緩和ケア病床について 

がんは、老化現象と密接に関係する。したがって、高齢化が進むに従い、がんによる死亡は増え続ける。

がんによる死亡者数は、2014年の時点で368103名。がんも種別、悪性度、早期発見によって助かる可能性が高いが、これだけの患者が「がんの末期」を経て亡くなることも事実だ。

末期がんの時期に、数週間から数か月からにわたり、激しい痛みなどがんに固有の問題に患者は悩まされる。患者が、そうした悩み、苦しみに煩わされずに、人生の最後の時間を有意義に過ごせるようにすべきだ。それを可能にする施設が、緩和ケア病床だ。

ところが、緩和ケア病床の現状があまりに貧弱だ。2016年時点で累計施設数378、累計病床数7695に過ぎない。単純計算で、がんによる死亡者のうち緩和ケア病床を利用できるのは、約48名の内の1名だけに過ぎないことになる。

緩和ケア病床、施設数の推移が、こちらに掲載されている。この3、4年、新たに届けられた緩和ケア病床数、施設数が、横ばいか、微増に留まっている。緩和ケアは、人手がかかり、施設としても高度なものが要求される。医療スタッフへの負担も大きいと聞く。

経済的な面に着目すると、医療費削減政策を反映してか、長期間入院の患者に対する診療報酬は、むしろ下げられている。長期間入院の必要性のある場合もあるのだから、長期間入院で診療報酬を下げ続けるのは止めるべきだ。緩和ケア病床の回転率を高めようというのは、悪魔的な発想だ。また、以前にも指摘したことがあるが、施設要件として、地域のがん医療機関病院であるか、日本医療機能評価機構の評価を受けている、またはそれに準じていることが要求されている。日本医療機能評価機構は以前から記している通り、天下り組織であり、その機能評価は医療機関の正しい評価を下すものではなく、同機構が無視できぬ額の対価を医療機関に要求することが大きな問題だ。緩和ケア病床の診療報酬上の認可要件として、同機構の評価があるのは、緩和ケア医療機関への経済的な負担になっているはずだ。その意義も乏しく、即刻その認可要件を取りやめるべきだろう。

がんの緩和ケアは、医療費がかかる。だが、これだけのがんによる死亡があるのだから、緩和ケアの必要性は高い。上記の日本医療機能評価機構の評価等、医療機関にとって負担になることを減らして、緩和ケア病床を何としても増やす必要がある。在宅で緩和ケアを実施するということも聞くが、患者家族にとっては、負担が大きすぎるのではないだろうか。やはり専門の施設で緩和ケアを受けることの方が、患者にはメリットが大きいように思える。緩和ケアの充実は待ったなしだ。

がん末期の方の要望が公になることは少ない。これから老いを迎える我々自身が、がんにかかり根治が期待できない時に、どのような生活を期待するか、よく考えておくべきではないだろうか。四人に一人弱の方ががんで亡くなる時代なのだから。

疑似宗教集団のマフィア化 

共謀罪、加計学園疑惑について、現政権を支持する人々の意見を、SNSで読むことができる。前者は、TOC条約締結のために必要で、それがテロ対策となる、という論旨。後者は、安倍首相の指導力のもと、「岩盤規制を打破」したのだ、という意見が多い。両方とも、安倍政権の主張そのままである。もしかしたら、自民党が組織しているというネットサポーターの発言にたまたま巡り合っただけなのかもしれないが、現在でも、こうした安倍政権の主張を何も疑わずに自分の意見としてネットで振りまいている人物が結構いる。

TOC条約は1990年代マフィア対策として締結されたものであり、9・11や、ネットの興隆の時代の前の条約である。その経緯から同条約はテロ対策を主眼としたものではないことが明白で、事実国連の同条約関係者もそのように述べている。加計学園疑惑については、萩生田官房副長官等が関与したことが明らかになった。安倍首相、萩生田氏は、全否定しているが、国家戦略特区で獣医学部新設が取り上げられる以前から、加計ありきで動いている証拠が次々に上がっている。獣医師数維持が岩盤規制であるという主張は、根拠が乏しいことは昨日のポストにも記した。最初に挙げた、共謀罪・加計学園疑惑に関して現政権を支持する意見は、明らかに間違っている。

こうして「現実」を見ないで、政権が主張していることをそのまま受け入れるのは何故なのだろうか。一つには、下記の対談でも述べられているように、自分で調べ、考えることを放棄しているためなのだろう。自分で考えることをしようとしない。安倍首相一派の言うこと成すことをいわば信仰するように無批判に受け入れているのだろうか。また、ネットで流れるニュース、言論には、事実とは異なることも多い。他のメディアから情報を得ないことも関係しているのだろう。若い人々に安倍政権支持者が多いのは、このためではないかと言われている。

もう一つ、政治はある種の宗教性と親和性が高い、というか論理を超えたカリスマ的存在を人々はリーダーとして要求する。そのリーダーと目される人物が、人格・識見の上でリーダーにふさわしくない場合もありうる。加計学園の理事長加計孝太郎氏は、「教科書改善の会」という組織の会員であり、加計学園では、同会の支援する育鵬社の教科書を採用している。フジサンケイグループ傘下の育鵬社は、歴史修正主義、極右思想を教育に取り入れることを目指した出版社だ。その公民の教科書には、安倍首相の画像が12か所出てくる。安倍政権の政治の礼賛である。極右思想は、背景に国家神道があるが、一方で安倍首相を卓越したリーダーとして持ち上げる、いわば疑似宗教の信仰の対象としているように思える。森友学園疑惑、加計学園疑惑双方ともに、そうした疑似宗教性集団による政治の私物化が露見したということなのではないか。疑似宗教集団は、論理を超えたところでつながる。その疑似宗教性が、ネットのモノトーンな言論を通して若い人々に伝搬しているとしたら、問題は深刻だ。

