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一臨床医、行政を訴える 

昨年、厚生労働省の決めたリハビリの日数制限に、自身がリハビリを必要としていた多田富雄元東大教授が、強い抗議の声を挙げ、多少の改善を勝ち取った。

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しかし、来月から、厚生労働省は、リハビリに日数制限を再び取り入れた。重症患者の場合、発症後5から6ヶ月以降、リハビリを実質上受けられなくなる。

それに対して、一臨床医が行政訴訟を提起した。

診療報酬等と言うものは、一般国民には関係ない、医療機関の収入にだけ関係していると思われるかもしれないが、決してそのようなことはない。病気になったら、すぐに自分に直接関わることなのだ。官僚は、公的保険で受けられる医療の範囲を、すこしずつ縮小している。彼等の目的は、公的保険をなし崩し的に縮小・撤廃することなのだ。高齢者は、すでに何度も記している通り、十分な医療を受けさせぬ制度が、同じく来月から実施される。

一臨床医が、このような訴訟を起こさざるを得ない状況が、国民にとってとても不幸なことなのだ。

私は、この訴訟を断固支持する。


以下、m3医療維新より引用~~~


医師が国を訴える、「改定に異議あり」
今改定のリハビリ算定要件を問題視、通知の差し止めを求める
橋本佳子(m3.com編集長)

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「今回の提訴は、火を付けるのが狙い。医療関係者に、リハビリをはじめ医療問題に関心を持ってもらいたい」と語る、鶴巻温泉病院の澤田石順氏。

 鶴巻温泉病院(神奈川県秦野市)に勤務する医師、澤田石順氏が3月18日、国を相手取り、行政訴訟を起した。この4月の診療報酬改定で、リハビリテーションの点数に算定制限が設けられたため、それを定めた通知の差し止めを求める内容だ。

 提訴の理由を澤田石氏は、「今改定前も一定日数を経た後は点数が下がるなどの問題があったものの、医学的な必要性が認められれば、リハビリの実施は可能だった。しかし、今改定により医学的必要性があってもリハビリの点数が算定できなくなった。これはリハビリを必要とする重症患者の切り捨てだ」と説明する。その上で、「前回の2006年改定でもリハビリを問題視する方が署名活動を行ったが、それでもあまり効果はなかった。改定実施の4月1日までには時間がないこと、また厚生労働省に一市民が問題提起しても影響はないことから、提訴するのが一番有効な方法だと判断した」と澤田氏はつけ加える。

 リハビリの算定日数の制限は、重症のリハビリ患者を受け入れる病院への影響が大きいが、こうした患者を多く抱える病院は少ない。提訴に踏み切ったのは、病院団体を通じた活動が期待できないことも一因だ。

 代理人を務める弁護士の井上清成氏は、「療養担当規則には、『リハビリテーションは、必要があると認められる場合に行う』と記載してある。療担規則は省令であり、通知よりも上位の法令に当たる。通知でリハビリの日数制限を行うのは、違法であり無効。憲法25条で定める生存権にも違反している」と法的な問題を指摘する。

  患者から自費徴収で可能だが、非現実的

 今改定では、リハビリテーションの点数が再編され、4種類の疾患別(心大血管、脳血管疾患等、運動器、呼吸器)、かつ重症度別(I~IIの2ランク、脳血管疾患等はI~IIIの3ランク)に設定された。その上で、「標準的リハビリテーション実施日数」が設けられ、実施日数」よりも前までは1日6単位(一部の患者は9単位)まで算定が可能だが、この基準を超えれば1カ月13単位までしか、算定できなくなる。

 【標準的リハビリテーション実施日数】
 心大血管疾患リハビリテーション:150日超
 脳血管疾患等リハビリテーション:180日超
 運動器リハビリテーション:150日超
 呼吸器リハビリテーション:150日超

 従来も、一定期間を超えれば、点数が下がる仕組みがあった。しかし、医療上の必要性をレセプトに記載すれば、低い点数ながらも算定が認められた。「土日曜日を除くと、1カ月に約132単位から207単位は実施している。しかし、今改定以降は、1カ月当たり、わずか13単位しか算定できない」と澤田氏。それを超える部分は、保険外併用療法(選定療養)の扱いになり、診療報酬の代わりに患者から自費を求める形であれば、リハビリを実施できる。

