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昨日のクローズアップ現代 ADR 

昨日のクローズアップ現代は、医療現場における ADR alternative dispute resolution を扱っていた。ADRは、裁判外で紛争を解決しようとする営為で、医療紛争の解決のために取り入れられようとしている。

対象は、東京女子医大で先天性心疾患(大血管転位)の手術を受けたお子さんが、術後右心不全で亡くなったケース。両親と大学側の間のADRによって下記のことが明らかになった、とされていた。左心室から、欠損した心室中隔を通して、右心室上部にある大動脈開口部まで血管グラフトを持ってきたが、グラフトを縫い付ける際に、右冠動脈を傷つけた「可能性」があることが分かった。(専門外なので、間違った表現があれば御容赦)。和解金を支払った様子。

東京女子医大では、これをきっかけに、患者の治療方針の重大な決定を下すときには、患者(家族)を交えて、カンファレンスをすることにしたようだ。腎不全小児に腎移植をするかどうか、30名程度の医師達が集まって、親を交えて議論していた。

お互いを打ち負かすことが目的となる民事訴訟、業務上過失致死や有印私文書偽造といった刑法犯として捌こうとする刑事訴訟、いずれによっても、医療事故の真相を解明することには程遠い結果になることが多い。患者(家族)にとっても、壁が高く、また時間がかかりすぎる。医療側にとっては、しばしば一方的な議論となり過重な負担となる。そこで、裁判を経ずに、真相を明らかにしようとするADRの意義があるのだろう。

しかし、この番組を見て、以下のような疑問点が残った。

ADRを経て、訴訟に持ち込まれることはないのか。真相を解明することを主眼にしても、そこで得られる情報と和解金に基き、民事訴訟を提訴したり、ましてや刑事訴訟になることはないのだろうか。

上記カンファレンスを常時行なうとしたら、人件費はどうなるのか。医師30名が、1,2時間も拘束されるとなると、かなりの人件費が発生するはず。勿論、人の生命の関わることであれば、それだけの労力をかけるべきだという意見もあるだろうが、常態として行なうことには無理があるのではないのか。番組では、この試みを高く評価しているようだったが、医療機関への負担・コストは検討されていなかった。

上記カンファレンスに親が参加して、親の感情・希望で治療の選択肢の検討に影響がでないのか。患者、その親御さんと、医師は、医学的な知識・経験で対等に立つわけには行かない。重大な医学的な治療選択肢の検討は、経験科学である医学の専門家が、家族の感情や意向に影響されず徹底して議論して行なうべきではないか。その後、その選択肢を患者(家族)に提示し、決めていただくということにすべきではないのだろうか。

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