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政治家の医療に関する認識 

とあるナショナルセンター的な医療機関で仕事をしている方の話として、同機関に入院している政治家が、横車を押し、それに医療機関幹部が同調し、スタッフの士気を大いに落としているという噂が聞こえてきた。この一つの噂話で、政治家の医療への見方全体を云々することは適切ではないかもしれない。しかし、少なくとも、このように医療機関を我が物顔に利用する政治家には、医療が、社会的なインフラであるという認識に欠けるのではないだろうか。そうした輩が、医療制度を弄繰り回し、医療を市場化しようと目論んでいる。

下記のニュースの通り、福田首相が、国立成育医療センターを視察し、医師不足対策等を行うことを言明したと報じられている。それには、予算処置も取るらしい。しかし、下記の点で、福田首相の言動には大きな疑問符が付く。

まず第一に、視察したのが、都内でも恵まれた医療機関である、国立成育医療センターであったという点だ。もともとパフォーマンスの視察であることは百も承知だが、恵まれた医療機関に日中わずかな時間足を運ぶだけという、貧弱なパフォーマンス。選挙を見据えた、いわば政治家の利己的行動だ。視察するべきは、厳しい労働条件で医療スタッフが悪戦苦闘している市中病院であるべきだし、是非夜間救急の第一線を視察すべきだ。

第二に、予算処置を伴う医師不足対策をとるとのことだが、医療を破壊しつくしているのは、経済財政諮問会議と、法曹、マスコミ、それに影響を受けた国民そのものだ。自らが議長をする経済財政諮問会議の骨太の方針を撤回すること、同会議が日本社会を市場原理主義によって破壊してきたことを認め、同会議自体を解散することが必要である。同会議を存続させ、自分が議長を続けながら、一方では、医師不足対策を云々するのは、真面目な対応をしているとはとてもいえない。社会保障国民会議も内実は、経済財政諮問会議と同じ。また、厚生労働省が拙速に作ろうとしている医療事故調案を一旦撤回することだ。この案では、急性期医療を始めとする、医療全体が崩壊する。

第三に、この10年、20年間の医療行政・医療政策について、何が誤りだったのかをきちんと検証して欲しい。必要なものは必要だなどと非論理的なことを言っているから、同じ誤りを繰り返す。官僚の行政の杜撰さが、次々と明らかになっており、そうした杜撰な医療行政によって、医療現場が混乱し、士気を落とされ、経済的に搾取されてきたかを、検証し、反省してもらいたい。医師は余っているという認識が、いつの間にか、医師不足ということになった。そのことだけでも、真摯に反省し、認識の誤りはどこからきたのか、何らかの目的をもってデータを改竄したり、データ解釈にバイアスをかけてこなかったのかを検証すべきだ。

福田首相には、こうした問題・疑問に答える責任があると思える。しかし、行政の長としての真摯な対応をしないならば、公的な医療機関を自分のもののように振舞う政治家と同じ穴の狢だ。医師不足対策を選挙目当てのパフォーマンスにするとしたら、決して許されない。

以下、引用とコメント~~~

5月に緊急対策取りまとめ 医療体制整備で首相 「早急に予算措置」
08/04/14
記事:共同通信社
提供:共同通信社

 福田康夫首相は14日午前、東京都内の国立成育医療センターを視察後、産科、小児科などの深刻な医師不足や救急患者搬送の際のたらい回し問題(この用語を、こうした報道で用いるか>共同通信よ)を踏まえ、医療体制整備の緊急対策を5月に取りまとめる考えを表明した。必要な予算措置についても早急に検討する。

 記者団に「産科、小児科、救急医療について来月ぐらいにビジョンをまとめ、実現に向けて努力したい。緊急性を感じており、(秋に最終報告をまとめる)社会保障国民会議とは別に(対策を)先行させなければならない(社会保障国民会議の論調は、医療費社会保障費削減であるから、「別な」国民の目くらましとするのは当然のことなのだろう)」と強調。体制整備のための予算措置に関しても「財源(確保)に早急に手を付けなければならない。必要なものは必要であり、何らかの措置をする」と述べた。

