南スーダンへのPKO派遣は、同地の人々のためではない、自衛隊員を危険にさらすだけ 

南スーダンで絶望的に必要とされている援助を南スーダン政府が妨害していると国連が訴えていることを、アルジャジーラが報じている。こちら。

わが国の政府は、南スーダン政府の意向に背かぬようにしている。それは、南スーダンへのPKO派遣、そして派遣された自衛隊による「駆けつけ警護」という内戦への直接的な関与を行わせるためである。

わが国の政府は、南スーダンの人々の窮状を救おうとはしない。政府の視野にあるのは、どうも米国政府の意向らしい(別なポストで、それについての報告をアップする)。

安倍政権の掲げる積極的平和主義とは、武力紛争に苦しむ人々を助けることではない。積極的平和主義という建前のもと、自衛隊の若い隊員の生命を危険にさらしている。結局、安倍政権の利権を得るために、南スーダンの人々を見捨て、自衛隊員に命がけの任務を強要している。

以下、引用~~~

3月7日付Yahooニュース 自衛隊派遣ありきが南スーダン和平の障害に!日本人NGO職員が語る現場のリアル(志葉玲)

自衛隊がPKO部隊として派遣されている南スーダンについて、厳しい現地情勢を無視した、稲田朋美防衛大臣の「言葉遊び」が繰り返されている。そこで筆者は、この間、南スーダンでの人道支援活動を行っている日本国際ボランティアセンター(JVC)の今井高樹さんに話を聞いた。今井さんの話から浮かび上がってきた現実は、自衛隊を派遣している限り、日本は南スーダンの内戦終結に貢献できないというものだった。

○内戦中の南スーダンに紛争当事者がいない?!

昨年7月の首都ジュバでの大規模な戦闘以来、内戦状態が続く南スーダン。同国への自衛隊派遣は、その根拠となるPKO協力法での5原則に抵触するものではないか、との国会質疑に対し、稲田防衛大臣の答弁には、不誠実さが目立つ。先月20日の衆院予算委員会では、緒方林太郎衆議院議員(民進)の質疑に対し、
「(南スーダンに)紛争当事者はいないんです。(副大統領派の)マシャールさんは紛争当事者になり得ないんです。国外に行っているわけです」
と声を張り上げた。「紛争当事者がいない」ならば、今、南スーダンで続いている内戦は、一体何なのか。緒方衆院議員の質問の趣旨は、南スーダンの大統領派のみに日本政府として対応するのか、それとも同国の紛争におけるすべての関係者に中立的な姿勢をとるのか、というものだったのだが、稲田防衛大臣の答弁は噴飯ものの詭弁だろう。JVCの今井さんは眉を顰める。

「稲田大臣のおっしゃっることは、PKO法上において、『国または国に準じる組織』として、マシャール派を紛争当事者と定義していない、ということなんでしょうけども、現地の状況とはあまりにかけ離れています。南スーダンでは現大統領のサルバ・キールが率いる政府軍と、リヤク・マシャール前副大統領が率いる反体制派武装勢力SPLA-IO、さらにいくつもの武装勢力による戦闘が続く、戦国時代のような状況。マシャール前副大統領自身は、国外に脱出しているものの、マシャール派は南スーダン北東部のいくつかの地域を実効支配しており、政府軍ともこの1月から幾度も激しい戦闘を行っています。南スーダンのエクアトリアと呼ばれる一帯でも、この地域に進攻し、破壊や略奪を行っている南スーダン政府軍に対し、現地部族による武装勢力がいくつも組織されています」
なぜ、稲田大臣は「南スーダンには紛争当事者がいない」ということにしたいのか。それは、PKO協力法で自衛隊を派遣できる条件としての5原則に「1 紛争当事者間で停戦合意が成立していること」と定められているからだろう。つまり、マシャール派ほか、反大統領派の各勢力を「紛争当事者」と認めてしまうと、このPKO5原則に反してしまい、南スーダンへの自衛隊派遣が違法ということになってしまうのだ。

