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『さらば財務省!』 

高橋洋一氏の『さらば財務省! 官僚すべてを敵に回した男の告白』(講談社刊)を読んだ。本屋の一番目立つ場所に山積みになっていた本で、きっとよく読まれているのだろう。普段はこうしたベストセラー本を手にすることはまずないのだが、タイトルに興味をもって手に入れて、読み通した。

彼は、財務省官僚だったが、小泉内閣の竹中平蔵の部下となり、内閣参事官として、小泉「構造改革」を推進した人物だ。東大の理学部数学科から経済学部に進んだ人物で、毎年2名程度財務省が「変人枠」として採用した官僚の一人だった。小泉内閣での6年間、小泉「構造改革」を立案し、遂行した中心人物の一人と言ってよいだろう。

小泉元首相が、郵政民営化というシングルイッシューだけで首相になり、アジテーションによって選挙に大勝し、権力を欲しいままにしていた様子も良く分かる。郵政民営化の具体的なプランは何も持っておらず、竹中氏を始めとするブレーンが、一からプランを作っていった様子等が詳細に記されている。小泉元首相に説明するときには、書類はA4版一枚まで、それも文字が大きくないと駄目だったらしい。

内側から、官僚組織を批判的に観ており、現在の官僚組織の問題を手厳しく指摘している。官僚が諮問会議という隠れ蓑を使って、自らの行政を推進してきた事情も詳細に明かされている。諮問会議の人選は、官僚の意向に合う人物だけを選び出す。事務局を、官庁内部におく。最初の会議には、特に念入りに、会議の方向付けを官僚が、会議メンバーたちにレクチャーするのである。会議メンバーは、比較的多数決めておき、一人当たり数分の発言時間しか与えない。用意周到に、官僚の意図通りの諮問が得られるように配慮されているのである。

それでは、「構造改革」ができないと踏んだ、小泉内閣は、内閣直属の経済財政諮問会議を創設した。諮問会議行政を官僚から奪い取り、官邸主導で政策を決定するようにした、と高橋氏は自賛している。その後、小泉首相の意向により、自民党に政策決定の軸足が移されたとあるが、どうなのだろうか。増税を優先させる財務省とそれに組する財政再建派議員と、景気回復が先だとする党人派議員の争いが、今も続いていると、高橋氏の著作では述べられている。福田現首相は、経済財政諮問会議の打ち出した、毎年2200億円の社会保障医療費の削減方針を堅持すると今でも述べている。経済財政諮問会議には、小泉内閣当時の権勢はなくなってきているのかもしれないが、政策決定に隠然とした力を今でも持っているように思える。

高橋氏の著作には記されていないが、この経済財政諮問会議の方向付けを行っている存在が二つある。一つは、財界である。この諮問会議メンバーにも財界人と、そのシンパの学者達が多く加わっている。オリックスの会長宮内氏等は、あからさまに自らへの利益誘導策をこの会議で主張していた。もう一つ、米国の意向も強く反映されている。具体的には、年次改革要望書というタイトルの日本政府に対する米国の要求を、尽く政策に反映させているのである。

日本の不幸は、官僚・経済財政諮問会議いずれにも、日本の未来を切り開く知恵はないということなのだろう。

コメント

売国官僚,民間議員

×日本の不幸は、官僚・経済財政諮問会議いずれにも、日本の未来を切り開く知恵はないということなのだろう。

○日本の不幸は、官僚・経済財政諮問会議いずれも、日本の未来をアメリカに売り渡す知恵しかないことなのだろう。

米国も、日本への関心は、もうあまりなくなってきているのではないでしょうかね。米国は、日本の頭越しに中国等と付き合いたいのでしょうね。

日本の将来をきちんと見据えて、政策を作る官僚がいないように思えます。

何が欠けているのでしょうか。結果責任をとらない官僚、劣悪な労働条件で酷使される官僚、年功序列主義の跋扈する官僚制度・・・官僚組織が、それ自体の保持・拡大を自己目的化しているように思えます。どうすれば、解決するのでしょう。

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