 今回、特に問題になるのは、リハビリニーズが高い入院の患者だ。鶴巻温泉病院の回復期リハビリ病棟の約75%は脳卒中の患者が占める。そのうち180日超までリハビリが必要な患者が数%存在するという。「当院の患者の平均年齢は76歳と高い上、重症患者が6~7割にも上る。とても患者から自費を徴収できる状況ではない。一方で、当院としても、改定前もわずかに黒字を計上していた程度であり、今改定でリハビリの点数そのものも下がったので、病院の持ち出しで実施することもできない」と澤田石氏。

 「勝ち負けは関係ない、火を付けるのが狙い」

 もっとも、この訴訟自体、却下される可能性が高い。井上氏によると、「処分性」が一番問題になるという。今回における処分性とは、簡単に言えば、「厚労省の通知によって、不利益を被ったか」ということ。「リハビリが必要であるにもかかわらず、受けられなかった」という患者は、今改定が実施される4月以降でないと生じない。つまり、現時点では不利益を被った患者がいないため、通知の差し止め請求は認められにくいというわけだ。

 「今回の提訴は、改定前のあくまで予防的な措置。ただし、一審で差し止め請求が認められなくても、最高裁まで争う予定」(井上氏)。その間に、必要なリハビリが受けられず、実際に「不利益」を被った患者が出れば、損害賠償請求も可能になる。こうした訴訟が起きれば、今回の訴訟の役割は終わる。

 3月18日の未明に、澤田石氏は、提訴に先立ち、訴状を自身のホームページに掲載した。既に、支援する声などが多数寄せられているという。

 「リハビリに限らず、医療問題への関心が低い医師もいる。こうした医師に関心を高め、行動してもらうために提訴した。まず火を付けることが重要。勝ち負けは関係ない」と澤田石氏は語っている。  

コメント

賛同します

リハビリとは縁もゆかりもありませんが、澤田石医師の行動は支持するものです。

どう考えても今の行政は、かつて渡部美智男が言いはなった「老人も早く死んでくれると助かる」、というのを実践しようとしているとしか思えません。

壮挙ですが

中途半端な知識なんですが、行政訴訟と言っても正式にそんな訴訟があるわけでなく、民事訴訟になります。いわゆる損害賠償訴訟です。

内診問題の時に法律関係者からアドバイスをもらったのですが、損害賠償訴訟は実際の被害が生じないと成立しないとされます。つまり「被害を受けそう」だけではダメだという事です。

企業などでは時代に合わなくなった法律・通達などを改正するために故意に違反を起し、それに対して罰則があった事に対して訴訟を行なうテクニックもあるそうです。

そういう意味でこの訴訟自体が成立するかどうかにまず関心があります。もちろん何らかの成算があってのことだと思いますが、どんなものなのでしょうか。

山口先生

リハの必要な、脳血管障害の患者さんに対して、リハ制限をして、療養病床の入院期間を制限し、在宅に持って行く、というのが官僚の描く医療費削減策なのでしょう。

が、それが正当な医療を受ける権利を患者さんから奪うものになりますし、さらに現実問題として、在宅でケアする家族がいない場合には患者さんに死ねと言うようなものですね。

Yosyan先生

行政訴訟を広義で捉えると、司法裁判所による裁断を指すようですね。行政事件訴訟法という法律もある様子です。私もこうした司法の手続きには詳しくは無く、このm3の記事に行政訴訟と記されていたので、そのまま用いました。

その処分性の成立の問題が、訴訟が成立するための一番の条件になると、井上弁護士が語っている様子です。4月以降、実際にリハを打ち切られ、不利益を被った患者さんが出てくると、この点もクリアーされるのではないでしょうか。

PLCというACラインを有線LANに用いる技術があります。それは、アマチュア無線や、放送受信に短波帯を実際上使えなくする酷い技術なのですが、総務省は、それを無視して、多くのメーカーに機器の認証を与えました。それに対して、アマチュア無線家が行政訴訟を提起しています(実は、私も原告の一人・・・書類上の原告です)。この訴訟は、行政に有利に展開していますが、それでも、行政のPLC機器の認証に影響を与え、一部メーカーは、PLC認証を返上し始めています。

最初に申し上げた通り、処分性の成立という問題がありますが、やがて多田富雄氏のように不利益を被る方々が、同様の行政訴訟を起すことになるでしょう。とすれば、判決がどのようになるにしても、PLC訴訟と同様に実質的な圧力を行政に及ぼしうるのではないかと思います。

 「リハビリに限らず、医療問題への関心が低い医師もいる。こうした医師に関心を高め、行動してもらうために提訴した。まず火を付けることが重要。勝ち負けは関係ない」という原告医師の心意気や良しで、大いに応援したいと思っています。

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