FC2ブログ

規制改革会議、要するに、財界が、混合診療全面解禁を要求 

先日の、混合診療を禁じた医療行政は違法であるとする地裁の判断に勢いづいて、経済界の意向を体現した政府の諮問会議が、完全混合診療導入をさらに強力に提唱し始めた。

混合診療とは、公的保険に加えて、自費診療部分を持つ医療であり、自費部分が大きくなれば、必然的に、患者は民間保険への加入が必要になる。

上記地裁の判決は、患者の窮状を助けるという動機で下されたものであり、混合診療を完全に導入することを勧めているものではない。

しかし、勢いづくのは、日本の医療を、市場化して、利潤を得ようとする経済界である。その背後には、以前にも記した、米国の長年の要求がある。米国等の外資系保険会社が、医療分野へさらに食い込むことを虎視眈々と狙っている。

私は、混合診療導入に反対だ。厚生労働省も反対しているが、彼等はどうも自らの権益がなくなるためのようだ。様々な書物・報告、さらに無線の友人から聞いたことを元にした、私の反対の理由は;

○本来公平でなければならない医療に、著しい不公平が生じる。持てるものは、十分な高度医療が受けられるが、持たぬものからは医療を受ける機会さえ奪うことになる。前規制改革経済会議議長であった、オリックスの宮内氏は、混合診療が導入されて、命に関わるような病気になった人が高度医療を望むならば、自宅を売ってでも受けるだろう、と語ったというのは有名な逸話である。

○民間保険は営利企業であり、保険給付を出来るだけ落とす「工夫」を行なうことになり、被保険者は不利な状況になる。一旦、混合診療が導入されると、国からの医療給付を減らしたい政府と、市場を大きくしたい保険業界の目的が一致し、公的保険は縮小され、実質民間保険だけになる可能性が高い。営利追求を目的とする民間保険は、給付を減らすことだけに熱心となる。公的保険に比べると、割高になることも見逃せない。

○民間保険は、医療の内容を制限し、給付を減らそうとする。また、適正な給付を行なわないで済まそうとする。健康な人だけを加入させ、給付を減らそうとする。そうした問題に、医療機関・行政が対応しなければならない。そのコストが莫大になることが、米国の経験で分かっている。

○民間保険に入れぬ人々は、十分な医療を受けられず、格差がさらに進む。米国では、個人の破産の原因として、医療費支払いが常に大きい位置を占めている。こうした格差を生み出すことにより、社会の治安は失われ、それに対抗するためのコストも拡大する。

もう一度言おう。国民・医療従事者が参加しない、経済界またはその意向を受けた人間だけが参加する諮問会議でわが国の医療制度の根幹を変更することには、絶対反対だ。社会が共有すべきシステムである医療制度は、もっとオープンに議論し慎重に決めるべきだ。

以下、引用~~~

混合診療「全面解禁を」 規制改革会議、重点項目に
2007年11月16日

政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は15日、保険の利かない自由診療と保険診療を組み合わせた「混合診療」の全面解禁を、12月にまとめる第2次答申の重 点項目に盛り込む方針を発表した。混合診療は現在一部が例外的に認められているが、厚生労働省は全面解禁には反対しており、年末にかけて議論になりそうだ。

同会議の松井道夫主査(松井証券社長)はこの日の記者会見で、厚労省が混合診療を原則として禁止していることについて「患者の選択権の話に官が介入するのはおかしい」と批 判した。

船運会社・証券会社の人間が、何故医療制度の根幹に関わる問題について政府に答申するのか。患者の選択権等、ほとんど考えていない連中が何を言うか。諸君等の眼中にあるのは、医療マーケットから得られる金だけだろう。経済界の人間が自らの利益誘導のために介入することこそおかしい。

松井氏はまた、東京地裁で今月7日に「混合診療の禁止に法的根拠はない」との判決が出たことをあげ、「国が控訴した場合、最重要課題として全面解禁に向けて論争する」とも 述べた。

同会議は15日、地裁で勝訴した原告男性らから聞き取りをした。今後は厚労省との公開討論会や医師らへのヒアリングを予定している。

混合診療の解禁をめぐっては、規制改革会議の前身の規制改革・民間開放推進会議と厚労省が04年に対立。全面解禁は見送られ、例外的に混合診療を認める医療機関と医療技術 を拡大することになった。その後、薬事法の認可要件が新たに加わり、同会議側は「規制改革の効果が限定的になっている」と主張する。

一方、厚労省は「安全性が確保できていない医療の誘いに患者が乗りやすくなる危険性がある。必要な医療は保険制度の下でしっかり提供していく」(医療課)として、全面解禁 には反対する姿勢を崩していない。

安全性の問題だけではないだろう。医療に大きな格差を生み、社会的なコストを大きく増やす、と何故言わないのだろうか。現在の保険制度・医療制度にも大きな瑕疵があることを認め、抜本的に改善する責任が、厚生労働省にあることを忘れないでもらいたい。

ニュースソース
朝日新聞
http://www.asahi.com/health/news/TKY200711150397.html

コメント

混合診療

小児救急の時間外は混合診療で自己負担をお願いしてもいいのではないかと思っています。いかがでしょうか。

良い方法ではないかと思います。

ただ、医療費以外の名目で徴収すべきだろうと思います。

埼玉医大の方法では、誰から取るのかという線引きが現場で難しいのではないかと思います。まずは、救急を利用する方全員から徴収、その後、重症であった方に、還付するという方法が良さそうです。

小児救急の問題は、これだけで解決はしないでしょうが、良い方向に向かうために必要な方策ですね。

行政・政府には、医療システム、特に救急システムが、有限な社会的資源であることをことあるごとに言って欲しいのですが、選挙民・住民へのリップサービスで、それと反対のことを常々言い続けています。それを何とかしてもらわないといけませんね。

東北北海道小児科医会

本日、盛岡で東北北海道小児科医会の会合があり、「小児科医はいなくなったのか」との題でシンポジウムが開かれました。
江原の講演は、
http://pediatrics.news.coocan.jp/tohoku_hokkaido.pdf
にあります。
なお、埼玉医大の8400円の特定療養費はフロアからもシンポジストからも好意的で反論はありませんでした。

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://nuttycellist.blog77.fc2.com/tb.php/724-347afd3f