以下、引用~~~

身内かばい合い・外には恫喝的…安倍政権「マフィア化」
構成・高橋純子2017年6月19日08時01分

■対談 長谷部恭男・早稲田大教授×杉田敦・法政大教授

 数の力にまかせた奇手に個人攻撃。認めず調べず謝らず――。「1強」に余裕がなくなり、過剰なまでの強硬姿勢を見せる安倍政権。森友学園と加計学園の問題では、数々の疑惑にフタをするばかり。かつてないほどすさんだ政治の現状を、長谷部恭男・早稲田大教授(憲法)と杉田敦・法政大教授(政治理論)に語り合ってもらった。浮かび上がったキーワードは「マフィア化する政治」だ。

 杉田敦・法政大教授 「共謀罪」法が、委員会採決を省くという奇手を使って成立しました。対決法案については与党の一存で委員会採決をバイパスできるという前例をつくってしまった。議会の慣例は、将来にわたって議会政治を維持し、円滑に運用するために、立場を超えてつくられたものです。それを数の力で破壊することは許されないし、非常に危険です。

 長谷部恭男・早稲田大教授 自分たちがずっと与党でいる前提に立たなければ到底できない、リスキーなことを安倍自民党は平気でやる。例えばこの先、自民党が下野して、衆参両院で共謀罪法に反対している政党が多数をとり、共謀罪は廃止します、我々も自民党をお手本に議論なしで採決強行しますと言われても、抵抗しようがありません。

 杉田 最近はメディアでも、最後は与党案が通るんだから長々議論しても無駄だ、さっさと採決しろ、決めることが大事だという議論が多い。しかし国会における決定には当然、修正や廃案、継続審議も含まれます。決めることが大事だということと、与党案にさっさと賛成しろということは論理的には別では。

 長谷部 この間の共謀罪の審議は確かにほとんど無駄でした。大臣が意味不明な答弁をし、多々ある問題点を詰められなかったからです。法律は単体では動きません。施行規則や政令も作らなくてはいけない。そうした下位の法令として何が必要か、そして裁判所がどう解釈適用すべきかについても、審議の中で明らかになってくることがある。議会でまじめな審議をすることには意味があります。

 杉田 「1強」なのに余裕がない。これが現政権の特徴です。軽々に強硬手段に訴える。圧倒的な議席数を有しているのだから、国会会期を延長して、見かけだけでも整えればいいし、都合の悪い文書が出てきても「怪文書」などとせず、調査中と言えばいいのに、恫喝(どうかつ)的な態度をとる。森友学園や加計学園をめぐる疑惑と重ね合わせて考えると、政治のあり方が、一種マフィア的になっているのでは。身内や仲間内でかばい合い、外部には恫喝的に対応する。米国やロシアの政治も同様です。

 長谷部 公が私によって占拠されている。濃密な人間関係で強く結ばれた集団が、官僚機構や一部マスコミも縄張りにおさめ、社会一般に対して説明責任を果たそうともしないで権力を行使するとき、公権力は私物化され、個人間の私的な絆をテコに政治が行われる。社会全体にとって何が利益かを丁寧に説明し、納得を得ることで権力は民主的な正当性を獲得しますが、現政権はそんなものは必要ない、反対するやつは切り捨てればいいと。まさにむき出しのマフィア政治です。

 杉田 首相は、憲法改正について読売新聞のインタビューで2020年の新憲法施行を目指すと表明し、改憲推進団体にビデオメッセージを送りました。しかし、いざ国会で説明を求められても答えず、読売新聞を熟読せよと。身内意識を隠そうともしない。公権力の担い手としての説明責任を放棄しています。

■「規制、不要なら全て撤廃を」杉田

 長谷部 マフィア政治を可能にした要因のひとつは、1990年代の政治改革で、首相官邸に権力を一元化したことですね。

 杉田 そうです。理論通りの結果で意外性はありません。政治学者の多くは当時、官僚主導よりは選挙で落とせる政治主導がいいと主張していた。官僚主導には確かに、既得権を過度に保護するなどの弊害がありますが、専門性にもとづく一定の合理性もあった。政権交代がひんぱんに起こる政治になるなら話は別ですが、現状では、政治主導とは、各省庁の意見も社会のさまざまな意見も無視して、政権が何でもできるということになっています。

 長谷部 特区という制度自体が恣意(しい)的な行政につながりやすい。一般的な規制を特別に免除するのだから、放っておけば仲間のために使われます、それは。

 杉田 首相は16日の参院予算委の集中審議で「岩盤のような堅い規制に挑戦すればするほど、既得権益を握る勢力の激しい抵抗は避けられない」と述べ、岩盤規制に政治主導のドリルで穴をあけたという論理で、加計学園に特別な便宜を図ったという疑惑に対抗しようとしています。過去には「岩盤規制といえども、私の『ドリル』から無傷ではいられません」とも発言していますが、そんなに不必要な規制なら、ドリルでなくブルドーザーで全部取り払うべきです。ドリルで局所的に穴をあけるから、えこひいきの疑いが出てくる。