○キール大統領のみを全面的に後押しする安倍政権

稲田大臣、そして安倍政権が自衛隊派遣ありきで「南スーダンには紛争当事者がいない」としていることの弊害は、南スーダンの和平にも悪影響を及ぼしかねない。今井さんが指摘する。

「日本政府の対南スーダン外交の最大の問題点は、キール政権のみを全面的に後押ししていることだと思います。昨年末、キール大統領は、南スーダンの和平のため、『国民対話』を行うと発表しましたが、そこには次のような問題点があります。マシャール派を含めた反大統領派の武装勢力を、対話の対象にしていないこと、開催場所が南スーダン国内であるために、命を狙われるような反大統領派のメンバーには、実質的に対話参加への道が閉ざされていることなどです。本気で和平を目指すのであれば、反大統領派の各勢力を交え、第三国で国民対話を行うよう、日本政府も働きかけるべきでしょう」

国民対話は、昨年末、キール政権による数々の虐殺や人権侵害を懸念し、南スーダンへの武器輸出を制限する国連安保理決議に、安倍政権が賛成しない理由としてあげたものでもある。曰く、「キール政権が国民の和解に向けての方向性を打ち出したタイミングで、安保理が武器禁輸を決議することは、かえって悪いメッセージを送ることになる」とのことだ。それならば、より一層、国民対話がかたちだけのものにならないよう、日本も働きかけるべきだろう。だが、実際には、安倍政権が対南スーダン武器禁輸に賛成しなかった理由は、武器禁輸で南スーダン政府の機嫌を損ね、同国に派遣された自衛隊への悪影響が及ぶことへの懸念であったことが、米国のサマンサ・パワー国連大使(当時)によって暴露されている。つまり、南スーダンでの虐殺の危機への対応より、自衛隊派遣を優先したということだ。

キール政権の下、各国から派遣されたPKO部隊の活動も南スーダン政府軍に妨害されている。「南スーダン政府軍があちこちで、PKO部隊の移動に制限をかけ、『従わないなら攻撃する』と脅したりもしています。PKOの中でも、現地の人々の安全確保を任務とする、地域防護部隊を各地に展開させることも、キール政権は同意したはずですが、実際にはその約束は果たされていません。PKO5原則の2、PKO活動が受入国の同意を得ているとは言い難い状況です」(今井さん)。

○自衛隊派遣ありきが対南スーダン外交・支援の障害

和平どころか、むしろ緊迫している南スーダン情勢。今井さんも「国内外で避難生活を余儀なくされている人々は南スーダンの国民の3分の1にも上ります。飢餓も深刻で、国民の約半数が食料危機にあります」と訴える。南スーダンの内戦を終結させ和平を実現することは急務だが、自衛隊派遣ありきの安倍政権のスタンスが、日本のできることを制限していると言えるだろう。つまり、自衛隊の派遣を正当化し、そして現地での活動に悪影響が及ぶことを恐れるがゆえにキール政権のご機嫌を損ねないようにしてばかりいる。「南スーダンに紛争当事者はいない」とし、国民対話がかたちだけであることや、PKOの地域防護部隊が展開できていないなどの現実を直視していない。南スーダンへの武器輸出規制にも賛成できない。自衛隊が駆けつけ警護などをして、現地武装勢力と戦闘になれば、日本人自体が敵視され、NGOなどの活動も危険なものとなる。それならば、いっそ自衛隊を撤退させた方が良いだろう。その上で、

キール政権に反大統領派の各勢力も国民対話に参加させるよう働きかける
南スーダン国内外の避難民支援
南スーダンへの食料支援

など、日本ができる貢献をしていくことが望ましいのだ。
(了)

南スーダン内戦「壊滅的規模」に 

発展途上国の戦闘を抑えるために、武器供給を外から行わないことが即効性のある対策だ。

昨年秋、内戦状態にある南スーダンへの武器禁輸をするための国連決議が上程された。米国等が提案した決議だ。だが、わが国は、その決議を「棄権」した。実質、反対の意思表示である。南スーダン政府へ遠慮したためだ、という。

