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地域医療の構造改革 

福田首相が、社会保障国民会議で危機的な地域医療の「改革」について述べた。この会議には、地域医療の第一線で働いている医療従事者はいない。

彼は、この記事にあるスローガンだけを述べたのではなく、何かもっと意味のあることを述べたのだろうが、彼の語った言葉からは、地域医療の再生は見えてこない・・・。

限りある資源・・・確かに、医療は、どんどん窮乏化させられてきたから、資源は極めて限定的である。一番窮乏化させられているのは、医師の士気だろう・・・英国では、サッチャーの医療「改革」で医療が崩壊した。その一番の後遺症は低下したままの医師の士気だと言われている。士気という、金で買ったり、箱物をでっち上げたりすることによっては回復させることができないものが、一番厄介なものなのだ。政治家や国民は、それをやがて痛切に知ることになるだろう。

資源の必要な分野・・・急性期医療といえるが、全分野だろう。

集中的に投入・・・広範な分野に集中して投入?意味のない政治家用語。集中的にとは、要するに潤沢に投入はできないということを意味するのだろう。

大胆な構造改革・・・何をどのように改革するのか。構造改革とは、市場原理主義者の元首相とその一派が、自らと、大企業にとって都合の良い政策を呼ぶときに用いたjargon。元首相一派にとって、「構造改革」に反対するものは、「利権に執着する抵抗勢力」。この構造改革とやらで、国民に競争自立を促し、セーフティネットをことごとく弱体化させた。が、結局はごく一部の財界を利する「改革」になっているのは、この数年間で明らかになってきている。痛みは、専ら社会的な弱者に、利権は専ら政治に取り入った財界人に、というわけだ。その「構造改革」を、地域医療対策のスローガンにも用いるとは恐れ入る・・・。

地域として一体的な医療サービス体制の構築とは一体何なのだろうか。現在のところ見えてくるのは、中小病院、特に公的病院を潰すこと。さらに、診療所も、在宅医療や一次救急に積極的にかかわらなければ不用という政策だ。残った医療機関を地域ごとに「ネットワーク化」して、地域医療を担わせるということなのだろうか。首相自身が認めているように、医師不足が根本にあるのに、ネットワークだけ作って、一体どうなるのか。地域に丸投げしようとするのか、それとも中央集権の強化なのか。

何故、「患者のたらい回し」が起きているのか、何故、地域医療を担う医師が減っているのか、その原因・理由を探ることをこそまず行なうべきだ。地域医療現場で汗を流している医療者から話を聞くべきなのではないか。手垢にまみれた「構造改革」といったスローガンを持ち出すべきではない。別な意味で、「構造改革」は、現政権・官僚にこそ必要だ。財界人や、利権に群がる人間の意向を受けて、医療政策を決めるのではなく、地域の医療の現状、その窮状の拠って来る原因を理解する、そうした「構造改革」こそが必要なのだ。


以下、引用~~~

地域医療:再生へ、首相が改革表明--社会保障国民会議
 福田康夫首相は16日、首相官邸で開かれた政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)で、救急患者のたらい回しや医師不足が深刻化する地域医療について、「限りある資源を必要な分野に集中的に投入できるよう大胆な構造改革を進める」と、地域医療再生に向け、早期に改革を実施する意向を表明した。

 具体的には、複数の市町村にまたがる地域の病院や、診療所がグループ化し、救急医療や高度・専門医療から外来診察、健康相談まで、地域として一体的な医療サービス体制の構築が検討されている。同会議が6月上旬にまとめる中間報告に盛り込まれる。【須佐美玲子、坂口裕彦】

毎日新聞 2008年5月17日 東京朝刊

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