 長谷部 地方に大学をつくっても、地方の獣医師不足は解決しない。獣医師定員や待遇のあり方など、特区ではなく一般的な政策問題にすべきです。そうしないから、「総理の意向」で恣意的な運用が行われたと疑われる。政治家や公務員には、一般の人々とは違う倫理や潔癖さが求められます。社会一般の利益でなく、仲間内のために動いているのではと常に疑いの目を向けられるのは当然です。だから政治家や公務員は「李下(りか)に冠を正さず」。ところが安倍政権や自民党は、冠を正して何が悪い、疑うのは、げすの勘ぐりだと。全く逆転しています。

 杉田 今回、前川喜平・前文部科学事務次官の告発については称賛の声があがる一方、先ほどの政治主導の観点から、官僚は政治家の決定に従うべきだとの意見もあります。

 長谷部 政党政治から独立していることが官僚制の存在意義です。米国でも政治任用は必ずしも党派的に行われるわけではない。「たたき上げ」は政権にNOと言っています。今回露呈したのは、政権に反論できる回路が日本にはなく、忖度(そんたく)がはびこるという構造的な問題です。

 杉田 内閣人事局をつくって高級官僚の人事を政治任用にしたのも、政権交代が一定程度起きることを前提に制度設計されていました。政権交代がありそうなら、官僚も現政権に対してある程度距離を置けますが、それがなければ無理です。政治改革推進論者は、制度を変えて日本の有権者を教育すると言っていた。日本人は二者択一的にものを考えないから政権交代が起きない、ならば小選挙区にして無理やり考えてもらうと。しかし、制度改革には限界があります。

■「改憲の道具として自衛隊利用」長谷部

 長谷部 自分の頭でものを考えるか、為政者の言う通りにしておけば間違いないと考えるか。そのせめぎ合いがいま起きているのではないか。右か左かではない。自分で考えて自分で判断をする人は、右であれ左であれ、共謀罪は危ないと思うでしょうし、マフィア政治は良くないと考えるでしょう。日本国憲法の理念は「どう生きるかは自分で判断する」。安倍政権はその理念を壊したいと思っている。自分でものを考える人間は、マフィアにとっては面倒なだけですから。

 杉田 現憲法の「個人」を「人」に変えた自民党憲法改正草案はその意図を如実に示しています。ただ安倍首相は草案を勝手に棚上げし、9条に自衛隊の存在を明記する加憲を主張し始めた。自衛隊を憲法に明確に位置づけるだけで、現状は何も変えないと。

 長谷部 首相はそう言い張っていますが、自衛隊の現状をそのまま条文の形に表すのは至難の業というか、ほぼ無理です。そもそも憲法改正は現状を変えるためにやるものでしょう。現状維持ならどう憲法に書こうがただの無駄です。日本の安全保障が高まることは1ミリもない。自衛官の自信と誇りのためというセンチメンタルな情緒論しかよりどころはありません。そう言うといかにも自衛官を尊重しているように聞こえますが、実際には、憲法改正という首相の個人的な野望を実現するためのただの道具として自衛官の尊厳を使っている。自衛官の尊厳がコケにされていると思います。

 杉田 憲法に明記されることで、自衛隊はこれまでのような警察的なものではなく、外国の軍隊と同じようなものと見なされ、性格が大きく変わるでしょう。首相が最近よく使う「印象操作」という言葉は、この加憲論にこそふさわしい。だまされないよう、自分の頭で考え続けて行かなければなりません。=敬称略(構成・高橋純子)

軍拡に伴い、社会が内部崩壊する危機 

我が国の防衛費は、1960年代以降GDPの1%以下に抑えられてきた。これは、専守防衛を国是としてきたから可能だった。戦争の惨禍を繰り返すまいという意図の表現でもあった。1990年代以降、GDP1%以下は5兆円以下とほぼ同義だった。だが、第二次安倍政権となってから、防衛予算は年々増加、5兆円の壁をいとも容易に突破した。

そこにきて、自民党安保調査会が、防衛費をGDP2%まで増額することを提言する。実に、さらなる5兆円の増加である。NATOを参考にするとしているが、GDPの額に大きな差があるので、%での比較は不適当だろう。2016年の軍事費国際比較では、我が国は8位だが、GDP2%を実現すると、ロシアを抜いて世界3位になる。本当に専守防衛に徹するのを続けるのであれば、これほどの軍拡は必要ない。米国の意向を受け、自国の軍事産業の活性化、さらに米軍の世界戦略の肩代わりを目指しての軍事費増額なのではないだろうか。我が国は、米国から言い値で高額の軍備を購入し続けている。

これほど安易に軍事費の増額を提言する自民党だが、その一方で政府は社会保障費の抑制を推し進めている。政府、厚労省の医療の基本方針は、病床を減らし、高齢者の終末期医療は、在宅で行う、それも、地方自治体に丸投げする、というものだ。介護保険の自己負担もさらに上げられ、医療は実質混合診療が進み、国民は民間の医療保険に入る必要が出てくる。過去五年間で社会保障費は、実に3兆4500億円も削られた。社会保障の自然増分のうち毎年1500億円程度削減し続けられている。国民は、さらに高額になる医療介護を受けざるを得ず、さらに入院治療は困難となり、在宅療養を余儀なくされる。

年金も、徐々に減額されて行く。日銀と、年金資金が、株式を買い支えている。株式のバブルが破裂すると、金融システムに大きな障害が生じ、年金資金が毀損することは確定的な見通しだ。年金はさらに減らされることだろう。