これは何度もこのブログで取り上げてきたことだが、安倍政権は、南スーダンへ平和をもたらすことは二の次のようだ。安倍政権は、同地へのPKO派遣を続けることだけが目的らしい。現地の人々の生命が失われ、さらに派遣された自衛隊員の生命が危機にさらされていることには、我関せずである。下記のニュースに示す通り、国連が、南スーダン内戦が壊滅的な状況になることを警告している。安倍政権が顔色を窺っている政府軍が、とくに悪辣な軍事行動を取っているらしい。

PKO派遣の実績作りだけでなく、むしろ自衛隊員に犠牲者が出ることを、安倍政権はひそかに望んでいるのではないか、と思える。犠牲者を靖国に祀ることで、日本を戦争する国家へ引きずり込むつもりがあるのかもしれない。犠牲者が出ればそれが既成事実化し、靖国へ犠牲者の「英霊」を祀ることにより、国民を靖国を中心にまとめることができる、と読んでいるのかもしれない。

これまで矢継ぎ早に制定・確認された安保法制、集団的自衛権行使容認、秘密保護法等と、現在進行中の、共謀罪法案制定すべてが、わが国を戦争と国家主義への道に進めているように思えて仕方がない。

以下、引用~~~

2月16日付AFP 南スーダン内戦「壊滅的規模」に、収拾つかない恐れを国連が警告

【2月16日 AFP】南スーダンの内戦が「民間人にとって壊滅的な規模」に達しており、さまざまな民兵集団の台頭によって事態の収拾がつかなくなる恐れがあると警告する機密報告書を、国連(UN)が安全保障理事会に提出していたことが分かった。戦闘が何年も続くことになると警鐘を鳴らしている。

 その上で報告書は、「スーダン人民解放軍(SPLA、政府軍)や反体制派の緩い指揮命令下で次々と民兵集団が台頭し、組織の分裂や支配地域の移動が広がっている。こうした傾向が続けば「いかなる政府の統制も及ばない状態がこの先何年も続く恐れがある」と警告している。(c)AFP/Carole LANDRY

 アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は、AFPが14日に入手した報告書の中で「記録的な人数」の民間人が自宅のある村や町から逃げていると指摘。集団的な残虐行為の危険が「現実に存在する」と述べている。
 厳しい内容の報告書に先立ち、グテレス事務総長は先月、3年に及ぶ内戦の終結を目指して南スーダンのサルバ・キール(Salva Kiir)大統領や地方の指導者らと会談していた。

「(南スーダン)国内では各地で治安状況が悪化の一途をたどっている。長引く紛争と暴力行為がもたらす影響の大きさは、民間人にとって壊滅的な規模に達している」と、グテレス事務総長は述べている。

 報告書によれば、内戦に関与する全ての当事者が高圧的な軍事行動を展開しているが、特にキール大統領に忠誠を誓う政府軍は「毎日のように家屋や人々の暮らしを破壊している」という。

PKO派遣の本当の意図は一体何なのか? 

以前にも記したが・・・、Dick K4XUがユーゴ紛争の時代、クロアチアに国連に関連した業務で派遣されていたことがあった。紛争地域がなぜ武力抗争から脱せないのか尋ねたら、国連のPKO自身がそれを望まないからだと、彼は返答した。びっくりした。PKOの多くは、発展途上国出身の兵士であり、国連の仕事は「実入りの多い」仕事なのだ、と彼は言う。従って、武力抗争をむしろ長引かせようとするのだ、と。

Dickの観察は、すべての状況に当てはまるものではないかもしれないが、国連PKOが、その出身国の都合に左右されるのは大いにあることだろう。

わが国は、南スーダンへの武器輸出を禁じる国連決議を「棄権した」。南スーダンでの武力紛争に用いられる武器は、すべて輸入されたものだ。それの南スーダンへの流入を食い止めることは、武力紛争を改善するために必須のことであるはずだ。だが、わが国政府は、それを良しとしなかった。南スーダンの下記のような状況がどうなろうとも、そして現地に派遣された自衛隊の隊員の命がどうなろうとも、わが国政府は、PKO参加だけを優先しようとしている。Dickの観察した発展途上国PKOの手前勝手な行動と、根っこが同じ行動だ。わが国政府の意図するPKO参加の目的は何なのか?

