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山中伸弥教授が研究のために募金を募っている 

IPS細胞の研究で世界のトップを走り、ノーベル賞の候補にもなっている、京大教授山中伸弥氏が、研究のための資金(実際は、研究者の人件費らしい)を、ネット上で募っている。こちら


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でもねぇ・・・ノーベル賞級の研究者が、こうして募金を募らなきゃいけないなんて、日本という国の行く末が見えてくるような気がする。

殆ど社会に貢献することのない、日本医療機能評価機構という天下り団体には、毎年数十億円以上が溜り続けている。その金は、おそらく天下り官僚の給与や退職金に充てられるのだろう。官僚のためのリゾート施設に化けるのかもしれない・・・。

が、こうして実務で業績を上げ、社会に貢献している人のところに、国と行政は、金を出さないのだ。

国家として終わっている・・・。

個別医療 

気管支喘息の患者にとって、ステロイドの吸入薬が、この20年来の大きな福音だった。副作用が少なく、その一方、効果は優れている。しかし、ステロイドへの反応が良くない例が、少なからず存在する。その臨床的な知見の理由を、遺伝子レベルで明らかにした報告が、New Engl J Medの最新号に載った。それを踏まえて、個別医療の可能性を論じた総説がこちら

核酸の一つが異なる変異遺伝子の有無で、ステロイド吸入への治療効果が大きく左右されることに驚かされる。抗IL16単クローン抗体への効果にもpolymorphismがある、とのこと。leucotriene受容体拮抗薬の感受性にも遺伝的な多型性があったはず。こうした知見を個別に当てはめて、ベストなテーラーメイドの治療を進める、ということになってゆくのだろうか。

医療経済学の観点からすると、効果の期待できる治療の組み合わせを最初に確定するためのコストと、その後の経過で行う治療のコストとを考え併せて、この個別的な医療は、医療費の膨張を起こすことにはならないだろうか。最初の紹介した論文を生むきっかけになった、CAMPという、長期間気管支喘息の小児をフォローした研究では、ステロイド療法が、疫学的に見て、長期予後に影響を及ぼさないということも明らかにされていたと記憶する。それも考えると、個別医療は、個々の症例にとっては福音だろうが、医療全体としてみると大きな前進になると言えるのかどうか、複雑なところだ。

乳児期早期の鼻炎 

以下の論文抄録は、大規模な乳児期(ないし幼児期早期)のアレルギー性鼻炎についてのコーホート研究だ。

アレルギー性鼻炎アトピー体質を思わせる症状、検査所見、遺伝的負荷のある場合には、乳児期であってもアレルギー性鼻炎を疑うべきだという結論だ。

乳児期のアレルギー性鼻炎は、医療現場であまり問題にされないことが多い。だが、哺乳困難とか、睡眠障害という問題を引き起こすことが結構ある。場合によっては、結膜炎・中耳炎を合併する。

私が注目しているのは、新生児期・乳児期早期に起きる慢性の鼻炎だ。鼻がつまりフガフガする、ミルクが飲めないといった訴えで、来院する赤ちゃんが結構いる。その多くは、ウイルス感染によるものなのだが、中には症状が2,3週間以上続く場合もある。そうした児の鼻腔を診ると、粘膜が浮腫状に腫脹し、鼻閉を起こしている場合が多い。

この問題については、以前にも記したのだが、Nelsonのテキストレベル、さらにPubMedでの文献検索等でも、引っかからない。恐らく、self limitingなことが多い(ただ、一部は、典型的なアレルギー性鼻炎に移行するように思われる)のと、全身症状の悪化がないため、「風邪でしょう」ということで済まされている可能性が高い。小児科医が、鼻腔を診察しないことが多いことも問題が表に出てこない理由なのかもしれない。以前から繰り返している通り、口腔・咽頭を診るならば、同じように鼻腔も、小児科医は診察すべきだろう。

乳児期早期のこうした鼻炎の病態と、予後、治療方法について、臨床研究が進むことを期待したい。



Allergy. 2010 Aug 30. [Epub ahead of print]

Does allergic rhinitis exist in infancy? Findings from the PARIS birth cohort.
Herr M, Clarisse B, Nikasinovic L, Foucault C, Le Marec AM, Giordanella JP, Just J, Momas I.

Université Paris Descartes, EA 4064, Laboratoire Santé Publique et Environnement, Paris, France.

Abstract
To cite this article: Herr M, Clarisse B, Nikasinovic L, Foucault C, Le Marec A-M, Giordanella J-P, Just J, Momas I. Does allergic rhinitis exist in infancy? Findings from the PARIS birth cohort. Allergy 2010; DOI: 10.1111/j.1398-9995.2010.02467.x.

Abstract Background: Early onset of allergic rhinitis (AR) is poorly described, and rhinitis symptoms are often attributed to infections. This study analyses the relations between AR-like symptoms and atopy in infancy in the PARIS (Pollution and Asthma Risk: an Infant Study) birth cohort.

Methods: Data on AR-like symptoms (runny nose, blocked nose, sneezing apart from a cold) were collected using a standardized questionnaire administered during the health examination at age 18 months included in the follow-up of the PARIS birth cohort. Parental history of allergy and children's atopy blood markers (blood eosinophilia >/=470 eosinophils/mm(3), total immunoglobulin E >/=45 U/ml and presence of allergen-specific IgE) were assessed. Associations were studied using multivariate logistic regression models adjusted for potential confounders.

Results: Prevalence of AR-like symptoms in the past year was 9.1% of the 1850 toddlers of the study cohort. AR-like symptoms and dry cough apart from a cold were frequent comorbid conditions. Parental history of AR in both parents increased the risk of suffering from AR-like symptoms with an OR 2.09 (P = 0.036). Significant associations were found with the presence of concurrent biological markers of atopy, especially blood eosinophilia and sensitization to house dust mite (OR 1.54, P = 0.046 and OR 2.91, P = 0.042) whereas there was no relation with sensitization to food.

Conclusions: These results support the hypothesis that AR could begin as early as 18 months of life. Suspicion of AR should be reinforced in infants with parental history of AR or biological evidence of atopy, particularly blood eosinophilia and sensitization to inhalant allergens.