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誤診は、刑事犯罪か? 

もう二昔以上前になるが、埼玉県の白岡中央総合病院で非常勤の仕事をさせて頂いていたことがある。その病院の名称が、報道に載った。報道内容を見て、おかしな内容だと思い、さらにやがて動き出す「医療事故調」が実現すると、このような問題が、どしどし刑事事件化されるのだろうと暗い気分になった。

このケースは、確かに、結果からすると、誤診である。しかし、医療、特に救急医療現場では、100%の確実性を保障した医療を施せない。マンパワー・設備・医療費の制限などもあるが、医療が、確率的な事象である人間の病態を対象とする限り、100%の確実性は得られぬことなのだ。

もし、このケースが、刑事犯罪として捉えられるのであるとすると、所謂救急医療の殆どは成立しなくなる。放射線診断専門医が常駐し、さらに緊急手術が可能な第三次救急医療機関しか、救急患者を扱うべきではないということになる。ここで業務上過失致死容疑をかけられた当直医師が、他の施設に転送するのが遅れたという意見もあるかもしれないが、もし転送しても不幸な結果になれば、確実に、転送するのが遅れたという批判、提訴が起きる。

結果論で、誤診を刑事犯罪化する警察、それを嬉々として報道するマスコミ。彼等は、自分達が、救急医療を破壊していることに気づかないのだろうか。

以下、引用とコメント~~~

内科医を書類送検 「誤診」容疑認める 白岡中央総合病院の医療過誤死亡
08/01/18
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社


白岡中央総合病院の医療過誤死亡:内科医を書類送検 「誤診」容疑認める /埼玉

後から振り返って、結果としてみると誤診と言えるかもしれないが、あくまでそれは結果論にしか過ぎない。「誤診」容疑とは、誤診をすると、刑事犯罪になることを意味しているのだろうか。誤診が犯罪だとすると、救急医療どころか、医療そのものが成立しなくなる。

 白岡町の白岡中央総合病院で05年、患者の直腸に開いた穴を見落とし死亡させたとして、県警捜査1課と久喜署は17日、同院の男性内科医(42)を業務上過失致死の疑いでさいたま地検に書類送検した。内科医は「結果的に誤診だった」と容疑を認めているという。

直腸穿孔は、まれな疾患であり、診断が難しい場合があるようだ。さらに、1日の経過で腹膜炎を併発して亡くなるケースは、きわめて重症であり、手術を行っても救命できぬ場合がある、とのネット上での外科医のコメントがあった。捜査一課は、殺人事件を担当する部署である。

 調べでは、内科医は05年11月3日午後4時ごろ、腹痛を訴えていた同町の会社員の男性(当時54歳)を当直医として診察し、痛みの原因を特定する診療を怠り急性小腸炎と診断。翌4日午後1時40分ごろ、男性を直腸の穴に起因する腹膜炎で死亡させた疑い。

この日は、休日で、内科系の医師が当直を行っていたらしい。「痛みの原因を特定する診療」とは一体何なのか。結果から物事を言っているだけなのではないか。急性小腸炎とは一体どんな病気なのだろう。医学的にありえない診断名をつける、この毎日新聞記者氏には、医療問題を報道する前に、少し勉強して欲しいもの。

 同署は、早期に手術すれば死亡しなかったと判断した。内科医は男性のCTスキャン画像を撮影したが分析するよう指示せず、看護師からは約30分ごとに男性の病状悪化の報告を受けていたが、痛み止めの投薬を指示しただけだった。同病院は「遺族と和解を進めており、コメントできない」とした。【山崎征克】

早期に手術して助かると、警察がどうして判断できるのだろうか。この病院には、放射線診断医はいないはず。恐らく、内科医一人で全科当直をしていたのだ。直腸穿孔のCT所見は、穿孔部分の確認という直接所見はなく、間接的な所見で疑うことになるらしい。さらに、病状が急激に進んでいるから、来院時のCT所見で専門家がみても診断できるとは限らない。このような状況であっても、早期に手術せよと警察が判断するのだろうか。今後、救急医療は、警察にやってもらうことにしたい、という声が、救急医から出てくることだろう。

医療人を過失致死罪で告訴する、非合理性・反文明性に、いつになったら気づくのだろうか。

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