以下、引用~~~

 2月8日付朝日新聞デジタル 「目の前で両親が…」 南スーダン難民の孤児問題深刻化

内戦状態が続く南スーダンから大量の難民が押し寄せている隣国のウガンダ北部で、戦闘で両親を失った紛争孤児の問題が深刻化している。子どもたちは心に深い傷を負っており、支援機関は早急なケアの必要性を訴えている。

 「私の目の前でお父さんとお母さんが殺された」。ウガンダ北部のパギリニヤ難民居住区で、女子生徒ジョスカ・アミトさん(14)は涙をこぼした。昨年7月、銃を持った男4人が自宅に押し入り、両親を射殺。アミトさんは5~10歳の3人の弟妹を連れてウガンダに逃げてきた。「これから、どうやって生きていけばいいのかわからない」。女子生徒オレオ・ジョイスさん(16)も同月、両親ら家族11人を殺された。「紛争で私の人生がめちゃくちゃになっちゃった」

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウガンダに逃げてきている南スーダン難民約67万人のうち、約6割が18歳未満の子どもたちだ。孤児の数は把握していないが、約2万2千人が身を寄せているパギリニヤ難民居住区では「両親のいない子どもが数千人規模でいる」(UNHCR担当者)。

 武装集団に誘拐されて、強制労働をさせられていた孤児もおり、国際NGOスタッフは「子どもたちは精神的に深く傷ついており、深刻な状態。すぐにサポートが必要だが、数が多すぎてケアが行き届かない」と訴えている。(パギリニヤ=三浦英之)

嘘ではなく、妄想だ 

トランプは、嘘をついているのではない、妄想に取りつかれている、というワシントンポストの論考。こちら

妄想とは、訂正不能な判断の誤り。

アメリカ製品を買え、アメリカの労働者を雇えというスローガンは、1980年代のもの。現在は、米国は、ITと金融ビジネスで好景気なのだ。

以前、正当な選挙で選出された大統領なので、市民運動で彼を大統領の座から引きずり下ろすのはまずい、と書いたが、そうも言っていられないかもしれない。

このような人物が、世界を破滅させるに足る核爆弾の発射スイッチを持っていることは、きわめて危険なことだ。

南スーダン武器禁輸決議に実質反対した日本政府 

昨年11月に、国連は、南スーダンでジェノサイドが起きる可能性があることを警告した。さらに、12月には、このブログでも取り上げた通り、対南スーダン制裁決議案が安保理に提出された。南スーダンへの武器禁輸を含む内容だった。既報の通り、わが国政府は、この決議を棄権した。賛成国が少ないために、この制裁決議は否決された。棄権国は、ロシア・中国・マレーシア・アフリカ諸国それに日本である。

下記は、英国国連大使が、日本の南スーダン対応を批判しているという記事だ。

日本政府は、この決議により、南スーダン政府を「硬化」させ、「治安の悪化」を招く(それによって、自衛隊に危険が及ぶ)と考えての棄権らしい。政府軍が治安悪化の元凶だということか。さらに、南スーダンでジェノサイドが起きるほど危険な状況にあることがわが国に知れわたることを、日本政府が嫌ったという観測もある。

この棄権は、南スーダンに平和をもたらすという目的は無視し、自衛隊のPKO活動を維持完遂することだけを考えた判断だ。本末転倒である。政府は、自衛隊を海外に派遣して、武器使用を含めた活動を行わせることだけを考えている。安倍首相の言う積極的平和主義が、いかに欺瞞に満ちたものであるかを物語っている。

