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患者と医師は戦友・・・ 

患者と医師は、病とともに戦う友であって、決して敵対し、相手を貶めるべき存在ではないはずだ。しかし、社会は、むしろ戦友という関係を否定する方向に向かっているかのようだ。

国民は、医療が完全であり、そこで安心と安全が得られるものと思い込んでいる。マスコミは、患者が弱者、医師が強者という固定観念に囚われ、世の中に阿るかのように、医師・医療機関バッシングに余念がない。法曹・警察は、マスコミと同じ固定観念のもと、医療を理解せずに、現実社会にそぐわぬ旧い法的な概念で、医師を裁く。官僚は、医療の安心・安全神話を安易に唱え、そのためと称し医療現場の事務作業を膨大化させている。政治と財界は、医療費を限度以上に押し下げ、安心・安全神話を国民に気安く保障し、さらに医療を市場化し金儲けの場所にしようとしている。

こうして書き上げてみると、問題点の羅列になり、お経の念仏のように思えるかもしれない(自分でも苦笑ものだ)が、それでも一つ一つの事象には現実の裏打ちがあるのだ。

そうした暗い陰鬱な状況のなかで、一筋の清水の流れのような報道があった。癌患者が、医師と戦友のように、闘病し、人生を生きておられるという報告だ。私は、今でもこうした医師・患者関係が全国いたるところで結ばれているのだろうと思う。こうして報道されたりしない、ありふれた医療現場の情景として・・・。

この報道が、あるBBSで取り上げられ、ある医師がコメントを寄せた。「ここに登場する医師、山下・平方氏を知っている、素晴らしい医師なので、一緒に病と戦って行って欲しい」というものだった。その後、平方医師が直接コメントを寄せられた。「この記事を記した共同通信の記者は、患者さんから時間を掛けて取材し、記事原稿を患者さんに読んでもらい、訂正の希望があると新たに書き直していた、とても丁寧な取材を続けておられた」というのだ。静かな筆致のなかに、深い感動を引き起こす文章ではないか・・・常日頃、マスコミ批判をすることの多い私であっても、マスコミの中には、そうした取材を地道に行い、真実を報道しようという記者がおられることを改めて確信した。

高齢化が進み、医療が高度化することによって、社会保障医療費は増え続けるだろう。また、マンパワーが足りず、経済的にも苦しい状況で、高度の医療を実現しなければならない医療現場。恐らく、今後ともに医療事故は確率的な事象として起きる。そうした困難な状況だからといって、医師・患者関係を不信と批判だけが渦巻くものにして良いということはない。信頼に基づくあたたかなものになって欲しいと切望する。

以下、引用~~~

3人の主治医が「戦友」 逃げず命の砂時計見つめて
07/11/27
記事:共同通信社
提供:共同通信社

 日当たりの良い居間の書棚に、新品のカセットテープ約20本が置いてある。がんが再発した3年前に買ったものだ。別れが近づいたら家族や友人一人一人にメッセージを残そう、と長野県安曇野市の小松紀代美(こまつ・きよみ)さん(50)は考えている。

 「私の命の砂時計は動きだした。逃げずにそれを見つめることが大切だと思うんです」。共に闘ってくれる「戦友」は3人の主治医だ。

 *   *   *

 乳房の固いしこりに気づいた時「がんだ」と直感した。46歳の夏。子供2人は成人し、夫儀郎(よしろう)さん(52

)と老後を過ごす家を新築したばかり。近所の病院の外科で摘出手術を受けたが、7カ月後に骨転移が見つかった。進行が早い。完治はないと落ち込んだ。

 外科の主治医とはメールを交換し、何でも話せる関係だ。だけど少しでも長く生きるためには、抗がん剤の専門医も見つけなきゃ。「病院を掛け持ちしたい」と頼むと、紹介状と検査画像を入れた分厚い封筒を用意してくれた。諏訪中央病院(長野県茅野市)の山下共行(やました・ともゆき)化学療法部長に手紙を書き、治療を頼んだ。

 肝臓や背骨、骨盤にもがんが転移した今、主治医のバトンは山下医師に移った。通院し抗がん剤で増殖を抑える。副作用のつらさと生活のバランスをどう取るか。納得いくまで話し合い、治療方針は自分で決める。

 使える抗がん剤はだんだん減り、昨年より床につく日が増えた。検査結果を聞くのが一番こわい。薬が合わず、また治療の道が狭まったら―。

 「こわい。つらい。助けてください」。深夜、同病院緩和ケア科の平方真(ひらかた・まこと)部長にメールを送った。自ら望んで外来に通い始めた「未来の主治医」だ。朝、返信が来た。「話すのが一番の薬。吐き出して」。優しい言葉で心が軽くなった。

 「末期になってからカルテ1枚で回されるのは嫌。私を理解してくれる先生の前で目を閉じたい」と、平方医師には家族に言えない本音を吐き出し、時には涙もこぼす。いつかバトンが移ったら「苦しまずにいかせてね」と頼んである。

 金沢市で生まれ、物心つく前に両親が離婚。祖母宅や施設で育った。人生は思い通りにならないと身に染みているが、家族につらい思いはさせたくない。好きに生きて幸せに旅立った、と思ってもらいたい。

 「私はもうじきいなくなるからね」が口癖になった。家事をしなかった夫に掃除や好物のぬか漬けの漬け方を教えた。長女(26)には煮物やハンバーグの味を。少しずつ別れの準備をする。

 6月、副作用で寝込んだ。お風呂にも入れないほどの倦怠(けんたい)感。治療はやめて、家族との時間を楽しもうか。気持ちは揺れる。「最初は治療して長生きしてほしかった。でも苦しむ姿を見て、もう母ちゃんの好きにさせてやりたい」と儀郎さん。

 夏。自宅の軒下で生まれたツバメのひな5羽が巣立って行った。庭に住み着いた子猫が2匹、松の木に登ってじゃれている。目を細めていた紀代美さんが言った。「もう少し、抗がん剤と付き合ってみようかな。来春、あのツバメたちが帰って来るのを見たいもの」

コメント

きちんとした取材をすれば…

きちんとした取材をすれば、多くの医療者が真剣に職務に取り組み、多くの患者さんと手を携えている現場を見ることができるはずです。

嫌なものを見ることの多い医療現場ではありますが、それでもそんなものを見る以上に人間の良さを感じることの多い職場だと思います。

ポピュリズムにひた走るマスコミに、医療というある意味での聖域が汚されていくようでなりません。

藤原正彦氏の「この国のかたち」と題する本を読みました。とても良い本だと思いました。市場原理主義一辺倒、アメリカ礼賛の姿勢に対して、日本としてあるべき姿があるのではないか、という提言をされています。
皇統に関する部分については全て同意、はちょっとしかねるのですが信条としては大いに頷ける部分がありました。

今、医療の現場で起こりつつある諸問題の根源がそこに示されているように感じました。

こころあるマスコミ人には、是非頑張って欲しいものですね。たとえ、医療の問題点であっても、現場に密着し、真相に迫ろうという態度で取材して下さるのであれば、我々は、それを受け入れて行けますね。こうした取材をしてもらえるのであれば、医療現場の士気は上がろうというものですね。

藤原さんの著作のご紹介をありがとうございます。今、読んでいる本が、何冊かあって・・・その後の、リストに加えたいと思います。これからの人生の残された時間、知的な活動の許される時間を考えると、少し無線活動に割く時間は少なくして!(笑)、質の良い書物と親しむようにしたいと思うようになりました(遅いかな)。

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