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医師不足対策に対する厚生労働省の「通知」 

厚生労働省が、医師不足対策として、ワークシェアリングの適用と、産科の診療報酬上の手当てを行うことを、地方自治体に求めた。

厚生労働省のこの通知には、大きな疑問がある。

まず、「医師不足」と何事もなかったかのように言っているが、厚生労働省官僚が、これまで医師は足りているとしていた公的な見解を撤回し、それに基づいて医療行政を行ってきたことを反省すべきである。マスコミが「医師不足」と騒ぎ出し、現厚生労働大臣がそれを認めたので、それに乗って、なし崩しにこれまでの誤った見解・医療行政をあたかもなかったかのように振舞うことは許されない。「医師不足」は、医療亡国論が官僚によって打ち出された頃から明白だったのだ。医療行政の結果責任が厳しく問われている。

ワークシェアリングをするといっても、どこからそれに対応する医師を連れてくるのか。結婚育児等で家庭に入った女性医師を引っ張り出そうというのか。それがどれほどの戦力になるとみているのか。そもそも、医師の絶対数が足りないときに、このような施策でお茶を濁せるのか。責任は、中央官庁である厚生労働省にある。地方自治体では、ドクターバンクなどと銘打って、医師探しを以前から行っているが、成果が上がってはいない。厚生労働省は、より抜本的な対策を打つ責任があるのではないか。少なくとも、地方自治体に「通知」一本出して済む話では決してない。

勤務医の待遇改善と称して、診療所診療報酬を病院のそれに付け替える改定を、来月に実施する。しかし、その改定では、勤務医の労働条件は改善されない。一方、診療所にとっては、大きな減収となり、収支が成り立たず閉院を余儀なくされる、または早めにリタイアするために閉院する診療所が、かなり出ることが予想される。また、後期高齢者医療制度や、療養病床削減に伴い、救急で病院に駆け込む高齢者が増えることも予想される。すべて、病院勤務医にとって、負担の増える因子だ。開業というのは、勤務医にとって、一つの人生設計の最終段階・最終目的であったはずだが、その道も閉ざされようとしている。厚生労働省は、これで、勤務医の待遇改善をしているつもりなのか。

産科の医師数の減少を、診療報酬で食い止められると考えているのだろうか。産科の第一の問題は、医療訴訟の増加だ。厚生労働省は、自らの権益を確保するために、医療事故(安全)調を立ち上げようとしている。これが、刑事・民事訴訟を減らさず、むしろ増やす可能性の大きな組織になることを医療現場から指摘しても、遮二無二この組織を立ち上げる方向で、厚生労働省は動いている。ほんのわずか診療報酬を増やす一方で、産科医をより酷い状況に追いやろうとしている官僚は、問題を理解していないのか、それとも産科の崩壊等元から解決する積りがないのか。


以下、引用~~~

医師不足:厚労省が労働環境改善を求め通知
08/03/24
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

医師不足:労働環境改善を求め通知--厚労省

 厚生労働省は21日、医師不足対策の一環として、「短時間正社員」制度を適用した医師の活用など、病院勤務医の労働環境改善を求める通知を各都道府県知事あてに出した。

 短時間正社員制は社員に退職金を払ったり社会保険を適用する一方、残業はさせず、労働時間に応じた処遇をする制度の総称。子育て中などで通常勤務が困難な女性医師らを働けるようにすることを求めた。また人員確保を進めるため、産科などの収入を手厚くした08年度診療報酬改定の趣旨を徹底することも盛り込んだ。【吉田啓志】

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病院勤務医の労働環境改善の推進について

病院勤務医の労働環境改善の推進について
医政発第0321001号、保発第0321001号
平成20年3月21日
厚生労働省医政局長、保険局長通知

http://pediatrics.news.coocan.jp/isei0321001.pdf

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