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教育の劣化 

新しい共通試験の実施について、「身の丈にあった」受験を勧めた文科大臣。大学入学試験に民間の英語の試験を利用することになった。その試験受験費用が、結構高額なのと、大都市であれば何度も受験できて本番に対する準備が十分できることになる。結局、親が高収入であること、大都市に住むことで、アドバンテージが得られる仕組みを文科省は導入することにしたわけだ。それを、文科大臣は「正直に」述べて、その政策に了承を求めた、ということなのだろう。

憲法、教育基本法を持ち出すまでもなく、教育の機会均等は絶対必要なこと。機会均等だけでは不十分で、劣悪な条件にいる子供たちへの支援を行うことが文科省には求められるのに、その真逆を文科省は行おうとしている。この新しい制度に対して、不安や不満が殺到しているのに、来年から見切り発車をしようとしている。

この記事を読んで、日本の小中高の教育が凄まじい劣化振りであることを初めて知った。

こちら。

3,4割の子供たちは、まともに読み書き、生活に必要な「算数」ができぬままに社会人になるという。そうした彼らが育ってくる背景には、公教育の劣化、それに彼らの学習意欲の喪失がある。さらに、その背後には、新自由主義経済により近視眼的な能力第一主義が横行し、多くのドロップアウトをする子供たちを生んでいる、という背景があるのだろう。

教育にかかるコストも驚きだ。小学校から大学まで公立の学校のみ通ったとしても平均一人730万円かかるという。国立大学の学費が現在年54万円ほどだが、徐々に上げられ、文科省は最終的には90万円超にするらしい。子供を一人育て上げるのに最低1000万円かかるようになるのもすぐそこだ。私が大学生だった1970年代は、学費が年額たしか1万2千円で、途中から3万6千円になった・・・それからしても、凄まじい値上がりだ。

一方、OECD加盟国33か国中、教育への予算額は日本は最低である。教師の労働条件も劣悪で、公的な学校の教師の成り手が少なくなっている。つい最近の報道では、教員試験の倍率が軒並み低下している。3倍を切ると、教員の質を維持することが難しくなるらしいが、東京の小学校教員試験の倍率は直近で1.8倍。教師の労働条件・環境の悪さを反映しているのだろう。

文科相の「身の丈」発言は、劣化し格差が拡大した教育の状況を肯定し、それを受け入れるように国民に促している。

8年前に米国を訪れ、ある友人と会った際に、子供たちを自分たちで家庭で教育したと聞いてかなり驚いたことがあった。公的な教育に信頼が置けず、学校が荒れているから、という理由。お子さん三人は立派に成人している。中流階級に属していると思われる、彼のような家庭で、自宅で子供たちを教育しなければならない状況が信じられない思いだった・・・ところが、そうした状況が日本でもすぐそこに来ている。

専門教育の分野でも、基礎研究・教育に対する公的予算は減らされ続けている。大学への交付金は、機械的に減らされ続け、競争的研究資金という名の「紐付き」予算が増やされている。基礎研究は、この20、30年低迷し続けている。自然科学の被引用文献数の指標も低下し続け、英国の雑誌Natureでは、日本の科学技術のレベルの低下が指摘されている。ノーベル賞が学問のレベルを反映するものだとは必ずしも思わないが、日本人がかなり多く取得していると思われるこの賞も、一定数人口当たりに換算すると、世界で14位のようだ。ノーベル賞は、真価が確定した20年程度以前の業績に与えられることが多い。ノーベル賞受賞者が異口同音に述べるのは、研究への公的支援が貧しいこと。このままでは今後ノーベル賞受賞者が激減する。

教育がわが国の立国の大きな基礎だったわけだけれど、これでは国が内側から立ち行かなくなる。

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