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選挙に際してのフェークニュースへの対応 

昨年暮の沖縄県知事選挙、それに新潟県知事選挙でも、政権とは異なるスタンスの候補に対するフェークニュースがネットで飛び交った。そうした候補者を貶すことを目的としたフェークであった。新潟県知事選挙では、与党系の地方自治体政治家の言葉であることが分かったが、その責任は問われなかった。沖縄県知事選挙でも玉城候補(当時)に対するネット上での攻撃が凄まじかった。その実情を琉球新報が追っている。

自民党はネットサポーターを、以前から組織化していた。他の政党も同様の組織化に動いている。ネットは、フェークニュースは正しいニュースよりも素早くより広く伝える。そして、一旦広まったフェークニュースは、訂正することが難しい。今後ともに選挙でフェークニュースが流され、特定候補を貶めようとする動きは続くだろう。選挙結果まで左右するようなことが起きるかもしれない。特に、ネットから情報を仕入れている若年層には影響が大きい。

フェークニュースを流す組織・個人を、この記事のように追い詰めることも必要だろうし、場合によっては、訴追されてしかるべきだと思う。この沖縄県知事選のフェークニュース発信元は、明確な政治的意図を持ち、資金力もある組織なのではないか。

フェークニュースを流す組織・個人は、追及や訴追を逃れるやり方で狡猾に選挙を妨害しにかかるはずだ。大切なことは、我々がネットリテラシーを持ち、常日頃フェークニュースを敏感にかぎ分け排除する判断力・知的能力を持つべきなのだろう。

さらに、選挙後にも、この琉球新報が行っているように、ファクトチェックを行い、フェークニュースを出した主体を追い詰めることも重要だ。徹底したファクトチェックを行うことにより、フェークニュースを流すことが「割に合わない」ことを、フェークニュース発信元に思い知らせるべきだ。このファクトチェックの作業・取材は大変だと思うが、是非続けてもらいたいものだ。

琉球新報より引用~~~

知事選に偽情報、誰が? 2サイトに同一人物の名前 覆面の発信者㊤ 沖縄フェイクを追う~ネットに潜む闇~(1)
2019年1月1日 12:33
ファクトチェック フェイクニュース 沖縄県知事選挙 玉城デニー

 2018年11月下旬、オフィスビルが立ち並ぶ東京都港区芝。朝夕には会社員らが川のように流れをつくって行き交う。地下鉄の駅から地上に出てすぐの場所にその建物はあった。

 大企業の本社が点在する立地と、周辺のビル群に溶け込んだ外観から集合住宅だと気付く人はどれほどいるだろうか。JRの駅にも近く、列車の音もひっきりなしに聞こえるが、その建物の周辺だけは、なぜか時間が止まったように静かだった。玄関口を入ると、両側にびっしりと並んだ郵便受けが飛び込んできた。10階建てで、住宅部分は独立行政法人が運営するが、すでに取り壊しが決まっている。

 物件情報によると、3階まではテナントとして利用され、4階以上に約400の賃貸住宅があるとされる。だが、壁に掛けられた居住人の名簿には、半分ほどの名しか残っていない。名簿、郵便受けの名前を丹念に見ていったが、目当ての男性の名はなかった。

 虚偽の住所か―。人けのない薄暗いフロアで、しばし立ち尽くした。

 11月初旬に発足した琉球新報ファクトチェック取材班は、18年9月30日投開票の県知事選で、真偽不明の情報や中傷的な情報を流した二つのサイトに注目し、取材を進めていた。
 
 「沖縄県知事選挙2018」
 
 「沖縄基地問題.com」

 ネット上に残るサイトの情報を追うと、二つとも1人の男性の氏名で登録されていた。ここでは仮に「M」と呼ぶ。港区芝の集合住宅はMが「沖縄基地問題.com」で住所として記載していた建物だ。

 「沖縄県知事選挙2018」の登録住所は東京都荒川区東尾久のマンションの4階の部屋になっていた。しかし8年前に取り壊され、今は3階建ての別のマンションが立つ。大家にMの名について心当たりがないか訪ねた。しかし「管理会社に任せているから」と答えるだけだった。

 Mが登録していた電話番号に掛けると、一つは女性の声で「違う」と否定された。もう一つの電話番号に掛けると「この番号は現在使われておりません」と機械的なメッセージが返ってきた。

 ただ、古い電話帳をめくると手掛かりがあった。9年前に荒川区東尾久の登録住所で、Mと同じ姓名で電話番号が登録されていた。だが、この番号もすでに使われていなかった。実際に、このMがサイトを運営していたのか、第三者に名前や電話番号を使われたのか、分からないまま、消息は途絶えてしまった。

