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新たな「回勅」 

現在進行中のコロナ禍が、人類史のなかでどのような意味を持つのかは、後に歴史的な課題として研究されることになる。

だが、現時点で明らかなことは、人類が金融資本主義下であくなき経済成長を求め、自然を破壊し、働く人々を蔑ろにしてきたことが、このパンデミックの背景にあることだ。

金融資本主義は、あくなき経済成長を追い求めて、自然を破壊し続けてきた。そこでzoonosisたるSARS CoV2が人類の前に出現した。それがこのパンデミックの出現を招いた。

ステークスホルダーの利益を最大化することだけを求める金融資本主義は、生産現場の経営から労働者を排除し、労働者をモノとして扱うようになった。

宇沢弘文はその著書「社会的共通資本」のなかで、経済の枠組、思潮における現代の危機的な状況について以下のように解説している。

資本投資家の利益を最大限にすることだけを目的とする、金融資本主義は壁にぶつかっている。1891年、ローマ法王レオ13世は、19世紀末の貪欲な資本主義が労働者を苦しめている現実を指摘し、その一方、社会主義に安易な解決を求めようとすることに警告をならした。「資本主義の弊害と社会主義の幻想」である。第二次世界大戦後、社会主義体制の国家が多く誕生したが、社会的正義の実現の対極にある全体主義、非効率な計画経済をもたらした。ヨハネパウロ2世は、最初の回勅から一世紀経った1991年に、新たな回勅を発し、「社会主義の弊害と資本主義の幻想」に注意を喚起した。その直後に社会主義体制の国家は雪崩を打つように崩壊し、その後新自由主義経済と、それによる金融資本主義が世界を席巻した。

宇沢は、社会的共通資本を重視し、それによる政治経済体制を確立すべきことを、上記の著書の中で説いている。

その金融資本主義が、現在大きな壁にぶつかっていることが、現在のコロナ禍によって顕在化した。再び、資本主義の弊害を問わなければならない事態だ。その金融資本主義は、マネーゲームにより実体経済を破壊し、経済格差を極大にまで広げている。労働者はモノとして扱われ、経済活動に民主的に参加することは許されていない。さらに、金融資本主義は、投資を行う者のために自然の開発破壊を最大化した。

コロナ禍の進行する欧米の社会科学研究者三名が、下記の提言を公表することを思い立った。ルモンド誌にop-edとして掲載するまでの間に2週間の時間的余裕があった。そこで、彼らは世界中の社会科学、人文科学の研究者達に共同筆者になることを提案した。その結果、全世界700の大学から5000名の研究者が、この提言に加わった。5月16日に提言が公開された。現在、全世界36か国の43の新聞に公開され、27の言語に翻訳されている。

こちら。

彼らのモットー;

it is time to democratize firms, decommodify work, and remediate the environment

が、実現されなければ、この深刻なコロナ禍から脱却し、新たな歩みを始めることは難しいだろう。

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