 医療現場では、宿直勤務(宿直ではなく、夜間勤務である)が多いなどの過酷な労働環境が指摘される産科、小児科、救急医療を中心に医師不足が深刻化している。首相としては、医療体制整備に取り組むことで、「生活者重視」の政治姿勢(生活者重視自体は悪くはないが、救急医療に関して、これだけを強調すると、医療をコンビニのように利用することを許容する、ないし推し進める危険がある・・・生活者重視とは結局、選挙対策の文言に過ぎない)をアピールしたい考えとみられる。

 国立成育医療センターは小児疾病患者の医療に取り組む施設。首相は新生児特定集中治療室(NICU)や小児救急外来の現場などを熱心に見て回った。センター側からは、産科や小児科の医師不足の深刻化について説明を受けた。(国立成育医療センターは、大きな研究機関を併設する、マンパワーも財政面でも比較的恵まれた医療機関。ここを、ちょこっと視察するということだけで、陳腐なパフォーマンスであることは明らか・・・。)

コメント

経済諮問会議と言うヌエ

ごく最近の国会答弁だったと思いますが、たぶんガソリン税がらみで質問された首相が、

「その問題は経済諮問会議で検討し云々」

てな答弁をしてました。あんたは首相であり、やっているのは国会答弁でっせとツッコミをテレビの前で思わず入れていました。

首相の頭の中でも経済諮問会議様の御許可を頂かないと「何もしてはいけない」の構図が出来上がっているようです。

予算措置をとって

医療を改善するというのが笑わせますね。
経済財政諮問会議が医療費削減という手段をもってここ数年来医療を破壊してきたのは医師であれば皆知っていることです。

おそすぎますねー

来月ぐらいにビジョンをまとめ、改善に向けて努力したい
↑もうこれだけで、ダメだ、と思いました。
来月か再来月、トンデモビジョンが出ると思うので、その時はブログでの鋭いツッコミをお願いします(苦笑)
間違いを認めなきゃ、有効な政策なんかとれるわけがないですよね。
いつもながら、先生の指摘には唸ってしまいますね。


この成育医療センター視察のニュースを知って、何しろかるい、かるすぎる政治だ、というのが第一の印象でした。形だけの視察であっても、何でもっと苦労している現場を見ようとしないのか、と思います。

経済財政諮問会議の問題については、皆様と同感です。小泉時代に隠然たる影響力を及ぼすことになった、この組織が、選挙の洗礼も受けずに、国の基本方針を決めている異常な構図を何としても改めなくてはなりませんね。

社会保障法は法学部ではマイナー

大学の法学部では社会保障法ではゼミがないことがおおいですねえ。経済学部の社会政策はちゃんとした講座になってゼミになっているのがふつうなんですが。法学部出身がおおい自民党議員だと勉強会はいつでも必要なんじゃないでしょうか。

岡本さん

お久しぶりです。そうなのですか。法律学というのは、社会的な規範を学ぶ学問なので、社会保障論のような現実に立脚して学ぶ学問を重視しないということなのでしょうか。医療と法曹の乖離を語る小松秀樹氏の論拠の一部も、そこにあるような気がします。retrospectiveかprospectiveか、演繹か帰納かという相違。法律が、国家権力とあいまって、国家を成立させているのだろうと思いますが、しかし、その体系が、すべての社会事象を包括できなくなっている、ということなのではないでしょうか。

福田さんの今回の視察は、あくまでパフォーマンス、それもピントの大きくずれたパフォーマンスのような気がします。

確かに国立成育医療センターは充実した小児科の基幹病院ではあります。
あのー 昼間はですね。

首相も夜間抜き打ち訪問すれば 鳥肌が立つくらい実感されたとおもいますよ 小児科の時間外診療の実態が。

来るわ来るわ 視察に来られた御一行様を押しのけるくらいの勢いで患者様とご両親が御来臨遊ばれています。

だって結局 ただだもん。

生育も・・・

>確かに国立成育医療センターは充実した小児科の基幹病院ではあります。

あそこは前長野県知事が招聘した前院長の方針で、止めどなく時間外をやってますから、相当疲弊しています。内部情報を貰った事もありますが、限界近しで黄信号点滅から赤信号に変わりつつあると去年段階で聞いています。

 >あのー 昼間はですね。

昼間はまだ見た目平穏な病院は多いんじゃないですか、だいたい総理大臣閣下の視察の時にはどこも平穏を演出するでしょうし。そうするように事前の通達が出てそうにも思います。

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