こうした状況で、毎年5兆円の軍備増強を行うという自民党の提言だ。社会保障はさらに削られる。軍拡は出来たが、日本の社会保障が機能しなくなり、社会内部から崩壊する、ということになるのではないだろうか。

以下、NHKニュースより引用~~~

自民 安保調査会 防衛費はGDP2%程度に NATOを参考

6月17日 7時35分

自民党の安全保障調査会は日本の防衛費について、NATO=北大西洋条約機構がGDP=国内総生産の2%を目標としていることも参考に、厳しい安全保障環境を踏まえ、十分な規模を確保すべきだなどとする提言の案をまとめました。

提言の案は、次の中期防=中期防衛力整備計画の策定に向けた政府への提言の中間整理としてまとめられたもので、この中では、北朝鮮の核、ミサイル開発について、「新たな段階の脅威となっている」としたほか、中国の海洋進出への懸念なども指摘しています。

そのうえで、GDP=国内総生産の1%を超えない程度で推移している日本の防衛費について、「NATO=北大西洋条約機構がGDPの2%を目標としていることも参考にしつつも、あくまでも必要不可欠な装備の積み上げの結果に基づいて判断するものとし、厳しい安全保障環境を踏まえて十分な規模を確保する」としています。

そして、防衛力の強化に向けて、独自の早期警戒衛星の保有を検討することや、自衛隊がサイバー攻撃の能力を備えることなどが必要だとしています。

安全保障調査会は近く、この案を党の国防関係の会合で示したうえで、提言の取りまとめに向けて、さらに検討を進めることにしています。

獣医医療に岩盤規制はあるのか? 

安倍首相の親しい友人である加計孝太郎氏の経営する加計学園に対して、獣医学部新設のために、安倍首相が便宜を取り計らったかどうかが、加計学園疑惑の最大のポイントだ。

その点に関して、安倍首相は、『国家戦略特区によって「岩盤規制にドリルで穴を開けた」のだ、個人的便宜を取り計らったことはない』という主張を繰り返している。

これは、あきらかに問題のすり替えである。

だが、本当に国民の利益に反する「岩盤規制」があったのかどうかについて検討することも意味のあることだろう。

獣医師が足りない、特に産業動物獣医師が足りない、それなのに獣医師を増やす政策に、獣医師会と農林省・文科省が反対しているというのが、安倍首相の言う「岩盤規制」なのだろう。

農林省が、10年前にまとめた獣医師の需給予測に関する報告書がある。多少古いが、獣医師数の需要は、当時から同じ水準か、または小動物の減少等により、減っている可能性が高く、需給予測として現在も意味のあるデータだろう。こちら。


これによれば、
〇獣医師数は漸増している
〇小動物を扱う獣医師数は増加しているが、産業用動物獣医師が減少している
ことが分かり、この傾向が続くことが予測される、ということだ。

産業用動物を扱う獣医師が減少しているのは、獣医師の世界での専門性の偏在の問題なのだ。これは産業用動物獣医師の待遇を改善する、現在増えているという女性獣医師が就業できるような労働条件にするということで対応すべきなのである。獣医師数を増やすことで改善できない。毎年1000名弱の新たな獣医師が生まれている獣医師の世界に、加計学園獣医学部新設により、新たに160名(他の獣医学部の定員の約3倍!!)獣医師を一挙に増やすことは、獣医師の需給関係を乱し、獣医師の労働条件、獣医医療の質の劣化を招く可能性が高い。

また、四国に獣医学部を新設すれば、そこに獣医師が定着するという保証は何もない。これも当然のことだ。

以上から、獣医師数を一定に保つことは、獣医師の労働環境を良い状態に保ち、獣医医療の質を保つために必要なことであり、岩盤規制でも何でもない、ということになる。

政治家が、岩盤規制という名詞を連呼すれば、新たな利権を得られるということはない。国家戦略特区という制度が、特定の組織・人物に利権をもたらす疑惑がある。

安倍首相は、彼が「岩盤規制」に穴を開けた先に、40年来の親しい友人がいたという理由を明らかにすべきなのだ。

出来レースの記者会見で逃げ切るわけには行かない 

今夕6時から安倍首相の記者会見がある。

彼の記者会見は、質問者が事前に決まっており、事前に寄せられた質問に安倍首相があたかも即興で答えているかのように見せる、出来レースなのだ。それでは、徹底した真相解明はできない。

安倍首相は、かようなマスメディア対策を行っている。その対策に乗っているマスメディアの記者たちも情けない。

安倍首相を侮辱したとして籠池氏を証人喚問したのだから、前川氏が存在を証言した文書を怪文書と誹謗し、また前川氏の根拠のない個人攻撃を行った菅官房長官、その部下の副官房長官(特に萩生田光一)、現在の警察庁刑事部長を、政府は証人喚問すべきだろう。安倍首相自身も証人喚問を受けるべきだ。前川氏は、証人喚問されれば受けると言っている。前川氏は、人生を賭けて、加計学園疑惑の真相解明に寄与しようとしている。証人喚問で偽証すると、罪に問われるのだ。

彼らを証人喚問しないでおいて、出来レースの記者会見だけでことを収めることは無理というものだ。

以下、岩上安身氏のtweetを引用~~~

「行きますよ。いくら手をあげても当たらないけど。民主党政権時代、鳩山、菅、野田と総理が変わっても当たり続けたけど、安倍内閣になってからぱったり。今はもう、記者を指す順番も事前に決まっていて、あらかじめ質問取りした回答を書いたプロンプターを、安倍総理はさもアドリブかのように読むだけ。

