれば信頼は揺らぐ。

1例「だけ」だった、「消極的とみなされれば」、とは、警察への通報事例はもっと多いはずという思い込みの表明だ。頑迷な記者よ、目を覚ませ。

 一方で、遺族の間には「再発防止のためには刑事事件化は望ましくない」との声も強い。捜査が入ると関係書類が押収され、医療機関の自主調査は困難になる。刑事訴追を恐れ、当事者も非協力的になる。被害者側代理人を多く務める鈴木利広弁護士は「100人の犯罪者を作るより、1万件の再発防止を目指すべきだ」と、事故調が真相解明と再発防止に重きを置くよう主張している。

その通り。特に、医療事故の背景にある、医師の過重労働、少ないマンパワー等にも必ず目を向けて欲しい。一つの医療事故には、多重の原因が、長期間積み重なっていることが多いもの。現場の人間にだけ責任を負わせてお仕舞いにすることだけは止めていただきたい。

 ◇警察--「選別」が捜査の負担軽減

 警察当局は、医療事故調の設置そのものには賛成の立場だ。

 ある警察庁幹部は「事故調が刑事責任追及の必要あり、とするものを選別して届けてくれる方が、捜査上は効率的だ」と評価。その裏には、相談レベルのものも含めて届け出が警察に一点集中し、年間200件近くの医療事故絡みの捜査をしながら、起訴に至るのは「送致した事件の2割程度にとどまっている」(同庁幹部)という実態がある。立件まで1年以上かかるケースも珍しくなく、事故調による「選別」は、捜査員の負担を軽減する効果を生む。

 一方で「最初から簡単に自分のミスを認める医師はいない。事件性の有無を判断するためには、地道に証拠を集める膨大な作業が必要。事故調のメンバーにそこまでできるのか」という懸念もある。警察の介入が医師側の萎縮(いしゅく)を招くという声にも「警察は患者側の切実な訴えに応える責務がある。しゃにむに医療現場に手を突っ込んで乗り込んでいくという認識はもっていない」と厚労省の検討会で反論する場面もあった。

地道に証拠を集める膨大な作業を行えば、警察に事件性の有無を判断できると言うのであろうか。何たる楽観。患者側の切実な訴えもあるだろうが、医療側の切実な訴えもあるのだ。マスコミにならって、警察も患者側にだけ肩入れしているように見える。これでは、公平性が保たれない。

 患者側からの通報窓口を事故調に一元化することには反対だ。同庁幹部は「医療事故は患者側が声を上げなければ、埋もれてしまう。事故調と警察の複数の窓口が必要だ」と指摘した。

医療事故を警察に持ち込み、警察が判断することが、問題解決になりうると、未だ考えている様子。自らの手に負える仕事と、そうでないことの判断ができないのか、ただ自分のテリトリーを減らしたくないだけなのか。

 ◇現場・学会--「通報せず、を原則に」

 届け出対象となる「異状死」の定義を巡る混乱や議論は、90年代から続いてきた。

 広尾病院事件後の01年、外科系13学会は、医療事故の届け出義務を認めつつ「予期される合併症に伴う患者死亡は異状死に該当しない」とする声明を発表した。04年には内科系も含めた19学会が、中立的専門機関を創設し、診療行為に関係する患者の死亡例すべてを届ける制度を提案。日本産科婦人科学会も今年4月、医療事故原因究明機構などの第三者機関設置を求める提言を公表した。

 同学会の沢倫太郎・将来計画委員会副委員長は「これまでは疑問を持っても届ける窓口がなく、警察に頼らざるを得なかった患者らの気持ちも分かる」と事故調の役割に期待。一方、日本外科学会の高本真一・医療安全管理委員長は「刑事事件になったら個人に罪をなすりつけるだけで、真相究明や再発防止にはならない。警察に届けないことを原則にしてほしい」と主張した。

 「医療崩壊」などの著書がある小松秀樹・虎の門病院泌尿器科部長は「事故に対して個別に対策を求めると現場は疲弊する。必要なのは、医療のプロが被害の大きさと対策の費用対効果を考えて、優先順位を提示することだ」と事故調の役割に注文を付けた。

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 ■ことば

 ◇医師法21条

 「医師は死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」とする規定。違反には罰金50万円以下の罰則がある。「異状」の定義はあいまいで、かつては行き倒れや外傷のある死体を発見した際の対応を想定したものとされていた。しかし日本法医学会が94年、診療関連死でも届け出るべきだとの指針を発表。都立広尾病院事件で00年に医師らが起訴されたのを皮切りに21条違反での立件が相次ぎ、医療機関が警察に届け出るケースが急増した

異状死の定義だけでなく、医療関連死の定義も未だ曖昧なまま。準備委員会では、まだまだ議論が続いている。医師側が、この事故調を早急に立ち上げるとは主張してない。官僚は、来年になんとしてもこの事故調を立ち上げる積りらしい。(MRICの傍聴者のMLによる情報。)官僚は、既に記した通り、解体される社保庁の人間の新しいポジションを得る場として、この事故調を考えている節がある。このように大切な組織の立ち上げを、官僚の都合だけで決めては、大きな禍根を残すことになる。

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