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ある麻酔科医師の死 

神戸市立中央病院の麻酔科の医師が、自殺した。30歳代の女性医師。精神的に不安定なこともあった。病院側では特に勤務体制をそのために変えることはなかった。日中の手術室で、麻酔薬と筋弛緩剤を自ら投与し、自ら命を断った、ということのようだ。

病院側のコメントは、「予想できなかった、薬剤管理に落ち度はなかった」という内容だ。

Yosyanさんのブログほか、様々な医療系ブログで取り上げられている。

仕事場で、自死するという凄まじい状況を想像するだけでも息苦しくなる。ただただ、亡くなられた医師のご冥福を祈りたい。

この事件に関して、様々な疑問がわきあがる。

彼女の仕事の忙しさはどうだったのか。(公的病院の麻酔科というと、最も人手が足りない多忙を極めている科であることが想像される。)それが、彼女の精神的な問題に関連していないのか。

精神的に不安定であることを把握しながら、通常業務に就かせていた管理責任はどうなるのか。

一人の医師が、職場で自殺したことに対して、薬剤管理に問題はなかったというコメントのみを出す病院幹部の非情さ、非人間的な態度は、強く非難されてしかるべきだ。彼女を死に追いやったシステムの問題がないのだろうか。

医師は絶対数が不足しており、特にこの病院のように公的病院で顕著だ。麻酔科を含めて外科系の医師が特に足りないという。医師不足を放置し、効率化という名目で医療費を切り下げてきた、行政・政治の責任も改めて問わねばならない。

自殺は、毎年3万人を超える状況が続いているという。この麻酔科医師の死も、その一つとして数えられてしまうだけなのかもしれない。しかし、それだけでは、彼女の壮絶な死のメッセージが我々に伝わらない。是非、上記の点を明らかにして、公表して欲しいものだ。

コメント

安全配慮義務違反

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070601131551.pdf
事件名 損害賠償請求事件 裁判年月日 平成19年05月28日 裁判所名・部 大阪地方裁判所第15民事部
において、過労自殺した麻酔科医に対する病院側の安全配慮義務違反で1億円弱の損害賠償請求を認める判決が大阪地裁で出ています。

上記は愛媛県の事例

なお、上記の判決は、愛媛県新居浜市の民間病院での事件です。

江原朗さん

貴重な情報をありがとうございます。

中堅の麻酔科医を、労務管理もせずに、自ら死なせてしまう、医療のシステムに絶望的になります。

病院の薬剤管理について記しましたが、良く考えると、それは問題の本質に全く関係ないことであり、むしろマスコミが、その点に問題を矮小化していると思い至り、私のその文章を削除しました。

「効率」を優先され、自身の精神状態や身体の状態に何ら配慮を受けることなく、ぎりぎりのところで働き続け、最終的に自死を選ばざるを得ない方々が、医療の世界以外にも、多くいらっしゃることでしょう。そのような方々のためにも、この麻酔科医師の死を、「薬剤管理の問題」に矮小化してはならないと思います。

麻酔薬と筋弛緩剤とが効いてきて、苦しみに苛まれつつ意識が遠のく中、この麻酔科の先生は何を思っていたことでしょうか・・・。

勤務医の連帯組織も必要でしょう

医師会内につくるのか、独立組織にするのかは別として、勤務医の人権を守るための団体は必要だと思います。荘でなければ、人口1億人に対して勤務医約20万人ですから、数の論理で押しつぶされるのは目に見えています。

医師のなかに、現状に絶望するあまり、国民皆保険を止めて自費診療を進めようという動きや、患者さんの一部とは距離を置くことを唱えたりする方も出てきました。仕方の無い側面もあるかとも思うのですが、やはり国民のための医療であるという原点を忘れてはならないように思います。

問題は、むしろ国民におもねり、ある意味扇動するマスコミではないかという気がいたします。

マスコミは、国民におもねり、さらに広告収入源である経済界には強いことは言えません。

その上、患者さんを弱者としてだけ捉えて、患者さんを救済するという観点からのみ医療事故を見る、法曹界があり、マスコミと、互いに社会への作用を強めあいながら、医療を破壊する方向に進めているように思えます。

医師が、どのような理念のもとに、どの勢力と対決しなければならないのか、良く考える必要がありそうに思えます。勤務医だけの集団も確かに必要でしょうが、最終的には、専門家集団として、開業医と勤務医が合同して、社会に働きかけないといけないでしょう。

日医は、動脈硬化を起こし、政権与党に擦り寄っては、コケにされ続けてきました。現場の意見が集約されるように、直接選挙を是非導入するように働きかける必要があります。現在の間接選挙、指名制を続けていたら、日医・医療いずれが先に崩壊するのか、という状況になります。日医を開業医の利益だけを追い求める集団と切り捨てるのは、官僚などの思う壺のような気がします。地方の医師会では、危機意識を持っていると思うのですが、日医の中央の動きがなんとしても悪いようです。

日医も、評議員会ないし会員の2/3の賛意があれば、定款の変更が出来るようですので、直接選挙導入の運動をすることは無意味ではないと思っています。

勤務医には彼等の固有かつ喫緊の課題があるでしょうから、彼等がまとまることは結構なことだろうとは思います。

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