引用終わり

岩上氏は、ネットジャーナリズムサイト、IWJを主宰している独立ジャーナリスト。

警察国家への道 

官邸の意向を受けて警察刑事部長がレイプ疑惑をもみ消した疑惑は、一頃マスメディアも盛んに取り上げたが、その後追及がとんと聞かれなくなってしまった。こちらのポストで扱った事件。

かって菅官房長官の秘書官だった、その刑事部長は、秘書官在職当時、安倍首相に批判的な古賀茂明氏のテレビ朝日報道番組からの降板に関わった。降板をテレビ朝日に働きかけたことは事実だ。

政治権力と、警察がつながり、政治権力に不都合な事件・人物をもみ消したのが本当だとすると、警察の存在意義自体に疑念が生じかねない。文字通りの「警察国家」である。こうした疑惑は、共謀罪法が国民一般を監視し強権的に取り締まるものであることを予表する。

山口某の準強姦容疑疑惑問題について、元検察官の若狭勝衆議院議員が、警察刑事部長の関与を批判している。こちら。

レイプという女性に対する精神的殺人に等しい事件に、現政権に近い人物が関与したことを警察権力を用いて握りつぶした、現政権の深刻な疑惑。同じ警察官僚による、政権に批判的な人物のマスメディアからの引きずり下し。これらが本当だとすると、我が国は、法治国家であることを止め、人治による警察国家になり下がったことを意味する。これほど深刻な事件を追及しない政治、そしてマスメディアは、責任を放棄している。この安倍政権を支持している方々も、警察国家による人権蹂躙の被害者にご自身、家族が何時なるかもしれないと考えておくべきだろう。自分は大丈夫だと思い込んでいると、「マルチンニーメラー牧師の悔い」を痛切な形で追体験することになる。

被害者として名乗りを上げた女性は、山口某の不起訴を不服として検察審査会に申し立てをしている。その結果を注目して行きたい。

以下、引用~~~

安倍政権と警察の闇--元TBS政治部記者のレイプ疑惑をもみ消した?「中村格刑事部長」とは何者なのか

2017年06月17日 06時00分 週プレNEWS

「新聞やテレビに、この疑惑を本気で追及しようとする姿勢が見られないことが何より問題」と訴える古賀茂明氏
被害女性が会見を開いて話題となった、元TBS政治部記者、山口敬之(のりゆき)氏のレイプ疑惑。

『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏が、山口氏の逮捕をもみ消したとされる人物の闇に迫る!

* * *

このほど上梓(じょうし) した『日本中枢の狂謀』(講談社)の刊行に際し、6月5日、日本外国特派員協会で記者会見を行なった。

武器輸出三原則の撤廃、安保法制や秘密保護法のゴリ押し、メディアコントロール―ここ数年の安倍「一強」政治を見るにつけ、日本は後戻りできない危機的状況に陥っているのではないかと危惧してきた。本書ではその権力中枢による“狂ったはかりごと”と、危機からの脱出の方法を書いたつもりだ。

この会見では、やはり加計(かけ)学園に関する質問が多かったが、私が驚いたのは、会見後も多くの記者から取材の電話がかかってきたことだ。その内容は、「中村格(いたる)とは何者なのか?」。そして、「中村格氏の圧力メールはどんな内容か」というものだ。

2015年3月いっぱいで、私はテレビ朝日の『報道ステーション』のコメンテーターを降板した。その2ヵ月前の1月23日のオンエアで、安倍首相が外遊中、「イスラム国と戦う周辺国に2億ドルを出す」と表明したことを批判し、「I am not ABE」と発言したのが原因だった。

このとき、私の発言に激怒した官邸からテレビ朝日の幹部に直接、抗議のメールをしてきたのが当時、菅義偉(よしひで)官房長官の秘書官だった中村格氏だった。後にテレビ朝日関係者からそのメール内容を知らされたが、相当に激烈な言葉で私への非難がつづられていたという。

この抗議がテレビ朝日を萎縮させた。オンエア直後、報道局長や政治部長など、局幹部が集まり対応策を協議。その後、私の降板が決まった。

外国人記者らは、この中村格という名前に強く反応した。

つい最近、「安倍首相と昵懇(じっこん)」とされる元TBS政治部記者、山口敬之(のりゆき)氏のレイプ疑惑が話題となった。被害に遭った女性が「逮捕状が出ながら、警視庁刑事部長の指示で、山口氏の逮捕がもみ消された」と告発したのだ。

この刑事部長こそ、中村格秘書官その人だった。警察庁から出向していた中村秘書官は、私が『報道ステーション』を降板する4日前の15年3月23日付で、警視庁刑事部長へと異動になっていたのだ。

15年6月、山口氏の逮捕状を請求したのは警視庁高輪(たかなわ)署だった。逮捕状は犯罪の証拠などを検察がチェックし、了解をした後、所轄からの請求を受け、裁判所が交付する。それを執行直前に所轄の“雲の上”の存在である警視庁本部の刑事部長が止めたのだ。警察幹部OBに聞いてもよっぽどの事情がなければありえないという回答が返ってきた。

私の『報道ステーション』からの降板と、この事件はつながっている―つまり政権の意を受けた中村氏が、メディアへの圧力や逮捕状の取り消しに暗躍しているのではないか、という疑惑である。

