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医療事故調 最終案 

日本の官僚は、折衷案を作るのが得意だ。より正確に言うと、中身はそのままに、折衷したかのように見せるのが得意だ

法制化する案がまとまったらしい。それによると・・・

○医療事故の届出は、医療機関の判断に任せる。

○警察への通知は、悪質なケースだけに限定。

といった点で、医療側に譲歩したかのように見える。

しかし、

遺族からの申し出で、調査を開始する・・・医療機関が医療事故ではないと判断しても、遺族が納得しなければ、結局は調査開始となるのだ。。

悪質の判断は、この調査委員会に任せられている・・・この調査委員会は、中央に20名、各地方に10名程度の「非常勤」の委員を置くだけとされている。高度に分化・専門化された医療の臨床的な問題を判断するのに、これで果たしてよいのか。法曹関係者・患者側の立場の方が入る調査委員会で、科学的で冷静な判断ができるのかどうか、大いに疑わしい。

ということで、結局は、以前の案と内実は変わらない。結局、医療機関と医師の責任を追及する組織を、官僚主導で立ち上げるということだ。

これは、WHOのガイドラインに示された、こうした組織のありうべき姿とは大きく異なる。

この案が法制化されると何をもたらすか・・・急性期医療の崩壊である。病気というリスクを抱えた患者さんに対して積極的に侵襲的な治療を行う、外科系・産婦人科系の医療は、医療者にとって「危なくて」行えなくなる。医療では、対象とする患者・疾患そのものが確率的な事象で成立している。それに対して、確率的に、効果と合併症・副作用をもたらす治療法がある。それら全体を勘案して、ベストな可能性にかけて医療を行う。結果は、確率的に決定される。その結果だけから、責任追及を行えば、如何様にもできる。それでは、医療は成立しない。

官僚が、ここまでして、医療を支配し、管理しようとする意図は、不思議でさえある。この法案が通れば、現在進行中の急性期医療の崩壊がさらに加速するのが分からないのか。分かっていながら、何かの意図で突き進むのか。

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以下、引用~~~

「医療事故調」案を公表 届出義務範囲は狭まる 厚労省
2008年04月04日

 厚生労働省は3日、医療事故の死因調査にあたる第三者機関「医療安全調査委員会(仮称)」の設置法案提出を目指し、試案を公表した。医療機関への立ち入り検査の権限を明記し、カルテ提出も指示する。警察への通知は重大な過失など「悪質なケース」に限り、医療界の反発にも配慮した。

 調査委の設立議論は、事故の真相究明や刑事手続きの回避などを目的に始まったが、試案では、公平な刑事手続きに道筋ができる一方、医療機関に届け出が義務づけられる事故範囲が昨秋の原案より狭くなるなど、医師側の主張を反映。調査で関係者からの聴取は強制できないなど、実効性に疑問が残っている。民主党は試案に反対の姿勢で、法案の行方も不透明だ。

 中央に設置する調査委は国の機関。医療機関や遺族から届け出があった「医療事故死」について、解剖や診療記録の調査などで事故原因を明らかにし、再発防止を図る。

 調査は、地方ブロック単位の地方委員会で実施。医療機関や遺族から「事故死」の届け出があれば、医師や法律家、患者の立場を代表する有識者らで構成する地方委内に調査チームを結成。解剖や診療記録、関係者聴取などを通じて原因を調べる。

 調査結果は当事者に渡すほか患者名などをふせて公表し再発防止に生かす。

 医療機関に対して届け出を義務づける範囲は、(1)医療ミスが明らかで、治療が原因で患者が死亡した(2)治療行為が原因で患者が予期せず死亡――と規定。死因に不審な点がある「異状死」をめぐっては、警察への通報を義務づけている現行の医師法を改め、調査委に届け出た場合は、医療機関から警察への届け出は必要なしとする。

 試案は「責任追及が目的ではない」と明記。調査委が警察に通知するのは(1)故意や重大な過失(2)事故を繰り返す医師(3)カルテの改ざんや隠匿など悪質なケースに限定。捜査当局が行う刑事手続きについては「委員会の専門的な判断が尊重される」とした。

 調査委設立に合わせて医療法も改正。医療機関の組織的な過失に対する行政処分を新たに設ける。医師や看護師個人の処分が必要と判断した場合は再教育を軸に検討する。

 今国会で法が成立したとしても、調査委発足までは2年以上かかる見通しだ。

コメント

この制度

一般の人には、医師を守る法律と映るらしいです。
何の為に作るんでしょうかね、こんな法律。

誰かが得をするはずですよね、誰かが。

厚生労働省は、マスコミの医師バッシングに乗って、医師を掌握し、コントロールする体制を作りたいのでしょうね。

残念ながら、国民が、医療を完全なサービス業であるべきだと考えるようになってきました。満足がいくまで追及するという態度を医療に対して取ることが、医療現場を疲弊させています。

その根本的な国民の態度が変わらないと、結局は、国民が十分な医療を受けられなくなる、自分で社会インフラを破壊しているということなのでしょう。その破壊行為を、マスコミが、強力に後押しし、さらに官僚が医療支配に利用しようとしている、ということではないですか。

一度、破壊されつくさないと、国民には分からないのかもしれません。そこにいたるまでに、どれほどの人々が苦しむことになるのだろうと思うと暗澹たる気持ちになります。

がんセンターの麻酔科医の大量退職をマスコミは、より良い雇用条件を求めて辞めたかのように報道していますが、がんセンターの雇用条件が余りに悪すぎだったのではないかと思います。柏のがんセンター東病院の麻酔科医も4人から1人に減ったそうです。

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