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医療事故調「大綱案」 

厚生労働省は、医療事故調「大綱案」を公表した。調査は犯罪捜査のためではない、としているが、刑事訴追に結びつく内容になっている。

警察に通報する事例として、故意・隠蔽のケースが挙げられているが、故意・隠蔽とは誰が、どのように判断するのだろうか。医療事故調のなかの誰が判断するのだろうか。患者に危害を加えようとする明確な意図の下に行われた行為は、医療行為ではない。それは犯罪そのものだ。

さらに問題なのは、「標準的な医療から著しく逸脱した行為」という条項だ。医療行為にことごとく「標準」が設定されていて、それからの逸脱が容易に判断できる、というのは、いかにも官僚の発想らしい。人間の身体、心、それに病気にも、さまざまなバリエーションがあり、標準化できないのが医療だ。

届出を24時間以内に行わなければならない、となっているが、医療事故かどうかを判断することが難しいケースも多々あることだろう。届出義務違反に違反し、届出義務違反への是正命令に従わないと「懲役刑」まで課される、ということだ。医療事故の判断自体が難しいことを考えると、届出は、すべてのケースに対して行うということが現実になる可能性もある。

それ以前に、リスクのあるケース、自らの専門性、医療環境から手に負えなくなる可能性のあるケースは、すべて高次医療機関に転送するということになることだろう。高次医療機関のキャパシティも、有限だ。特に、夜間の救急から、医療の空白が生まれることになるだろう。

官僚と、政治家が、医療の安全という神話を目指す法律を作ろうとしている。これは、医療機関・医療従事者の努力でようやく成立していた、急性期医療を完膚なきまでに破壊することになる。



以下、引用~~~


医療死亡事故:24時間内、届け出義務 違反に懲役刑も 安全調査委設置大綱案
08/06/13
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社

医療死亡事故:24時間内、届け出義務 命令違反に懲役刑も--安全調査委設置大綱案

 厚生労働省は13日、医療死亡事故の死因を究明する第三者機関「医療安全調査委員会」について、医療機関に24時間以内の届け出義務と違反した場合の罰則を盛り込んだ設置法案の大綱案を公表した。今国会への法案提出は見送り、臨時国会での成立を目指す。医療界の一部が「医師の刑事訴追に利用される」と反発しているのを受け、条文に「調査は犯罪捜査のためではない」と明記するとした。

 医療安全調査委は、警察に先行して医療ミスが疑われる死亡事故を調査・分析する行政機関で、法施行から3年以内の運用開始を見込む。委員会は厚労省に設置する前提だったが、医療界から反対論も出たため、大綱案では所管省庁を特定しなかった。

 大綱案は、調査委への届け出範囲を(1)医療ミスに起因する死亡(2)医療に起因する予期しない死亡--とし、学術団体が主体となって基準を作ると規定。届け出義務に違反した場合、ただちに罰則は科さず行政処分とするが、是正命令に従わなければ6月以下の懲役か30万円以下の罰金を科すとした。

 刑事処分については、調査委が警察へ通報する対象を「故意や隠ぺい、標準的な医療から著しく逸脱した行為」と定義した。医師法の改正により警察への届け出義務を免除することで、捜査当局の介入が限定的になるよう配慮した。【清水健二】

コメント

これもパブコメ募集しています

「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495080050&OBJCD=100495&GROUP=

殆んど内容が変わらないものに、矢継ぎ早にパブコメを募集されるのは少々食傷気味です。

理解不能

医療ミスかどうか自分で判定して自分で届けろというのはどう考えても変なはなしと思いますが。
万全を期せば死亡例は全例届け出るしかないはず。結局届け出制というのは届けられるほうの都合でしかないんですよね。

Yosyanさん

パブコメ募集の情報をありがとうございます。しつっこく出してみます。

ところで、民主党案をご覧になりましたか?直接は読んでいないのですが、「被害者」の立場にだけ立った案のようです。これでは、政権交代した時に、思いやられます。そちらの内容もチェックして、桜井議員にでもメールしてみたいと思います。

VVXさん

仰られるとおりですね。24時間以内に判断して届け出ろというのは無理な話で、結局、届け出なければならない可能性のあるケースは、すべて届け出ることになるのでしょう。

それと、システムエラーの問題の取り扱いがどうなっているのか。医療事故の大半はシステムエラーから起きており、その背後には、厚生労働省・政権の政策があります。彼等自身のエラー・ミスを、自分で裁けるのでしょうか・・・無理でしょうね。

はじめまして。非医療者です。

現在の医療政策に疑問を感じ、危機感をもっています。第三次試案へも簡単ですが反対意見を送りました。基本、たとえ、医療ミスであったとしても刑事を適用させてはいけないと思っているものです。

民主党案ですが、「産科医療のこれから」ブログ管理人の僻地の産科医先生が入手されて公開されています。
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/06/post-1341-49.html

先生方が安心して医療に従事できるよう心から願っています。

akoさんのような方がいらっしゃると、勇気付けられます。民主党案の方も後ほど読んでみます。ありがとうござしました。

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