真相はまだわからない。ただ、私が何よりも問題だと思うのは、新聞やテレビに、この疑惑を本気で追及しようとする姿勢が見られないことだ。事実を証明するのが難しいからか、あるいは官邸の意向を忖度(そんたく)したのか、手を引いてしまっている。

言うまでもなく、メディアの役目は権力の監視である。安倍官邸の強権を背景にした警察の腐敗疑惑から目を背けるようなことがあってはならない。徹底した調査報道を望む。

●古賀茂明(こが・しげあき)

1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。新著は『日本中枢の狂謀』(講談社)。ウェブサイト『Synapse』にて動画「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中

『アベノミクス』の評価 

アベノミクスは、結局、過去に自民党政権が続けてきた財政出動と金融緩和を、規模を天文学的に大きくして行っているだけだ。その結果は、ほぼ定まったと言ってよい。骨太の方針2017に記された、アベノミクスのもたらした経済の好循環は本当にあるのだろうか。

アベノミクスは、我が国の超富裕層と輸出大企業にだけに恩恵をもたらし、一般国民の困窮化を進めた。自分たちへの企業献金を増やすことも忘れていない。こちら。

アベノミクスに対する批判的記事が、わが国のマスメディアにもようやく目立つようになってきた。先日、日経新聞にそうした記事が出たことを記した。

海外でも、アベノミクスは失敗に終わったという論調の記事が以前から多数ある。米国のシンクタンクCFR、これはどうも新自由主義路線のシンクタンクのようだが、も、アベノミクスを批判的に論評している。もっとも、このシンクタンクの結論も、もっと規制緩和を進めて、経済成長をすべし、といういささか色あせたものに過ぎないのだが。こちら。

安倍首相が、アベノミクス、アベノミクスと呪文のように唱えることがあまり見られなくなってきたのもよく理解できる。

4年前、安倍、萩生田、加計の三氏はBBQを一緒に楽しんでいた 

萩生田光一官房副長官のブログに、彼が安倍首相、それに加計孝太郎加計学園理事長とビール片手に懇談している画像が載っている。2013年の記事。こちら。

萩生田氏は、安倍首相と加計理事長との関係は、最近報道で知ったと述べていたのである。彼は、国会で加計氏との関係を尋ねられて、それまでは、「(加計学園の大学の)客員教授就任前に加計氏とは付き合いが無かったとした上で、就任後も大学の全体行事の前に控室で会う程度の事しかなかった」と返答している。そのような見え透いた嘘はつかずに、「加計さんのこと、彼と安倍首相の親しい関係は、以前からよく知っていた。安倍首相が望んだから、加計学園が獣医学部を新設できるように、文科省に圧力をかけただけだ。数の力で、安倍首相の思う通りに「決める政治」を推し進める。それのどこが悪い?!」と彼は開き直るべきなのだ。国家戦略特区は、安倍首相の思いを実現し、安倍首相の取り巻きの事業を推し進めるための仕組みなのであって、地域経済の底上げ等どうでもよいのだ、と本音を語るべきなのだ。彼がブログに記した「決める政治」は良いだろう、しかし、何をどのように決めるのかが問われる。

萩生田官房副長官は、加計学園への便宜供与に関して、国会で証人喚問を率先して受けるべきだ。

安倍首相は行政を、国の形を歪めた 

今年1月、文科省の天下りが報じられたとき、あぁ、やはりやっているなと思った一方、なんで文科省だけなのかとチラッと考えたことを覚えている。だが、それ以上の情報はなく、追及しようがなかったし、この問題は、記憶から薄れて行ってしまった。

あの天下り報道で、文科省は叩かれ、当時の前川事務次官は辞めることになった。二日前、15日になってようやく、政府は国家公務員法に違反する他の省庁の天下りを、ひっそりと公表した。2008年以降、「少なくとも」12省庁で27件に上ったということだ。

ただ、この数はかなり少なめの評価だ。許認可、財務関係を握る省庁では、もっと多いはず。ちなみに、wikiの記述では、国家公務員法改正前の状況として、下記のように記されている。

引用~~~

2004年8月31日の閣議決定によれば、中央省庁の斡旋や仲介で民間企業に再就職した国家公務員は2003年までの5年間で3,027人にのぼっている。省庁別では、国土交通省の911人をトップに法務省629人、総務省313人、文部科学省261人、財務省251人、農林水産省245人、警察庁127人、防衛庁85人、会計検査院64人、経済産業省46人、人事院29人、公正取引委員会23人、厚生労働省19人、宮内庁17人、内閣府3人、外務省2人、内閣官房・金融庁0人であった。

引用終わり

昨年から政府が行ってきた、文科省の天下り問題調査は、文科省だけを狙い撃ちするものであったことを前川氏が証言した。他の省庁の天下りは、何も手を付けない、という明らかな意思表示をし、それが実行されている。筋を通して加計学園獣医学部新設に批判的だった吉田高等教育局長が辞めさせられ、さらに前川氏も事務次官を辞任せざるをえなくなった。政権が官僚の人事権によって、自らに都合の良いように行政を歪めたのだ。

身近な人物が推進していた「明治日本の産業革命遺産」指定についても、安倍首相が、批判的な審議委員を文科省審議会から外させて、実現させたことを、前川氏は証言している。