伊藤和子弁護士の、この論考が、この問題について詳しい。

以下、引用~~~

1月13日付産経ニュース 
英国連大使が日本の南スーダン対応批判 「考え改めるべき」

 英国のライクロフト国連大使は12日、米国が国連安全保障理事会に提出した対南スーダン制裁決議案が昨年12月に否決されたことを受け「棄権した8カ国は考えや計画を改めて、出直さなければならない。彼らは何を支持しているのか」と述べ、棄権した日本や中国、ロシア、マレーシアなど8カ国の対応を批判した。国連本部で記者団に語った。

 英米仏は南スーダン内戦が「ジェノサイド(民族大虐殺)」に発展することを懸念し武器禁輸を含む決議案の採択を目指しているが、現地の国連平和維持活動(PKO)に陸上自衛隊を派遣している日本は「逆効果」(別所浩郎国連大使)との立場で意見の隔たりは大きいままだ。

 ライクロフト氏は「決議案に棄権すれば、南スーダンをさらに不安定化させようとする人物の思うつぼになる。棄権した8カ国はそのことを考える必要がある」と語り、翻意を促した。(共同)

誰が何のために和解するのか? 

安倍首相の真珠湾での演説を書き起こされたもの、虚心坦懐に読んでみた。

和解とは、何か紛争、離反があることが前提である。

安倍首相は、何を和解しようと言いたかったのだろうか。

どうも真珠湾攻撃自体、それから始まる太平洋戦争が和解の対象らしいのだが、それらの事象の主体が不明だ。また、そうした歴史がなぜ生じたのかも明らかでない。彼は、第二次世界大戦はわが国が外国を侵略したものではない、という立場に立つ。それの帰結は、東京裁判、サンフランシスコ講和条約の否定だ。その立場は、米国の立場と鋭く対立する。内外の歴史学者・文化人が安倍首相に公開質問状を送り質したように、中国・東南アジアの国々との和解をしないのか。

さらに、現状で日米間に何らかの軋轢があって、それを和解するという意味があるのか。日米安保条約、日米地位協定という枠組みで、わが国は米国に隷属する関係にある。沖縄では人々が辺野古への基地移転を反対しているのに、それを強行しようとしている。新たにできる基地は、200年は持つだろうと言われている。国土の0.6%にすぎぬ沖縄の土地に、日本全国の米軍基地の7割を押し付けておいて、さらに基地を永続化しようとしている。そうした米国への隷属関係をそのままに、何の和解なのか。

こうしたあいまいな形で、誰が何のためにかを示さずに、ただ和解するというのは、誤魔化しではないか。美辞麗句が連なっているが、和解の主体、理由が不明で、その演説に接する者の感情にだけ訴えかけようとする内容であることが分かる。これは、post truthの政治家の常套的な演説手法だ。物事の本質は捨て置いて、ただ感情に訴える。それにまんまと乗せられる大衆がいる。

昨夕のテレビニュースをちらちらと見ていると、この真珠湾訪問、そしてこの演説の「意義」を持ち上げる報道一色だ。なぜこれほどまでに無意味な演説の問題を指摘するマスメディアがないのだろうか。

安倍首相がハワイに出発する直前、マスコミの記者たちと恒例の「忘年会」を開いたらしい。忘年会の費用は、国費で賄われている。




南スーダン武器禁輸制裁決議を棄権した日本政府 

ユーゴスラビアで紛争が起きた時に、クロアチアで国連の活動をしたことのある、Dick K4XUに話を聞いたことがある。国連のPKOは、現地の紛争が「完全に収まらない」ように立ち回る、というのだ。PKOの多くは、開発途上国から派遣されており、彼らにとってPKOの仕事は、「実入りの良い」仕事だからだ、というのだ。

国連安全保障理事会に提案された、南スーダン武器禁輸制裁決議案決議を、わが国は棄権した、という。南スーダン政府を「刺激して、PKO活動が続けられなくなる」と困るから、という理由らしい。仕事がなくなるから、という理由ではないが、これは自衛隊のPKO活動を続けることを、現地の平和活動よりも優先させる、醜いエゴイズムでしかない。南スーダンには、武器が大量に出回っており、それが治安の悪化の直接の原因になっている。それに対処しようという武器禁輸法案に、安倍政権は実質反対を表明した。安倍政権は、現地で「駆けつけ警護」等の安保法制に基づく武力行使を、現地自衛隊に実行させたくてたまらないのだ。これでは、南スーダンの人々も、派遣された自衛隊員もたまったものではない。

