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全国医学部長病院長会議、医療事故調に反対の声明 

全国医学部長病院長会議が、厚生労働省の「医療事故調」に明確に反対する声明を出した。極めて明快に、厚生労働省の粗雑な案を否定している。医療が、低医療費、少ない医師数にかかわらず、世界有数と評価されてきたことにも言及し、医療現場にいる者として胸のすく思いだ。

官僚の代弁を続けているマスコミが、この声明をどのように伝えるのだろうか。同業者の庇い合いといった、ステレオタイプの批判を浴びせるのだろうか。マスコミは、事実を良く見極めてもらいたい。官僚の意図と、医療現場の困惑とをしっかり理解してもらいたい。もしここで官僚の代弁者に成り下がるなら、医療事故調が、医療を破壊し尽くしたときに、マスコミの責任も強く問われることになる。

この拙いブログをご覧の、医療関係以外の皆さん、この問題は、急性期医療が生き残るかどうかを決める重大な問題です。是非、関心を持ってください。よく理解なさり、発言をしてください。国民が、きちんとした医療を受けられるかどうかの瀬戸際にあります。



以下、m3より引用~~~


全国医学部長病院長会議・大学病院の医療事故対策に関する委員会委員長
嘉山孝正氏(山形大学医学部長)に聞く
「外科医、産科医絶滅法案」に断固反対する
厚労省の“医療事故調”案は患者の利益にならず
橋本佳子(m3.com編集長)

 全国医学部長病院長会議が本日(2月15日)、記者会見を開き、厚生労働省の“医療事故調”案に対する反対声明を出す。同案については賛否が分かれているものの、公の場で反対姿勢を打ち出した団体は少ない。それだけに、この声明の影響力は大きい。全国医学部長病院長会議で「大学病院の医療事故対策に関する委員会」の委員長を務める嘉山孝正氏(山形大学医学部長)に、反対理由などを聞いた。(2008年2月14日にインタビュー)


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「遺族の代表が調査に入ること、刑事手続との連動があること、この2点が問題」と語る嘉山孝正氏。

――厚生労働省は、昨年10月の「第二次試案」以降、議論が進んでおり、試案は変わっていると説明していますが、それでも反対ということですか。

 はい。基本は、第二次試案から変わっていません。厚労省案は、「外科医、産科医絶滅法案」であると捉えています。理由は2つあります。第一は、事故の原因究明を行う調査委員会に遺族代表が入る点です。遺族と利害関係のある人が委員になったのでは、科学的な調査はできません。科学的調査ができなければ、事故の再発防止にもつながりません。これは欧米での共通認識であり、2005年の日本学術会議の提言でも打ち出されていることです。

――「遺族の立場を代表する者」は、遺族を知る人に限らないということですが。

 それでも、医療側とは利益相反の立場の人ですから、問題であることは変わりません。

 第二の理由は、調査委員会の報告書を刑事手続に使うことができるとしている点です。刑事手続と連動するのであれば、調査に必要な情報も出てこなくなるのは分かりきっていることです。その上、行政処分ならいいですが、「患者さんを助けよう」と思って医療をやっているのに、結果が悪ければ刑事で訴えられ、「犯罪者」として扱われるのならば、若い人たちは、医師はもちろん、看護師なども含めて医療職を選ばなくなります。

 例えば、薬剤の取り違えなどは、やろうとしてやるわけではなく、病院のシステムに問題がある場合もあるわけです。もちろん、すべてについて刑事免責を求めているわけではなく、犯罪行為などは刑事処分すべきですが、医療事故には人間工学的な問題が複雑に絡み合っているのですから、これを刑事処分することは問題です。

 その上、刑事処分との連動は、萎縮医療を招き、ひいては医療の質低下につながります。つまり、厚労省案では医療はよくならず、何より患者さんのためにならないのが最も問題です。今、一番に取り組むべきことは、患者さんと医療者の信頼関係を再構築することですが、患者側と医療者側の対立をかえって強めるだけです。

