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病気の児から光を受けて・・・ 

もう一年以上、私の職場に通ってくれている、可愛い兄弟がいる。いたずら盛りの幼稚園児だ。しかし、歩けるが、倒れやすい・精神発達が遅れているといった問題があって、近くの大学病院を受診、筋ジストロフィーであることが分かった。ドゥシェンヌ型という、伴性遺伝をする型だ。徐々に筋力が失われ、10歳代20歳代で、生涯を閉じることの多い、病型である。

そのお母さんは、いつも笑顔を湛えている優しそうな方だ。子供達を決して頭ごなしにしかりつけたりしない。先に診断のついた兄の方だけではなく、弟も同病であることが判明したときには、むしろ私の方が、ショックを受けたのだが、お母さんは、いつもの笑顔で、そのことを淡々と報告してくださった。笑顔と言っても、ただ上辺だけの笑顔ではない。凛とした内面から、直裁に生まれる、優しさの表出とでも言うべきだろうか。お母さんの内面で、どのような葛藤があり、それをどのように乗り越えられたのか、または乗り越えようとされているのか、その消息までは伺ったことがない・・・そのようなことを、お話しすることは、外来の場では憚られるような気がするし、尋ねるべきことではないように思える。

小児科医を、30年以上してきて、重たい病気、重たい障害を抱えたお子さんを持つ、ご両親、とくにお母さんと多く接してきた。勿論、例外はあるが、多くのお母さん方は、実にしっかりしている・・・いや、そのような、ありふれた形容では不十分な、内的な美しさを湛えて、しっかりと生きておられる方々だった。この子供達のお母さんも、そうした方のお一人である。

母親にとって、子供は自分の分身であり、生命を受け継ぐ対象なのだと思う。母親は、子供の成長と発達を一番の喜びにして生きておられる。しかし、その子供に、重い障害や病気が生じるのは、常識からすると、絶望であり、絶対の不条理なのではないか。ところが、そうした母親の多くが、凛々しく、光り輝いている。私には、まだ大きな謎だ。

もしかしたら、我々の常識では、不幸のはずの、この親ごさんとお子さん達は、人生のもっとも光り輝く瞬間を日々生きておられるのかもしれない。障害を持ったお子さんが、恰も光を放つようにして、お母さんを輝かせているのかもしれない。勿論、病気や障害のない人生の方が良かったに違いない。しかし、このお母さんは、人生をしっかりとありのままに受容し、日々を光り輝いて生きておられる。その姿に、人生の不思議な深い消息を教えられるような気がする。

コメント

同感

shinさん,こんばんは.
ここでは多くは語れませんが,障碍者の両親,特に母親の苦労は相当なものです.我が家の場合,比較的軽めではありますが,良くも悪くも充実した毎日であり,苦労する反面,通常では得ることのできない感動を与えてくれることも多いです.
shinさんが指摘されているように,医療関係はダメダメな方向に向かっており,その余波が息子の療育にも影響が出始めております.直接的な貢献はできませんが,かみさんはいろいろ勉強し,奮闘している状況です.
 Shinさんの活躍,陰ながら応援したいと思います.

BJBさん

そうでしたか。毎日、ご苦労されていらっしゃることと存じます。自閉症や、精神発達の遅れのお子さんを持ったお母さんともよく接しますが、感心させられ、自分の生き方を考えさせられることが多いように思います。

小泉政権時代に、障害者自立支援法という悪法を作り上げ、1.1兆円の社会保障費削減の政策を作った人物が、今回、社会保障国民会議の首相補佐官に就任した様子です。社会保障・医療は、さらに切り捨てられることになりそうです。

こうした流れに、ともに抗して参りましょう。

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