南スーダンでは、7月に政府軍兵士が、NGOを襲撃、殺人やレイプを大々的に行っている。政府軍が、そのように振る舞っている以上、政府軍とうまくやってゆこうというのが誤りだ。防衛省は、7月のその当時の記録を廃棄処分にしたらしい。政府は、南スーダンの現状を国民に知らしめず、また正確に認識しようとしない。政府は、自らの意図することだけを追い求めている。南スーダンで自衛隊にPKOを続けさせ、武器禁輸制裁に実質反対する政府は、旧ユーゴスラビアで、紛争を長引かせようと画策した開発途上国と同じきわめて利己的な行動を取っている。それは、南スーダンの人々と、自国民である我々を裏切る行為だ。

以下、24日付産経新聞から引用~~~

武器禁輸制裁決議案が否決、日本は棄権

23日、ニューヨークでの国連安全保障理事会で、対南スーダン制裁決議案に棄権を表明する別所浩郎国連大使(共同)

 国連安全保障理事会は23日、米国が提出した南スーダンへの武器禁輸を含む制裁決議案を採決し、米英仏スペインなど7カ国が賛成したものの、日本など8カ国が棄権し、否決された。安保理決議案の採択には9カ国以上の賛成が必要。棄権したのは他にロシア、中国、エジプトなど。米国は制裁決議案を支持するよう日本の説得を続けたが、陸上自衛隊を南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣する日本は地元政府と国連との対立が深まり、情勢が緊迫することを懸念し、棄権に回った。(ニューヨーク 上塚真由)

黙示録の実現 

この知性のかけらもない米国次期大統領は、黙示録の世界を現実にもたらすことになるのかもしれない。

道理をわきまえていないのはお前だろう、と面と向かって言いたくなる。

このような指導者が出てくる世界は、次の世代にとってどのようなものになることか。

以下、引用~~~

トランプ氏「核戦力大幅に強化」…ツイッターで

2016年12月23日 22時28分 読売新聞
 【ワシントン=黒見周平】ドナルド・トランプ次期米大統領は22日、ツイッターで「世界が核について道理をわきまえるまで米国は核戦力を大幅に強化、拡大しなければならない」と表明した。

 ロシアのプーチン大統領が同日、軍幹部との会合で核戦力を向上させる考えを示した後に投稿した。

 新政権は、安全保障政策で核の役割を低下させることをめざしたオバマ大統領の方針を見直し、ロシアや中国に対抗して核の抑止力を重視する可能性がある。

 トランプ氏は大統領選挙中から、必要な場合は核兵器の使用をためらわない考えを強調し、核軍縮や軍備削減に取り組むオバマ氏を批判していた。

南スーダンへの武器禁輸に反対している日本政府 

言語道断である。日本政府は、国連による南スーダンへの武器禁輸決議に「慎重姿勢」を取っている。

スーダン、南スーダンには320万丁の武器があり、その2/3は民間にあると言われている。武器の流通により、治安が悪化し、それによりより多くの武器が国内に流通するようになるという悪循環が形成されている。近隣諸国からの介入、特定集団への武力供与等が後を絶たないらしい。ウクライナ、ロシア、中国、イスラエルさらにはカナダまでも、スーダンへの武器輸出に関与している、と報じられている。こちら

日本政府は、武器禁輸は南スーダン政府を刺激すると言っているらしいが、理由になっていない。武器禁輸に賛成することで、派遣PKOがより大きな危険に晒されるのであれば、当初からPKOを派遣する状況ではなかったということではないか。武器輸出にわが国が関係しているのではないかとさえ疑うようなわが国政府の対応だ。

