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「盗聴の解禁」 

過日、東京新聞の望月記者が、内閣調査室について、前川元文科省事務次官と対談した記事を読んだ。

そこで、内調のある人物が、共通の知り合いの国会議員に「望月記者ってどんな人?」と尋ねてきたことを、彼女は述べていた。内調は、警察官僚がトップを務める組織で、内閣府で首相と直接接し、首相に情報を上げている部門。内調の責任者は、毎日のように首相と面談している。内調の情報は外にはでない。マスコミもよくわからないらしい。かって前川氏をスキャンダルに陥れようとしたのが、内調であることが分かっている。内調は、それとなく調査対象に彼/彼女が調査されていることを知らせて、圧力を加える・・・もちろん、政権批判を控えるようにという圧力を加えることを実際に行っている。

こうした警察組織、内調等による監視社会は、現実のものとなっている。今年6月1日から、警察が独自に通信傍受を始めた。その対象範囲は広く、裁判所の令状が必要とされているとはいえ、警察が大規模な盗聴施設を警察内部で維持していることは確かだ。それを外部から監察する組織、制度がない。盗聴によって得た情報が、内調により首相に届けられていることは容易に想像がつく。盗聴などによる監視の体制の対象が、ひろく国民全体に及ぶことになる。

あの共謀罪法は、3年前に国会に出され成立する前に、過去三度提案されたが、成立しなかった。同法が監視社会に結びつくことを与党のなかでも危惧する声があったからだ、と言われている。しかし、我々の内心を探る共謀罪法が成立した。それによって、我々の内面に警察は捜査の手を伸ばすことができることになった。盗聴の対象範囲が拡大され警察の捜査権限が大きくなった。盗聴の対象となる広範な罪状の一つでも疑いがあれば、警察は自由に我々の通信を盗聴することができるようになった。

米国等いわゆる先進国の多くでも、盗聴が政権により行われている。X Key Scoreシステムについての最後にリンクした論考を読むと、世界全体が監視社会になりつつあることを危惧させられる。かって、国民の思想信条の自由が共産主義国で奪われていたが、内心の自由の剥奪が先進資本主義国でも隠された形で行われつつある。その多くが、テロ対策という名目だが、実際は隠蔽された国民監視システムである。

我々は、権力による盗聴社会を生きることになる。

以下、引用~~~

サンデー毎日 6月16日号 青木理コラム「抵抗の拠点から」第235回

「盗聴の解禁」

問題視する声がほとんど出ないから、ここでしつこく指摘しておく。2016年に改正された盗聴法(通信傍受法)がこの6月1日、ついに完全施行された。警察庁はすでに専用の盗聴器を141台も導入し、今年度中に200台近くまで増やす。警察当局の盗聴捜査は飛躍的に〝利便性〟を増し、制御を誤れば個人のプライバシーなど丸裸にされてしまうだろう。

順を追って簡単に経緯を振り返る。囂々(ごうごう)たる反発の中、従来の盗聴法が成立したのは1999年。憲法が定める通信の秘密を侵しかねないから、当時の与党内からも慎重論が起こり、かなり抑制的な内容になった。盗聴捜査の対象は組織的な殺人、集団密航、銃器や薬物犯罪の4類型に限られ、盗聴場所はNTTドコモやソフトバンクといった通信事業者の施設とされ、盗聴時は事業者の立ち会いも必要とされた。

しかし、警察庁などは強化の機会を虎視眈々(こしたんたん)とうかがっていた。転機となったのは2010年、大阪地検で発覚した証拠改竄という大不祥事。そう書けば、なぜ不祥事が転機に? と疑問を抱く向きもあるだろうが、法務・検察や警察はしたたかだった。証拠改竄という不祥事は従来の検察、警察捜査を問い直す契機となり、取り調べの録音・録画(可視化)が一部ながらも導入されたが、一方で法務・検察や警察はその引き換えとして捜査権限の強化も求め、日本版の司法取引制度の導入や盗聴法の大幅強化などを手中に収めたのである。

同時に現政権が発足し、警察官僚が政権中枢に深々と突き刺さったことも大きな作用を及ぼしただろう。改正盗聴法は従来のくびきを完全に解き放った。対象犯罪は殺人、放火、誘拐などのほか傷害、詐欺、窃盗といった一般犯罪にまで拡大し、事業者の立ち会いも不要。6月1日からは専用の盗聴器機を使い、警察施設内での盗聴や録音なども可能となった。

もちろん、裁判所の令状が必要なのは変わらない。だが、それでどこまで適切に制御できるか。今年に入って共同通信がスクープして注目を集めたが、警察や検察は交通系ICやポイントカード事業者に捜査事項照会をかけ、顧客情報をやすやすと入手していた。私の取材経験でも、都銀やレンタカー会社などが任意の捜査事項紹介で顧客情報を提供してしまっている。

また、本誌で1年前にリポートしたが、防衛問題に精通した石井暁(ぎょう)・共同通信編集委員によれば、米国の情報機関が開発した「エックスキースコア」を防衛省の電波部がすでに活用しているらしい。エドワード・スノーデン氏の告発で明るみにでたこのシステムは、米情報機関が蓄積した傍受情報にアクセスする装置とみられ、ありとあらゆる人物のメールやウェブ閲覧・検索記録などの収集が可能。電波部は警察官僚が指揮しているが、こちらも問題視する声は上がらない。当局の個人情報収集能力の強化も怖いが、それに極度に鈍感化した政治や社会も相当に恐ろしい。

《 エックスキースコアとは 》
米国NSA(国家安全保障局)が使用しているインターネット上で個人情報を極秘に収集するためのコンピューターシステム。全ての電子メール、SNSのメッセージ、ウェブページの閲覧・検索記録などを対象として、オンライン上での利用をリアルタイムで監視できるシステムである。

引用終わり~~~

エックスキースコアに関して、こちらの論考が詳しい。盗聴法、共謀罪法によって、国民監視社会がすでに現出している。

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