『一見正当な手続きを踏んだかたちをとって、実態としては特定の件を特別扱いすることを正当化する』という前川氏の批判に、安倍首相はどう応えるのだろうか。

以下、引用~~~

前川前次官が「官邸から内閣府の天下り隠蔽を指示された」と証言! 文科省だけ天下り摘発は加計問題抵抗官僚への報復

2017年06月16日 08時00分 リテラ

「週刊朝日」(朝日新聞出版社)6月23日号より

「総理のご意向」文書を"本物"と証言して以降も、さまざまなメディアで数多くの証言を続ける前川喜平・前文科事務次官だが、さらなる衝撃的証言が飛び出した。それは、前川氏が事務次官を辞任するきっかけとなった「文科省天下り」に関する"官邸の隠蔽工作"だ。

 文科省の天下り、再就職あっせんは、今年1月にNHKの報道で明らかになったのだが、じつは前年から、内閣府の再就職等監視委員会が調査しており、この調査によって事務次官だった前川氏が引責辞任しただけでなく、歴代の事務次官8人を含む43人が処分された。つまり、政権が率先して不正を明らかにした非常に珍しいケースだった。

 だがこの天下り問題について、前川氏は今週発売の「週刊朝日」(朝日新聞出版)6月23日号で、驚くべき証言を行っているのだ。それは昨年12月当時、文科省がまさにその内閣府再就職等監視委員会による厳しい調査を受けていたときのことだったという。

〈監視委は文科省職員のメールを片っ端から提出させていたが、その中に外務省と内閣府OBが問題に関わっていたことを示すメールがあった

 文科省の天下り問題に外務省、そして監視するはずの内閣府関係者が関与していたというのだ。しかし問題はそこからだ。他省庁OBに関するメールも含め、すべてを監視委に提出せざるを得ないと、その意向を関係省庁に伝えていたが、昨年12月28日夜、官邸の杉田和博官房副長官から急な呼び出しを受けたという。その要件は驚くべきものだった。

〈杉田氏は、私が監視委に出す前にこのメールの存在について杉田氏への報告がなかったことに怒っており、その場で「とにかく外務省と内閣府に関わるメールは出すな」と言われました。つまり、再就職等規制違反問題は文科省内だけに限定して、他省庁に及ぶ証拠は出すなということです。そこからズルズルと他の役所にも被害が及んだら困る、というわけです〉

 杉田官房副長官といえば、前川氏が在任中の昨年秋の時点で"出会い系バー通い"を厳重注意した人物であり、警察庁警備局長を務め"公安のドン"とも称される元エリート公安警察官僚だ。さらに現在は官邸の危機管理担当を担い、出身母体の公安警察の秘密部隊を動かし、政敵や官邸に従わない官僚を徹底調査しているといわれる。そんな"官邸のゲシュタポ"に、前川氏は他省庁の天下りの証拠隠蔽を命じられていたのだ。

 文科省天下りが発覚した当時、"再就職あっせんはどの省庁もやっており、この程度で規制委が調査に入るなら霞ヶ関全体にまで波及するのではないか"と指摘されていたが、結局、文科省以外の天下り問題は一切表に出てこなかった。

 表に出てこないのは当然で、文科省追及の裏で、官邸は他省庁の天下りを握り潰していたというわけだ。

 この事実は、たんに官邸が不正を隠していたというだけではない。加計問題が勃発して以降、ずっとささやかれてきた噂を裏付けるものだ。それは、文科省の天下りあっせん調査が、加計学園認可に反対していた文科省幹部への報復、狙い撃ちだったという噂だ。

 前川氏は天下り処分と加計問題との関わりについては一切コメントせず、ひたすら自らの責任を認める発言を繰り返しているが、たしかにこの天下りは発覚の経緯自体が非常に不透明だった。

 前述したように、文科省の天下り問題は17年1月18日、NHKがこの事実をスクープし、世間に発覚したことになっている。表向きは、NHK報道の直後、菅偉義官房長官がいち早くその事実を認め「遺憾」の意を表明。さらに翌日には、官邸周辺から、当時事務次官だった前川氏の責任論が浮上し、20日には前川氏が辞任に至ったという流れになっている。

 しかし、実際はその前年から官邸主導のもと、内閣府の再就職等監視委員会が率先して文科省の天下り調査を実施し、前年末には調査内容を確定させていた。政権が文科省の天下りを徹底調査し、これを受けて、前川氏も1月5日に事務次官辞任の意向を杉田副長官に伝えていた。

 ところが、官邸はこの事実を一切公表せず、NHKに情報をリーク。世間の批判を煽って、前川氏を辞任させたとかたちにしてしまったのだ

 これは、おそらく、この調査の本当の意図を隠すためだろう。官邸が文科省の天下り問題調査でターゲットにしたのは、15年8月に退職した吉田大輔高等教育局長が、2カ月後に早稲田大学に再就職したことだった。しかし、吉田局長が教育局長の椅子を追われたのはそもそも、加計学園の獣医学部新設に強硬に反対していたからだという。

〈高等教育局が大学などを所轄するわけですが、早稲田大学の教授になった局長は、加計学園の獣医学部新設には強硬に異を唱えていました。そのため、安倍官邸が、その首を挿げ替えたとも言われているのです〉(「週刊新潮」6月1日号/新潮社)

 つまり、文科省は吉田局長が官邸に首を切られたため、早大に再就職あっせんしたわけだが、官邸は逆にこの事実をつかんで、抵抗派一掃に利用しようと目論んだ。前川氏をはじめ、加計学園の獣医学部新設に抵抗していた幹部たちに天下りの責任を追及し、粛清に動いたのである。