ようやく南スーダンへの武器禁輸が決議されようとしているのに、その足を引っ張る日本政府。南スーダンに平和をもたらそうとしているのではなかったのか。

12月20日付 産経新聞より引用~~~

【ニューヨーク=上塚真由】米国のパワー国連大使は19日、南スーダンへの武器禁輸を盛り込んだ国連安全保障理事会の制裁決議案に、日本が慎重姿勢を示していることについて、「非常に不自然な考え方だ。理解できない」と批判した。国連本部で記者団に語った。米国が、同盟国である日本の外交対応を公然と批判するのは異例。
 陸上自衛隊を南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣する日本は、武器禁輸に反発する地元政府を刺激し、情勢が緊迫することを懸念。陸上自衛隊のリスクが高まる恐れもあるとして、制裁発動に難色を示している。
 パワー氏は「武器禁輸は南スーダンの人々だけでなく、PKO部隊を守る手段になる」と述べ、「武器禁輸を支持しなければ、PKO部隊の安全を守れるという考えは非常に不自然だ」と不満を表明した。
 政府軍と反政府軍の対立が激化する南スーダン情勢について、国連はジェノサイド(集団虐殺)の危険性があると警告している。米国は武器禁輸を含む制裁決議案の早期採択を目指しており、慎重な立場を取る日本の説得を続けているとみられる。

~~~

追加

南スーダンにおける武器、少年兵の問題等が記されたブログ、こちら。これを読むと、日本政府の南スーダンへの武器禁輸反対が、いかに現実をみていないか、利己的な自分本位の判断かが分かる。

オスプレイ墜落事故 

名護市近傍の海岸に米軍のオスプレイが墜落した。オスプレイについては、昨年このブログでも取り上げた。こちら

米軍高官は、パイロットが付近の居住地域に落下しないように海岸まで機体を移動させた、被害が出なかったのだから、感謝されるべきだ、と述べた由。墜落の危険のある航空機を、居住地域近くで飛ばすこと自体が言語道断だ。感謝しろとは以ての外である。

上記引用ポストにも記した通り、米軍航空機は、わが国の航空法に従わなくて良いことになっている。どんな人口密集地域であっても、米軍航空機は低空飛行を行うことができる。普天間飛行場の周辺の人口密集地域を、米軍航空機は、自由に飛んでいる。一方、同基地近傍の米軍住宅の上空は決して飛ばない。これは、わが国の航空法に従わなくて良いためなのだ(ドイツ等米軍基地のある国では、米軍航空機といえども、自国の航空法に従うことになっている)。オスプレイは、日本全体を飛行している。オスプレイの事故は他人事ではない。沖縄の人々にとっては、死活問題なのだ。

10月に、沖縄で攻撃機AV8ハリアーが墜落した事故があった。事故原因が明らかになるまで、飛行訓練は差し止めと当初アナウンスされたが、2日後には飛行再開されている。オスプレイの今回の事故でも、米軍、政府両者が、事故原因が究明されるまで、オスプレイの飛行を控えるとアナウンスしているが、ほとぼりが冷めるのを待って、すぐに再開する積りなのだろう。

事故原因究明は、第三者によらなければ、公正さが担保されない。だが、米軍機の事故では、わが国の警察・当局は何も対処できない。日米地位協定により、米軍の「財産」にはわが国の警察・当局は捜索・差し押さえ等ができないとされているためだ。米軍が、オスプレイの事故の本当の原因を公表するとは考えられない。

上記の米軍高官の言葉から分かる通り、沖縄、そして日本全体が、まだ植民地なみの扱いを受けているのだ。自民党は、戦後CIAから資金を得ていた。また、わが国の官僚も、もとは米軍と、現在は米国官僚と、わが国官僚との協議組織、日米共同委員会で、米国の意向を伝えられ、それに諾々として従っている。日米共同委員会は、元山王ホテルにあり、同ホテルには、横田基地から通関せずに自由に、米国の高官が出入りしている・・・治外法権なのだ。要するに、わが国は米国に隷属した状態にある。

このオスプレイ墜落事故は、我々自身が考えるべき問題なのだ。