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白く塗られた墓 

後期高齢者医療制度で、加入する高齢者が得をするか、損をしているかといった議論が、マスコミで多く流されている。加入者の多くが「得をするように」、負担を9割減とする案を、自公両党が出すようだ。

その一方で、福田首相は、社会福祉医療予算を毎年2200億円づつ減らす方針を堅持することを改めて昨日表明している。

現在、この医療制度の評判が悪いので、何とか乗り切ろうと、大バーゲンセールをしている。しかし、本心は、医療にかける公費を削減するというこの制度の目的は譲らないということだ。その見せ掛けのバーゲンセールは、専ら自公政権与党議員自らの選挙対策だ。

大体において、国民への負担がどうなるか、官僚は予め予測していたに相違ない。それが、制度への国民の反発が強いとみるや、負担を検証するとは、芝居がかった見せ掛けのゴマカシだ。その検証で、「得をする」高齢者が多いという結論が無理やり引っ張り出されたようだが、その検証の前提には現実に合わないことが多くあるようだ。先に結論ありきの検証作業だ。

75歳以上は、罹病率も高く、さらに重篤な疾患にもかかる可能性が高い。その年齢層の方々だけを対象とする別枠の医療保険は、もともと持続可能性が小さい。医療費削減という目的を遂げるために自己負担が際限なく高くなることが、出発点から分かっており、高齢者を医療難民にしうる制度なのだ。自公両党の「改善案」は、そうしたこの制度の本質的な問題点を一時的に糊塗しようとする、ゴマカシそのもの。このゴマカシに国民が乗せられるとしたら、それはそれで自公政権与党と抱き合い心中をすることになる。

こうした政治家の都合で制度変更をする度に、プログラムの書き換え等に数百億の規模の金が飛んでゆく。専ら政治家の都合で、無駄な公金が湯水のように費やされる。

もう一度言おう、自公政権与党「改善」案は、ゴマカシの上にゴマカシを重ねた、白く塗られた墓だ。


以下、引用~~~

7割の高齢者で負担軽減 新医療制度導入で
08/06/04
記事:共同通信社
提供:共同通信社

 後期高齢者医療制度の対象者約1300万人のうち、これまで保険料を負担していなかった被扶養者を除く約1100万人の約7割は、新制度導入に伴って4月時点で保険料負担が以前より軽くなっていたことが3日、厚生労働省の調査で分かった。政府筋が同日、明らかにした。厚労省が4日にも公表する。

 4月からの保険料負担が以前と同等だったり増えたりした約3割の大半は、所得が「現役世代並み」の層とみられる。

 新制度導入に高齢者の不満が噴出したことから、福田康夫首相は4月30日の記者会見で、問題点を集中点検した上で緊急対策をまとめる考えを表明。これを受け、厚労省は全国の広域連合を通じて基礎年金受給者や厚生年金受給者の単身や夫婦世帯のモデルケースについて、新制度が始まった4月以降とそれ以前の保険料負担の変動の調査を進めていた。

コメント

白く塗られた墓

まさにその通り。本質は高齢者医療費の削減を目的としているのに恰も負担が減るようにごまかす。偽善的、詐欺的な政策であるのはバレバレですね。朝三暮四という言葉もありましたね。与党議員は有権者は馬鹿だと思ってるのでしょうか。

医療崩壊…

言われて久しい医療崩壊ですが、私の足下にも迫って参りました。7月から大学では院内に残り医師が6月の半分に減ります…。当直の回数も倍になるとのことです…。
それだけ関連病院に厚く配して何とか地域の医療を救おうとの試みですが、それでもまだ足りてもいません。
上記記事とは直接関係の無い話ではありますが、私の身の回り一つを見ても医療を取り巻く厳しさは、もはや、何というか、身にしみて来ております。
厳しすぎます…。(T^T)

元外科医さん(先生の呼称でなく、今後皆さんをさん付けで呼ばせて頂きます)

仰られる通りですね。官僚の調査データもでっち上げに等しいものですし、政治家はもとより、何か行政の質が低下しているように感じます。

QWさん

そちらのブログも読ませていただきました。凄まじい状況ですね。業務縮小するか、逃げ出すかしか、残された道はないのではないかとさえ思えます。本当に身体だけ壊さぬように、何とかやり過ごしてください・・・他人事みたいなことしか言えなくて恐縮なのですが、その昔弱小小児科医局の医局長をした経験があり、多少は大変さが分かります・・・しかし、私の経験を大きく超える事態ですね・・・。

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