 ところが、その過程で、当の内閣府や外務省がこの天下りあっせんにかかわっていることが明らかになった。そこで慌てて、隠蔽を命じたということだろう。官僚OBもこう語る。

「そもそも文科省しか出てこないというのが不自然。経産省なんていまも、文科省の何倍もの規模で天下りあっせんをやっている。それを放置しながら、文科省だけを率先して調査し、処分したというのはどう考えても、狙い撃ちしたとかし思えない」

 抵抗する官僚に対してはスキャンダルと人事権を使って報復し、他の官僚を問答無用で従わせ、強引に"総理のお友達"への利益誘導を実現させる――。そのやり口は恐怖支配そのものだが、じつは前川氏は、この天下り隠蔽以外にも、官邸が人事権を使って総理のお友達の利益誘導を推し進めたケースを暴露している。

 それは、2016年に世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」をめぐってのものだ。

 前川氏はこの「明治日本の産業革命遺産」を世界遺産の国内候補にするために、和泉洋人首相補佐官が候補を決める文化審議会の委員から反対派の委員を排除するよう圧力をかけてきたと、同誌で証言したのだ。

「和泉氏は文化庁の幹部に対し、文化審議会の委員から日本イコモス委員長(西村幸夫氏)を外せ、と言ってきた。日本イコモスは産業遺産の推進に消極的だった経緯があり、とにかくけしからんから外せ、と。結局、西村氏は委員から外れました」

 世界遺産登録直後に本サイトでも指摘していたが、「明治日本の産業革命遺産」は幼少時から安倍首相と家族ぐるみの付き合いで、加藤勝信一億総活躍担当相の義理の姉でもある加藤康子氏が中心になって推し進めていたプロジェクト。「週刊新潮」15年5月21日増大号に掲載された彼女のインタビューによると、自民党が野党に転落していた頃、安倍氏は「明治日本の産業遺産」の世界遺産登録への熱意を語った康子氏にこう語ったという。

「君がやろうとしていることは『坂の上の雲』だな。これは、俺がやらせてあげる」

 そして、安倍首相は総裁の地位に返り咲いた3日後、彼女に電話をかけ、「産業遺産やるから」と、決意を語ったという。

 ようするに、お友だちの願いをかなえるために、和泉首相補佐官を使って、現場に圧力をかけていたのである。これは加計学園とまったく同じ構図ではないか。

 前川氏は記事のなかで、安倍政権下の「ゴリ押し案件」をこう分析している。

「加計学園の件にしても産業遺産の件にしても、大がかりな仕掛けの中で、一見正当な手続きを踏んだかたちをとって、実態としては特定の件を特別扱いすることを正当化する。こういう手法がすごく増えてきているように感じます」

 なりふり構わないお友達への利益誘導と政治の私物化を強行し、意のままにならないものへは徹底した攻撃と排除を加える。こんな異常な政権、そして総理大臣をこのまま放置しておいて本当にいいのか。いまなお安倍内閣を支持し続ける人々はそのことをもう一度、自分に問い直してみてほしい。

主犯はなかなか自白しないもの 

「かの」読売新聞の報道。内閣府は、言ってみれば、主犯格だから、「はい、私がやりました」とはすぐには認めないだろう。だが、今治市への働きかけ、萩生田副官房長官の指示で国家戦略特区の対象を加計学園に絞るようにしたこと等、内閣府の罪状の外堀は埋められている。この調査は、内部で行われたものであり、第三者が関与していないわけで、信用ならない。

「スピード感をもって、岩盤規制を打破せよ」と安倍首相が発破をかけたという説明だが、それでは説明できぬことがたくさんある。根本的に言えば、国家戦略特区の対象に、親しい人物の事業を持ってくるべきではないのだ。利益相反行為であると疑われることを、国家戦略特区の議長たる安倍首相が行うべきではなかったのだ。

米国で大統領の犯罪を追及する特別検察官のような資格の第三者が、内閣府を捜査しなければ解決しないだろう。三権が首相になびいてしまっているわが国で、それをすぐには求められないかもしれないが、権力の集中する首相と内閣府が、こうして暴走することを我々は学んだ。将来、こうした暴走を食い止めること、三権分立が侵されないようにすることを考える必要がある。

当面、真相を明らかにするためには、関係者の国会への喚問以外ないのではないか。それを拒否している与党は、それだけで「私はクロです」と言っているようなものだ。文科省の官僚の勇気ある内部告発を無駄にしてはいけない。

以下、引用~~~

「総理のご意向」文書も発言も否定…内閣府調査

2017年06月16日 11時42分 読売新聞

 内閣府は16日午前、獣医学部新設計画を巡る調査報告書を公表した。

 文部科学省内の文書に内閣府側から伝えられたとの記載がある「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」との発言について、いずれも事実関係を否定した。

 調査は、内閣府の地方創生推進事務局長や審議官ら9人に聞き取りを行ったほか、業務パソコン内に保存された文書を確認した。

 報告書によると、「総理のご意向」などとする文書は内閣府内では存在が確認されず、発言そのものについても9人全員が「発言していない」「聞いた記憶はない」と回答した。その一方で、「安倍首相が常々、国家戦略特区諮問会議で規制改革全般についてスピード感を持って実現すべきとの旨の発言をしていることから、関係省庁との議論の際に首相の発言に言及することはあった」との回答があったことを明らかにした。