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士気を挫くもの 

私は、患者さんに携帯電話の番号を教えてあり、急変時等に電話を受けて、対応している。勿論、院長一人の小規模施設なので、24時間戦うわけにはいかないのだが、夜10時頃までは、携帯をオンにしている。実際のところ、救急のコールはそれほど多くはない。ただ、週末になると、結構あり、日曜日に仕事場に足を運ばないことは殆どない。電話の話で様子を見てもよさそうな場合は、そのように話をして親御さんに納得してもらえることが多い。

これが、開業した小児科医の当然の仕事だと思ってきた。

昨日は、祝祭日としては珍しく、一回電話がかかってきただけで、電話での話しだけで解決した。そのため、車を運転することなく、自宅にこもり、一日を過ごした。庭仕事をしたり、老母の昼ごはんを準備したり、無線機の前に座ったり、それにチェロの練習をしたりして過ごすことができた。とても落ち着いた、平和な時間の流れ。しばらく忘れていたような気がする。

このところ、夜10時まで携帯をオンにし続け、いつ鳴るのかと思いながら過ごすことが、少しストレスに感じるようになってきた。医師需給の検討を行った厚生労働省の諮問会議によると、私の年代の開業医の週当たりの労働時間は、実に36時間だという。これは、実際に、患者さんと相対している時間だけをカウントしたのだろう。こうして、待機している時間は、厚生労働省によれば、労働時間とは決してならないらしい。こうした意図的な労働時間の過小評価の背後に、勿論医療費を削減する目的はあるが、さらには、我々専門家技術職を貶める眼差しがあるように思える。仕事に貴賎はない。しかし、自分で言うのも気が引けるが、長期間の勉学と、過酷な訓練を積んで来たことは正当に評価されるべきではないか。少なくとも、こうした現実を無視した「労働時間」を、正々堂々と医療費策定の根拠にするようないい加減なことは許されるべきではない。

行政、それに小児科学会(尤も、これも行政の息のかかった小児科学会の幹部が行ったことだが)までもが、一次救急は24時間365日、開業医に行わせるプランを発表している。開業医の平均年齢は50歳代後半なのに、である。これも、医療行政の失敗を、開業医に押し付ける施策なのではないだろうか。

こうした評価しかされないのであれば、もう頑張るのも止めようかという声が、時折こころのなかから聞こえてくる・・・。

コメント

待機時間の過酷

医者にとっての待機時間は決して安息な時間ではありません。

呼ばれるかも知れないし、呼ばれないかも知れない。
呼ばれたらどうしよう?具合の悪い人がいるときには、SaO2の高さに応じて変化するあのモニターの音が耳から離れない。
寝ながらもあの治療で良かったかな?
もっとできることはなかったかな?
様々なことを考えます。

若い頃は本当に365日24時間働いている感覚でいました。
それが医者の勤めだと思っていた。
非番でも患者の求めに応じて救外に行きました。
正月1日の夜に呼び出され、まだ飲んでいなかった実家の親父に病院まで送ってもらったこともありました。

ポケベルの電子音に敏感になります。近くで子供が遊ぶゲーム機の音に不愉快になりました。お店の電子チャイムが辛くなりました。ポケベルの待ち受けの曲を大好きな「アルプス一万尺」にしていたのですが、半年後には大嫌いになりました。

一度、寝ぼけた私が枕に向かって心臓マッサージをしている姿を見た家内が「かわいそう…」と思ったそうです。家内に諭され、心臓マッサージしているものが枕だと気付いて、寝ました。

病院で実働していなくても、待機している時間がほとんどでした。
でも、そこを一生懸命やることが現場での医者の評価を高めてくれました。連絡の取れない医者は現場では嫌われます。でも、厚労省を始めとしたお役所は、あの時間を正当に評価してない、ということですね。

もう…いいかなって気分です。

私も無線機器の保守の仕事で24時間待機に近い状態で35年
続けてました。
私の相手は電子機器ですので、部品を変えたりすればOK
ですが、それでも気が休まる時がありませんでした。
特に深夜の呼び出しで、お客様へ向かうときは故障内容が
気になって仕方がありませんでした。

このような待機の仕事を合わせて持つ身の辛さがわかって
くれる人が少なく、仕事だから仕方がないと軽くあしらう
営業マンは今でも好きになれません。

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皆様、コメントをありがとうございます。

QWさんが、一番大変な現在の急性期医療の現場で頑張っておられるのだと思います。

堀尾さんのように、他の職種でも、長い拘束時間で仕事を続けておられる方は沢山いらっしゃるのでしょうね。お疲れ様です、と申し上げたいです。医療が、他の職種と異なるのは、一歩間違うと人の生命に関わる仕事なのです。その点は、もっと理解されて良いのではないかと思っています。

小児科のプランに関してのコメントもありがとうございます。藤村先生って、以前から、この問題に関わってこられた方ですよね。たしか、15名程度のスタッフで、救急医療・NICUも運営するようなプランだったと思います。15名も集約できるのか。どこから集めるのか。さらには、15名で、労働基準法を遵守したシフトを組めるのか、私は大いに疑問のように感じます。それに、経済的に成立するのでしょうか。多くの小児病院の厳しい経営状態を耳にすると、経営も成立しがたいのではないかと考えてしまいます。さらに、一次救急を小児科開業医に任せるということだったかと思いますが、我々は24時間戦うことはもう無理です。

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