――厚労省は、調査委員会の報告書を刑事手続に使うのは、「故意や重大な過失」などに限るとしています。

 そもそも「重大な過失」とは、いったい誰が決めるのでしょうか。確かに厚労省は、「刑事手続になる事例はそんなにありません」「刑事手続を恐れる必要はありません」などと説明していますが、「刑事手続に使える」との文章があれば、「誠意に基づいた医療行為であっても、結果が悪ければいつでも刑事処分される可能性がある案」と言うことができます。仮に法律の99%は正しくても、1%に問題があれば、それは正しい法律とは言えません。「運用」に委ねてはいけないのです。また、法律は1回作ってしまえば、容易には変わりません。

――厚労省の方針で進むとしたら、医療はどうなるとお考えなのでしょうか。

 そもそも、こうした問題のある案が出てくるのは、当局が正確な情報を理解していないからと思います。

 今、日本の医療費の対GDP比はOECD諸国で22位、人口当たりの医師数もOECD平均より少ないのですから、「偏在」ではなく医師の絶対数が不足しています。それにもかかわらず、日本の医療は世界でもトップレベルです。まさに医師、医療者の善意に基づき、医療レベルが保たれているわけです。こうした現状で、厚労省案がこのまま実施されたら、医療は本当に崩壊してしまいます。

――厚労省案を支持する立場の方は、その理由として「異状死の届け出を定める医師法21条の問題を解決する必要がある」という点を挙げています。

  医師法21条は、日本法医学会が解釈を変えただけの問題です。そもそも「異状死」とは何でしょうか。「では、21条はこのままでいいのか」と21条を“人質”にしたような議論はやめるべきであり、21条については今回の“医療事故調”問題とは別に議論すべきです。

――では、先生方はどんな仕組みを提案されているのでしょうか。調査委員会を作ること自体にも反対されているのでしょうか。

 事故原因を調査すること自体は賛成です。医療事故を隠蔽するのは問題外ですから、情報を集め、分析すべきです。さらにその結果は公表すべきであり、全国医学部長病院長会議では昨年、その指針をまとめています。また医療事故の情報収集自体は、日本医療機能評価機構で既に実施しており、原因分析・再発防止に取り組んでいるのですから、この仕組みも活用できるでしょう。

 また医師の中には技術が未熟で事故を起こすケースもありますが、これらは医師による自律的処分制度を作って対応したり、行政処分の対象にすべきだと思います。

 皆が納得する条文になれば、われわれは反対しません。しかし、「1%」でも問題があれば、反対します。拙速を避けて、改めて議論すべきだと思います。

 「不作為」は罪です。われわれの世代はいいですが、若い世代のために、この“医療事故調”の問題に取り組んでいかないと、医療、そして日本はダメになります。今後、われわれは政治家などに正しい情報を伝え、働きかけていきます

コメント

良い記事をありがとうございます。

無過失補償制度にしても事故調査委員会にしても、まず医師の方々が決めればいいと思いますね。
で、それをたたき台にして、議論する方がいいなあ。
とにかくマスコミがまともな報道しないから、結局は医療者に厳しい制度にしないと国民が納得しなくなってるんでしょうね。

医師は、同じ職場で、さらには学会等で、様々な症例の経過を、様々な検査所見・病理所見とつき合わせて、医学的な検討を加え、より良い医療にするにはどうしたらよいか検討を、常日頃続けているのです。最近は、結果の悪いケースでは、訴追の可能性があると、薬の副作用の報告なども、少なくなっていると報じられています。症例検討も、それをネタに訴追されるとなれば、医師達は行なわなくなることでしょう。

それに、医師同士は、同じ専門であっても、互いにかなりシビアな見方をします。同業者の庇い合いは、官僚や政治家の世界であって、医師は医学という科学がベースにありますから。勿論、科学といっても、完璧な体系には程遠いし、千差万別な生体・個人を扱うのですべてを理解できるわけではないのですが、それでも、科学的に対応する根本的な態度はあります。

医療を、信頼置けぬものと、宣伝しまくってきたのが、マスコミですね・・・少なくとも、一部のマスコミ。

この医療界からのNOの発言は、結構重い意味を持つことでしょう。まずは、日医がやらなければいけないのに、日医は何をしているのやら、どうも丸め込まれてしまっているようです。日医には、危機感が全くありません。もう過去の組織です。

あぁ、書き出すときりがない(笑。今朝は、また急患の電話がひっきりなしにかかってきています・・・仕事にでかけます。良い一日を!いつも力づけられるコメントをありがとうございます。

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