 迫っても、迫っても届かなかった「覆面の発信者」。目の前の闇が広がっていく気がした。 (ファクトチェック取材班・池田哲平、滝本匠)

告示前に閉鎖 登録者正体追えず

サイト「沖縄県知事選挙2018」で動画がまとめられたページ。現在、見ることができなくなっている
 二つのサイト「沖縄県知事選挙2018」「沖縄基地問題.com」は8月下旬に突如として立ち上がった。前者は知事選の候補者の日程や主張などをまとめたサイトを標ぼうし、中立を装っていた。しかし、実態は全く違った。

 両サイトで約40本の動画を掲載し、全ての動画は立候補していた玉城デニー氏(現県知事)や、その陣営、故・翁長雄志前知事をおとしめていた。

 「現沖縄与党の正体は反社会的勢力だ!」

 「翁長氏死去。弔い選挙で沖縄を狂わす!」

 見出しには根拠のない情報が並んだ。動画の多くは普天間飛行場や玉城氏、翁長氏の写真を背景に、ゴシック体の文字が流れる様式だ。玉城氏を「違法容認派の危険人物」と記載し「公選法違反」をしているとしていた。基地建設に反対する県民や玉城氏の陣営を「沖縄左翼」を意味するとみられる〝沖サヨ〟と呼び、選挙運動で安室奈美恵さんを政治利用しているとして「バカ丸出し」と切り捨てた。

 動画の中はドローン(小型無人機)を使って、上空から撮影する大がかりなものもあった。この動画を国政与党の国会議員がツイッター(短文投稿サイト)で貼り付けて投稿していた。

 同サイトについて記事にしたネットメディア「バズフィード・ジャパン」によると、拡散している動画は、3千以上リツイート(再投稿)され、再生が5万回を超えているものもあった。サイトが発信源となり、フェイクニュースが、速く、広く拡散された。

 知事選の期間中、1枚のチラシが出回った。サイトの動画と照らし合わせてみると、数カ所で文言が重なり、関連性も疑われた。このチラシは一部の有権者の元にも届いたとみられ、サイトの影響力はネットの世界のみにとどまっていなかった。

 通常、サイトをつくる時に「ドメイン」といわれるインターネット上の住所を登録するのが一般的だ。さらに、ドメインを取得する際には登録した人の氏名や住所、電話番号などの個人情報が公表される。

 だが、このドメインの情報も、代行してもらえる会社に依頼して、見られなくすることができ、サイト運営者の情報は完全に隠すことができる。

 今回の取材で、両方のサイトのドメインから、運営者を追っていったが、両サイトともに氏名、住所、電話番号などの情報を代行会社に頼んでおらず、広く公開していた。〝真の運営者〟は当初から虚偽の登録情報を公開して惑わせ、悪意を持って情報を発信していたのだろうか。

 「普通のまとめサイトは、悪質なものを含めて絶対に広告が掲載されているが、広告がなかった。金銭目的じゃないのは明確だ」。このサイトを調べていたネットメディア「バズフィード」の籏智はたち広太記者はこう断言する。では、目的は何なのか。

 籏智記者はサイトの背後に「政治的な意図があったのではないか」と推測した。

 知事選告示前の9月12日、二つのサイトは突如、姿を消した。動画の閲覧も不能になった。バズフィードの取材がサイトに迫っていた時期と重なっていた。

 そして、閉鎖直前にはサイトの登録者が突然書き換えられた。両方のサイトの登録者指名は「M」から「A」に変わり、住所も「山口県」などに変わった。

 さらに知事選後、虚偽情報や中傷的な情報を流した複数のサイトやツイッター登録者も次々と姿を消した。インターネットの広い空間でうごめく謎の情報発信者。今もどこかで、沖縄フェイクを流すタイミングをうかがっているのかもしれない。 (ファクトチェック取材班・池田哲平)

連載「沖縄フェイクを追う ~ネットに潜む闇~」への情報提供、意見を投稿するQRコード
 インターネットの普及やSNS(会員制交流サイト)利用者の拡大で「情報」は身近なものになった。一方で、情報に紛れたフェイク(偽)やヘイト(憎悪)も大量に拡散され、個人を傷つけ、民主主義を破壊している。覆面で悪意の情報を発信する者は誰なのか。フェイクニュースの発信者を追い、沖縄から、大量に拡散される「情報」への向き合い方を探る。


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